初陣3
リリアナは硬直したままで、その頬からは血が滴っていた。
「王女様!リリアナ様!」
ネットの言葉で我に返ったリリアナはその視線の先に居る左近を見て驚愕した、再び弓矢を構えこちらを再び射抜こうとしていたのである。
リリアナに死の恐怖が襲い掛かって来る、リリアナは他人の命を奪うなど何一つ感じないが、自分の命の事になると話は別であった。
「う、うあぁぁぁぁ!」
リリアナは奇声を発してその場から逃げ出そうとしたのであった、だがネットはリリアナの腕を掴み戒めた。
「お待ち下さい!今王女様が退かれましては、この場は崩壊致します!」
今リリアナがこの場から逃げ出せば、戦っている騎士達も我先にと逃げ出してしまう、さすがにネットでもその事は解ることであった。
しかし無情にも左近の放った矢が再びリリアナを襲ったのであった、今回はリリアナとネットの二人の間を左近が放った矢が通り過ぎて地面に突き刺さったのである。
「うるさい!うるさい!離せこの馬鹿者が!」
リリアナはパニックを起こしてネットの掴んでいた腕を、愚かにも剣で斬り落としたのであった。
「グアッ!」
ネットは叫び声をあげて、斬られた腕をおさえてリリアナを思わず睨み付けた。
「な、何だその目は……お前が悪いのだからな!そうだ、これは全てお前が悪いのだ、妾には何の責任も無い!全てお前の責任なのだ!」
そう言ってリリアナは馬を走らせてアルム砦に向かって逃げ出したのであった。
その光景を見ていた他の騎士も我先にとアルム砦に向かい逃げ出していく、その波紋は徐々に広がりやがて騎士団全員へと伝わり、皆がアルム砦に逃げ出して行ったのである。
この機会を待っていた左近はバッシュに言った。
「バッシュ、我等の軍旗を掲げろ!総攻撃だ!」
「はっ!」
そう言ったバッシュは、左近の家紋が入った旗を掲げて騎兵隊の突撃ラッパの様なリズミカルな合図を鳴らすと、前の槍隊と弓隊が分かれて左近の前に十戒の様に道が出来たのであった。
「かかれぇ!」
『おお!』
左近の号令で、左近を先頭に騎馬隊が一斉に騎士団に襲い掛かり、その後に槍隊、弓隊そしてセシル達とクレアが続いて行ったのである。
「第一の目標はアルム砦だ雑魚はとどめはしなくて良い、捨て置け!」
『おお!』
左近達は逃げる騎士達を倒しながら、乱戦となった状態でリリアナを追いながらアルム砦に向かって行ったのであった。
「アデル殿、本当に我等の処遇は信じて良いのだな?」
「くどいですよフンメル殿、我が御館様は約束は必ずやお守りになります、もしも守られない時は、私がこの命にかけて皆様を逃がします」
アデルとフンメル達は既に数名牢から抜け出して、城門上に在る跳ね橋の昇降機の一室を占拠していたのであった。
「……そのルタイ人の左近と言う人は、もしかしてあの王女がアルム砦に来るきっかけになった人物なのでは?」
このフンメルと言う男、一体何を考えているんだ?とりあえず本当の事を言うか。
「そうですが、どうされましたか?」
「なるほど、ルタイ皇国の左近衛大将が傭兵ね……何を考えているのかな?ルタイ皇国のザルツ王国の侵攻?いやそう見せかけてセレニティ帝国への侵攻か?もしくは両国への侵攻……どちらにせよこの戦乱に終わりを告げるものになりそうだな。
アデル殿、我等は貴公の主君はまだどの様な者か解らぬので信用は出来ぬが、お主は信用は出来る……お主に賭けてみるよ」
「有難う御座います、では私は牢に行きますのでここはお任せしても?」
「あぁ、任せとけ」
「では御武運を」
そう言ってアデルは牢屋の方向に向かって行ったのであった。
「しかし本当に来ますかね」
一人の兵士が不安そうにフンメルに聞いてきた。
「大丈夫だろ、もしもダメならこの跳ね橋を上げて一戦交えるだけだ、その意味を含めてアデル殿はここを俺達に任せたのであろうよ」
そう言っていると外を見張っていた兵士がフンメルに叫んだのであった。
「隊長、来ましたリリアナです!」
「そうか!一緒に出陣した騎士達はどうだ?」
「それが何かに追われているようで……ルタイ人? ルタイ人がリリアナを追っています、しかもあの馬スレイプニルです!凄まじい速さです!後方からは……騎士達と紅い鎧の者が入り交じっております」
「本当に来たか!その先頭のルタイ人は俺達の大将だ、全員アデル殿から貰った布を身に付けろ、紅い布を付けた奴や鎧の奴は攻撃するなよ、同士討ちを避けるんだ!」
フンメルがそう言うと、兵士達はもう一度紅い布の確認をしたのであった。
リリアナは急いでアルム砦に入ると馬から飛び降りて、慌てて叫んだのであった。
「閉門!早く城門を閉めろ!」
「しかし、味方が未だ外におります!」
「うるさい黙れ!早く城門を閉めるのだ!」
そう言うとリリアナは意見した騎士に剣を突き立てたのであった。
「王女様!ご乱心されたか!味方を殺すなど……な、何故…ゴフッ」
そう言って自分に意見した騎士にリリアナはまたもや剣を突き立てたのであったのだ。
「どうだ、まだ妾の言う事が聞けない者はおるか?」
そう言ったリリアナの眼は最早狂気に染まった眼であった、騎士達はこんな自分達をも攻撃してくる、小娘の命令を聞かなくてはならないのかと情けなく思っていたのであった。
だが仕方がないこんな小娘でも、王女で自分達はそれに仕える騎士なのだ、そう心で思って仕方なく跳ね橋の昇降機に向かって叫んだ。
「おい!跳ね橋を上げろ!王女様の命令だ」
しかしそう言っても跳ね橋は一向に上がらない、何かがおかしい?そう思った瞬間リリアナは叫んだ騎士を斬り殺したのであった。
「使えん奴だ!早く跳ね橋を上げろ!」
そう言ったリリアナの顔の隣を後ろから朱槍が飛んできて、目の前の騎士の身体を突き刺し、リリアナの後ろから声がしたのであった。
「島左近衛大将清興、只今推参!アルム砦の一番乗り!」
そう言って、騎士の身体を突き刺した朱槍を馬上から抜いてリリアナに朱槍を突き出していった。
「王女リリアナ、最早勝敗は喫したお主も一軍を預かる身ならば、おとなしく降伏し被害をこれ以上広げるな」
「うるさい、うるさい、うるさい!皆コイツを殺せ!殺してしまえ!」
リリアナがそう叫ぶとリリアナの横を2頭の馬が駆け抜けて、2つの影が馬上から飛んできて二人の騎士の身体に剣を突き立てて殺したのであった。
「そんな事が出来ると本当に思っているのですか?」
「だよね~、甘いんだよ」
「と言うことだ、おとなしく……」
左近が言い終わる前にリリアナは既に城内に向かって逃走していたのであった。
「旦那様、カッコ悪ぅ~」
う、うるさいよラナ、本人が一番そんな事は解ってるんだよ。
「ラナ、そんな事より跳ね橋の昇降機の制圧を頼む!」
「ハイハイ……どけどけ~!ラナさんのお通りだぁ!」
そう言ってラナは走って跳ね橋の上に在る昇降機を目指して行ったのであった、アイツ何かストレス溜まっているのかな?
「アイリスはコイツらを一緒に倒すぞ」
「解りました」
そう言ってアイリスは元々抜いていた日本刀の他に、もう一本のフラガラッハを抜いて二刀流になったのであった。
俺はスレイプニルから降りて、アイリスの背後に到着すると直ぐに騎士達に囲まれて、奥からひときわ大きい騎士が出てきたのであった。
「何だこのガキ共は、たった二人で死に……」
そう言った瞬間、その男の額に弓矢が突き刺さったのであった、城門の方を見るとクロエ達が駆け付けて来たのである。
「御館様!速すぎです!御館様のスレイプニルは速いんですから、他の者が付いていくのも大変なんですよ」
クロエは少し恨めしそうに言ったのであった、その時であったクロエの後方からミリアの絶叫する声が聞こえたのであった。
「あー!誰だよゴランを殺したのは!」
「ゴラン?」
「アイツだよ、額に弓矢が刺さっているやつ!」
「私だが?」
「クソ~、賞金はクロエかぁ……仕方がないここは憂さ晴らしをさせてもらうか、大将!そいつら私にくれよ!」
「好きにしろ!ミリア、セシル達が来たら城門で待機して、誰も逃がすなと伝えてくれ!バッシュはここの指揮をとれ!」
「あいよ!」
「承知!」
「さて、アイリス、クロエ、リリアナを探しに行くぞ!」
そう言って行こうとすると、騎士達が行く手を防ぐのだが、ミリアが叫びながら斬り込んだのであった。
「お前達の相手は私だよ!よそ見しているんじゃないよ!」
それを合図に傭兵達も斬り込んで行った時であった、城内の建物の方から戦う怒号が聞こえて来たのである、そうアデルが解放した牢にいたフンメル派の兵士達であったのだ。
指揮官が逃走した軍は脆いものである、ましてや自らの保身の為に部下を見殺しにしたり斬り殺したりする指揮官に、誰が命を賭けて戦おうと思う者がいるだろうか、そこへフンメル派が脱走しての攻撃である、騎士達は次々と降伏する者や、自決を選ぶ者が出ていた。
しかし中にはやけくそになり、左近達に攻撃してくる者もいたのだが、それはごく一部の者で殆どの者は投降し武装解除させられ広場に集められたのであった。
しかし、どいつもこいつも余裕の態度だな、降伏したのだから命まで取られないと思っているのだろう。
それに特に職業に貴族の奴等も多いな、身代金を要求されても親が支払うと思っているのであろう……何だかムカつくな。
「ええい、離せ!離せ!妾は貴様ごときが触れて良い者では無いのだぞ!」
「旦那様、コイツ昇降機の部屋に逃げて来たから捕まえたよ」
そう言ってラナはリリアナを連れて来たのであった。
ん?後ろの男は……あれがフンメルかな?今はこの捕虜の処遇だ。
「ルイ、アルム砦はすぐに引き渡そうか?」
「いや先程、クリスがメデル子爵に伝書ガラスを放ったので数日もすれば到着すると思う、それまで引き渡しは待ってほしい」
そりゃそうだな、逃げ出した奴等が戻って来たら二人でどうするんだって話だよな。
「もちろん待つさ、それと兵糧を分けて欲しいのと捕虜の件だが」
「もちろん兵糧も左近殿の好きにすれば良いが、出来ればリリアナはこちらに譲って欲しいな、もちろんそれ相応の対価を支払うし、心配なら傭兵ギルドを通しても良い」
リリアナか、確かゲハルトに命だけは助けてくれと頼まれていたからなぁ、しかしさっきからギャアギャアと煩いなこいつ。
「ルイすまないがリリアナは渡せん先約があるのでな」
「それは仕方がない、こちらも無理にとは言わないよ。
それと他の捕虜の処遇に困るのならば、帝国が引き受けても良いがどうする?」
「そうだなぁ……いや、こちらで処分するよ、おい!クロエ、そこの一番態度が悪い奴をここに連れて来てくれ!」
命令されたクロエが俺の前に一番悪態をついていた男を連れて来たのであった。
こいつはステータスを見ると貴族だが、盗賊になっている今まで他の人達に酷いことをやって来たのだろう、まあここに居る奴等の殆どが盗賊になっているのだが。
「さてと、お前名前は?」
「何故お前の様なルタイ人に言わねばならんのだ?そもそも俺様にこんな仕打ちをして許されると思っているのか?」
「……まぁ良い、所でお前はこの近隣の村を襲ったのか?」
「はぁ?何処に村なんてあった?家畜に何をしようが人間の勝手だ、ハハハ!」
コイツら腐りきってやがるな。
「向こうの馬車の中にいる女の子は、ミラと言ってアルム村の唯一の生き残りだ、先ずはあの子に他の村人の分も膝を地面に付け謝罪しろ」
「嫌だね、どこの世界に家畜に頭を下げる……」
「ひざまづけ!」
俺がそう叫んだ瞬間、アイリスが男の片足を斬り落としたのである。
「ぎゃゃあ!」
男は斬り落とされた片足を押さえて地面に倒れ込んだのであった。
「何だ、やれば出来るじゃないか?ではちゃんと地面に頭をつけて謝罪、出来るよな?」
俺は男の髪の毛を掴んで顔を無理矢理上げながら言うと、さすがに断ると次にどうなるのか覚ったのか、そのまま額を地面に何度も叩き付けて謝罪したのである。
「すみませんでした!すみませんでした!」
「ではお前に罰を与える……セシル!こいつを生きたまま焼け!」
「ちゃんと謝ったじゃないか!何でだよ!」
「家畜に何をしようが人間の勝手だ、クロエ連れていけ!」
「はい」
「そんな、人でなし!この悪魔!」
「同じ事を村人はお前に思っていただろうよ!」
男はクロエに連れて行かれて、セシルに焼かれて断末魔を響かせていた、その声を聞いた騎士達は恐怖でおとなしくなり、リリアナまでも恐怖で縮こまっていたのである。
「まさに母が言っていた一罰百戒とはこの事だな」
ルイが俺に言ってきた。
そんな四文字熟語がこの世界にもあるのかよ、ルタイ人って他にも俺の様にこの世界に転生してきた日本人がいるんじゃないか?そんな気がしてきた。
「そうだ、これでこいつらも少しは自分が何をしたのか理解するだろう」
「なぁ左近殿、セレニティ帝国に来ないか?貴方なら貴族として……伯爵として……」
「断る、お前は俺が何者かは知っているのだろ?ならば俺の忠義を捧げるのは御一人だけだ、それは変わらない」
これは嘘だが、こう言ったら誰もが納得するだろう。
「そうだったな……すまない忘れてくれ、今後も良い関係でいてくれ」
「あぁ依頼さえあれば、良い関係だ」
「王国の依頼も受けると言う事か、仕方がないか……戦場では出来れば出合いたくはないものだな」
コイツは諦めていないな、まぁ良いか依頼は依頼だ気にくわなければ受けなきゃ良いんだ。
「所で、お主がフンメルかな?」
「はい左様でございます」
「此度の御助力感謝する、このアルム砦はセレニティ帝国に引き渡すことになってしまい申し訳ない、貴公達の命は私が責任を持って、保証する。
貴公達のこれからだが、また王国に仕えたいのならば、私がゲハルト国王に話を通すし、帝国に行きたいのならば、ここにいるルイス閣下に話を通そう。
第三国に行きたいのならば、私がルタイ皇国の帝に話を通して受け入れてもらうが、どうする?貴公達の意思を最大限に尊重しよう」
「他の者の意思は解りませんが、私の意思は決まっております、このフンメル左近衛……」
「左近だ」
「申し訳ございません、私は左近様にお仕えしたく思います」
「何故だ?」
「左近様、いや御館様はその厳しいが民を思うそのお気持ち、そして今回の軍略!実に素晴らしく御館様こそ私が仕えるべき主人と思いましたので」
「隊長が仕えるなら俺達もお願いします!」
そう言って他の兵士達も言ったのであった。
「大将!私達もあんたの所に居させて貰うぜ、あんたの所ならまた今回みたいな楽しい戦が出来そうだしな」
ミリアの言葉に後ろの傭兵も頷いていた。
「全く只の傭兵に何を期待しているのか……解った、俺達の部隊は来るもの拒まずだ、みんな俺が面倒を見よう」
『おぉ!』
「御館様、有難う御座います。所でこの者達はどうしますか?」
フンメルの言葉に騎士達はリリアナも含めて一斉にビクッと身体を縮こまらせた。
そりゃそうか、今まで自分達がやって来た事を考えれば、また先程の男の様になると思っているのだからな。
しかし、よく見てみると盗賊になっていない者も数名だがいるな……コイツらは許してやるか。
「お前とお前、それからお前達はここに来い」
そう言って俺は盗賊のスキルが付いていない者を呼び出した。
「お前達は今まで盗賊行為はした事はあるか?」
みな一斉に首を振っている、まぁこちらは職業が解るので、そんな事は解ってる事なのだが、こうやってこちらは職業が解らないと言う事を演じなければ不審がられるからな、さてここからが本題だ。
「それでは略奪等を指揮したものは?正直に言わなければ先程の男以上に拷問にかけて死罪にする、正直に言えば命は助かるかもしれんぞ、どうだ指揮や指示をしたものはいるか?」
これには二人だけが首を振っていた。
なるほどな、この二人は職業に貴族は付いていない、平民の者か。
「フンメルどうだ本当か?」
「本当ですね、この二人は騎士団の中でも虐められていましたので」
「そうか、ならばお前達は命は助けてやろう、ただし俺の元で働いてもらう解ったか?」
『有難う御座います!』
「他の者の達は奴隷として各自が略奪等の迷惑をかけた村や人々に売ることにする、そうだな代金は1シリングで良いだろう、みなその身をもって罪を償え、そして主人に殺されるのならば受け入れろ、お前達の行った報いだ。
もしも相手が生きていなければ、俺が罰を与える」
「素晴らしき采配、迷惑をかけた者に奉仕させるとは」
フンメルは何度も頷き言った。
「ありがとうフンメル、コイツらの搬送は任せる、逃げ出すものは殺して良いぞ。
リリアナだけは俺が罰を与える」
「かしこまりました」
その時であった、城門の見張りのエルフが叫んだのである。
「御館様、軍勢です!旗は……セレニティ帝国の旗です!」
なるほどね、パナスのメデル子爵の軍勢か。
おそらくルイの護衛だろうな、もしも俺達が負ければ救出するために待機していたのであろう、ルイは皇太子だから何かあれば自分の責任になる、しかし皇太子の命令で軍監は任せなくてはならない。
となれば出来ることは見えない距離で、何かあればすぐに救出出来るようにしなければならないと言う事で、見えない距離で付いてきたのであろう。
「ルイよ、引き渡しは思ったより早くなりそうだな」
「本当にメデル子爵はいつまでも子供扱いをする」
「皇太子なんだから仕方がないだろさてと撤収の準備をするか……みんな撤収の準備だ!兵糧を積み込み代金を頂いたら撤収するぞ!」
『おお!』
こうして俺達はメデル子爵から代金を受け取り、アルム砦を後にしてナッソーに戻って行ったのであった。
左近の奴、本当にアルム砦を攻略しやがったのか……コイツは本格的に手を打たないと不味いことになるな。
「あれ?オヤジさんが手紙を見ているって珍しいですね、誰からです?」
そう言って従業員の女性が手紙の中を見ようとしたのだが、さりげなくオヤジさんは手紙を閉じて言った。
「イエッタすまないがママを呼んでくれないか?それとダッチも頼むよ」
「ママは知ってますけど、ダッチってあの商業区画のマフィアのダッチですか?」
「そうだ」
「私、あの人苦手なんですけど……解りました行ってきます」
そう言ってイエッタは店から出て行ったのであった。
さてと、これでナッソーの勢力図が一気に変わっていく事になるな。
オヤジさんは椅子に座って深くため息を吐き今後の事を考えて行ったのであった。




