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Another Life もう1つの人生  作者: くろべぇ
第一章  創成編
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初陣1

 そして出陣予定の日、俺達の元へダッチからの食糧が無事に届けられセシリーとクレアが荷物の確認をすると、食糧は無事に頼んでいた数量あった様であった。


 多少無茶を言ったつもりだったが、何とか期待に答えてくれた訳だあの男は。


 しかし問題なのはやはり兵力の問題であった、ミリアの連れてきたのはたったの5名で、オヤジさんの依頼で来たのは7名の合計で12名だった訳だ。

 これで合計で89名、いやリーゼロッテを入れると90名になるな……大丈夫なのか?いや指揮官が不安がっていたら、不安が部隊の士気に出る、ここは意思を強く持たないといけないな。


 俺は出陣を前に皆を整列させて演説をしたのであった。

「よくぞ集まってくれた、今回の仕事はアルム砦の奪取だ!これから向かうは先ずはパナス、そしてアルム砦にむかう。

 そこでだ、傭兵諸君達に紅い布を前以て渡して居ると思うが、戦場ではこれを身体につけて欲しい」


「大将、何故だ?」


「ミリア、良い質問だ。

 見ての通り我等の部隊は鎧や衣服は紅で統一されている、つまりはそれをつけていないのは敵で、殺しても良いと言う事だ!どうだ、解りやすいだろ?」


「ホント解りやすいよ」


「傭兵の皆は我が妻のアイリスの指揮下に入ってもらう、全員が騎馬隊だ、何か質問は?」


「部隊の人数は?」


「これだけだ」


「何だって!アルム砦には正規兵が3千人いるんだぞ、100名に満たないこの人数でやれると思っているのか?」


「うっせえぞミーシャ!あんまり増えると分け前が減るだろうが!」


 ミリアは頼もしいな、しかしこれは早急に何とかしないといけないな。

「他に質問はあるか?……無ければこれより出陣する!……珠、行ってくるよ、後の事は頼むぞ」


「お任せを、父上の御武運を御祈り致します」


「うん、では出発!」

 こうして俺達はパナスのメデル伯爵のもとに向けて出発したのであった。




 それから4日後……

 パナスへ後1日と言った場所での事であった、休憩中の俺の元にアデルが報告にやって来たのであった。


「御館様、よろしいでしょうか?」


「おぉアデルか、首尾はどうだった?」


「はい、リリアナの元に例の手紙を渡るようにするのを成功、そして即日にリリアナ派は反乱を起こしてフンメル派を拘束し、我等の相手をした後に処刑する様ですね」


「でかした!それで今アルム砦で戦える兵力は?負傷兵を入れて戦える兵力だ」


「およそ1,700かと」


「では拘束された人数は?」


「およそ800名になります、その為にアルム砦の牢屋は囚人でイッパイで御座います」


「よし、ではこのままクレアの所に行って紅い布を貰い、もう一度アルム砦に行きフンメル派の兵士に我等に付くかこのまま死刑になるか選ばせろ、我等に付くのなら部隊がアルム砦に入った時に、その布を身体に付けて戦えと。

 死にたい奴は放っておけば良い、後で望み通り帝国が殺してくれるだろう」


「かしこまりました」

 そう言ってアデルは、いつの間にか消えて行ったのであった。


「やりましたね御館様、これが策でございましたか!」

 バッシュが興奮して言った。


「……凄い、戦う前に相手の兵士の半分近くを減らすなんて……御館様、もしもリリアナ派が動かなければどうされていたのですか?」

 クロエも感心しながら聞いてきた。


「動かずとも疑惑の種は残る、そんなお互いに疑心暗鬼にとらわれて、戦をやっても誰も本気で戦おうなんて奴はいないさ。

 戦っても途中で、お互いに殺し合いを始める様に仕向けることも出来る、前線の砦の内部でいがみ合っているなんて、まさに愚の骨頂だ」


「御館様が敵で無くて本当に良かった……」

 クロエはホット胸を撫で下ろしたのであった。


「しかし、これで同じ部隊でいがみ合っていたら、どう言った結末を迎えるか、皆は解るだろう、各自はこの事を胸に刻み込むように……さてとそろそろ出発しようか」


『はっ!』

 そう言って俺達はパナスに向かったのであった。



 そしてその翌日、俺達はパナスに到着したのであった。

「でっかい城門だな、しかも回りは湖か……これは攻めるのは難しそうだな」


 そう、ここパナスの街は大きな湖の中に在る大きな島にあったのだ、島からの橋は1ヶ所だけの鉄壁の守りであった。

 俺は城門に近付き門番に、アルム砦攻略の傭兵部隊だと伝えると門番は急いで中に入って伝令を使わすと、軍監としてやって来たのは、見たことの有る二人であった。

 そう、ルイとジャリことクリスである。


「いやぁ、やはり左近殿でしたか!ルタイ人の率いる傭兵部隊だと聞いたもので、私も左近殿の戦を見たくて無理に軍監を引き受けて来ました」


「……私は護衛です」


 何だこの皇太子は、無駄に行動力が有りすぎるだろ……仕事だし仕方が無いか。

「ルイ、それにジャリ、これから行くのは戦場だ、命の保証は出来ないが良いか?」


「もちろん」


「大丈夫です、それに私はジャリでは在りません!クリスティーナです」


「解ったよジャリ、では行こうか」

 そう言って俺達はパナス後にしてアルム砦に向かったのである。


 そして翌日であった、斥候のラナが一人の女の子を連れて戻ってきたのであった。

「旦那様ぁ!道端にこの子が倒れていました!」


 そうして連れてきた子供を見ると、顔は殴られて腫れて、身体もアザだらけで更には股からも出血があったのである。

 誰もが口にしなかったがこれは明らかに暴行された痕であったのだ。


 その中で先に言葉を発したのは、ミリアであった。

「全く酷いってもんじゃねえな、こりゃアイツの仕業だな」


「ミリア知っているのか?」


「あぁ、こんな事をするのは王女騎士団のゴランだけだよ。

 拷問と殺戮が三度の飯より大好きで、身体もデカいがアソコも娼婦が嫌がるほど馬並みだ、そのくせ幼女を無理矢理犯すのが趣味と言うド変態野郎だ。

 この子はたぶん、そいつから逃げて来たんだろうよ」


「う、馬並み……」

 ゴクリと唾を飲み込み、クリスが言った。


「お嬢ちゃんにはチョッと早かったかもね……大将、この子はどうするよ?」


「ここに捨てては行けんだろう、ミリアお前が面倒を見るか?」


「バカ言うなよ大将、私は殺す専門で育てるのなんか無理だよ!」


「そうか?意外と似合うかも知れんぞ」

 俺がそう言うと、後ろで傭兵たちが吹き出したのであった。


「誰だ今笑ったのは!出てこいコラ!」

 そう言ってミリアは行ってしまった、しかしこの子はどうするかな。


「はい、はい!私が育てるよ!」


「ラナ、子犬じゃ無いんだぞ、出来るのか?」


「出来るよ」


「でもお前は斥候の仕事が有るからな……おいジャリ、お前は暇だろう、戦が終わるまで面倒を見てやれ」


「何で私が!そこのルタイ人の女にやらせれば良いじゃ無いですか!」


「利世はダメだ、言葉が通じないし戦場しか知らない、それに今回は皇国から無理を言って来てもらっているんだ」


「クリス私からも頼むよ」


「……解りました」

 クリスはルイに言われて渋々とだが了承した。


「ラナ、戦が終わったらお前が世話をするんだぞ」


「うん、任せてよ」


「おいジャリ、その子をクレアの馬車の荷台で介抱してやれ」


「だからジャリじゃ無いって……」

 そうして、ぶつぶつと言いながらクリスは、子供を抱えてクレアの馬車の荷台へと向かって行ったのであった。


 しかし自国の村を襲撃するなど、彼奴等はもはや統治者では無いな、盗賊以下だ……皆殺しにしてやろう。

「旦那様、また悪い顔をしていましたよ」


「そうそう、旦那様がそんな顔をする時は悪魔よりおっかないからね」


 またやってしまったか、気をつけているのだが、いかんな。

「すまんな……ルイ、アルム砦の王女騎士団は皆殺しにしても良いか?」


「別に構わないが……正直私も憤慨している所だよ」


「ではもうひとつ、懸賞金を出さないか?そのゴランって奴を殺した者に1万シリングってのはどうだ?」


「……良いだろう」


「聞いたかお前ら!ルールは簡単だ、ゴランって外道をアルム砦に追い詰めて殺せば、皇太子殿下から賞金が1万シリング、そして生きたまま捕まえたら更に俺から1万シリング出そう!」


『おぉ!』

 良い感じで盛り上がってきたなぁ、これで皆は自分達の大義、更には身近な目標が出来て士気も上がるってものだな。


 こうして俺達はアルム砦の手前の村に辿り着こうとしていたその途中で、子供は目を覚まして事情を語ってくれた。

 少女の名前はミラ、年齢は6歳でアルム村の出身らしい、村で平凡に暮らしていたところ、突如ザルツ王国の騎士団が現れて、村の人々を殺戮していったらしい。


 そしてミラの様に若い女の子はある家に集められて、そのゴランに凌辱され、気が付いたら皆は死んでおり唯一生き残ったミラは、気が付くとその足でいつの間にかパナスを目指していたようであったと言う話であった。


 この話を聞いたルイは激怒し、その怒りは皆を包み込んでいたのであった。


 そしてアルム村の手前でラナが急いで戻ってきたのであったのだ。

「旦那様、ダメだ!ミラに、ミラにあの光景を見せちゃダメだ!」


 何だと。

「全隊止まれ!……騎馬隊は俺に続け、それ以外は周辺を警戒して待機、行くぞ!」


『おぉ!』


 そう言って俺達は村にラナの案内で先行して入って見ると、広場の中央の大きな木に村の人々が吊るされていたのである。


「なんだこれは……酷いってものじゃねえぜ」


 確かにこれは酷すぎる……これが統治者のする事だろうか?これは何とかしないとな。

「ラナ!数名連れて周辺に敵がいないか警戒しろ!」


「はいよ!あんたとあんた、ついて来な!」


「バッシュ!お前は数名引き連れて周辺の家から生存者を探せ、敵兵が残ってるかも知れん気を付けろよ」


「はっ、おいお前たち行くぞ!」


「アイリス、お前は見張りだ、あの時計台に上がり見張りを頼む」


「かしこまりました」


「残った者はこの死体を下ろして何処かの家に集めるぞ」


「そんな……御館様、せめて埋葬をするか焼いてやらないと……」


「クロエ、お前の気持ちはよく解るが、俺達には時間が無い、焼くにしても煙が見えるし夜になると灯りも見えるかも知れない、今はどうする事も出来んのだよ。

 せめて死者の仇討ちをやってやる事が俺達に出来ることだ」


「御館様……解りました」

 そう言って理解したクロエは皆と一緒に死体を下ろし、1つの家に集めてそこを封鎖したのである。


 結局は生き残りも敵兵の姿が無かった為、周辺を片付けた俺達は村に本隊を呼び寄せて、ここで一晩泊まることにしたのであった。


 その夜に、主だった者を集めて作戦会議をしようとした所にアデルがやって来たのであった。


「アデルよ首尾はどうだった?」


「リリアナは我等が絶壁の街道に入った所で後方から、我等を襲う様ですね。

 例の話は、御館様のおっしゃられた通りの事を言いました所、800名全ての者がのりました。

 その代わりに条件が有りまして……その……」


「何だ?申せ」


「はい、フンメル以下800名が御館様の元に配下として来たいと申しておりまして……」


 なるほどな、このまま王国に戻っても死刑になるし、かと言って手伝わなければ放置され死ぬ。

 そして、リリアナ達と戦い勝ってもあの王女はフンメル派を殺すだろう、裏切り者を殺して更にアルム砦を守ったとなれば、王位継承復活するのに申し分が無いからな、それに帝国に行っても命の保証は無い、そうなれば俺の元に来るのが一番の手だからな。


 それに俺も兵力が増えるのは、良い話でもある。

「解った、その話を受けよう、作戦は前に話した通りで行くぞ、決行は明日だそう伝えてくれ」


「かしこまりました、では!」

 そう言ってアデルはまたもや消えてしまった、あのスキル欲しいな。


「ではこれから作戦を伝える、先ずはリリアナの作戦を利用してそのままアルム砦の前を通過し、絶壁の街道に入る、そこでリリアナの部隊と戦うぞ」


「攻城戦はしないのか?」


「ルイ、馬鹿正直に攻めては無駄に兵士を失うだけだ、そんな真似は出来んよ」


「そ、そうなのか……」


「この戦は敵を引きずり出す事で、殆ど勝負がついた様なものだ、何度も痛め付けているうちに敵はアルム砦に撤退をするだろう、その時が勝負だ。

 騎馬隊は、敵と一緒にアルム砦の内部に侵入し、跳ね橋を壊して上げさせないようにする、後は場内でアデルに解放された800名と一緒にアルム砦の残党征伐だ、どうだ簡単だろ?」


「旦那様、背後からの攻撃はどう備えますか?」

 アイリスが不安そうに聞いた。


「そこはラナの出番だ」


「ほえ?私?」


「ラナは戦が始まると後方の警戒に当たってくれ、もしも敵の援軍がくれば俺に報せてくれ、俺と利世とラナで対処する」

 俺のこの言葉で、明らかにリーゼロッテの眼光が鋭くなった、ここでなぜ自分が簡単に連れて来られたのか理解した様であったのだ。


「旦那様、また悪い顔をしていますよ……どうせ利世様に断りもなく、今教えたのでしょう?」

 アイリスの言葉にリーゼロッテは激しく頷いた。


「なあアイリ、左近殿はいつもこんな感じか?」

 ルイがアイリスに小声で囁いた。


「そうですね、自分の家族以外は平気で酷いことをする御方ですが、優しい所もあるのですよ」


「……そうなのか……俺には左近殿が解らなくなってきたよ」


「あ~ダメダメ、旦那様の事を知ろうとすると、旦那様の策略にハマりますよ」

 おいラナよそれはどうかと思うぞ、クロエも頷くな。


「そうですか?私は御館様は理想の君主なんだけどなぁ、武力はずば抜けており、どんな戦でも勝利に導く、味方には神様の様に優しく、敵には悪鬼の様に恐怖の存在、まさに理想の君主じゃないですか」

 バッシュさん、誉め殺しですか?でもなれていないので、何だかムズムズしてきた。


「それはあんたが脳筋なだけでしょう」


「何だとクロエ!いくら御館様の親衛隊長でも言って良いこともるぞ!表に出ろ!」


「上等だ!」


「お前ら!アルム砦の事を思い出せ!戦は連携が大切だ、連携の無い戦いはただのガキの喧嘩になる。

 ガキの喧嘩で正規の軍隊に勝てるわけがないだろうが!」


「すみません」

「申し訳御座いません」


「解れば良いんだ、明日は早い皆は身体を十分に休めておけ」


『はっ!』




 こうして次の日、いよいよ作戦は決行された、先ずはラナが先行しその後で俺やバッシュ達とクレアや蘭の本陣と輸送部隊、その次はアイリス率いる騎馬隊、そしてボル率いる槍隊にマルディ率いる弓隊、そしてセシル、セシリーと続く隊列でアルム砦を目指したのであった。


 しかしこれは1つの賭けでもあった、リリアナ達が既に部隊を展開して待ち構えている可能性もあったし、アルム砦の兵力を別けて、先に絶壁の街道に布陣させる手も考えられたからだ。

 しかし俺はリリアナの性格上その様な小細工はしないと思っている、もしもそこまで頭が回る奴ならばこの様な事態になる前に考えを改めるはずだ。


 しかし、頭で解っているのだがやはり恐怖心も出てくる、他に何かやり残したり見落としたりした事は無いであろうか?戦が始まるとそんな考えは吹っ飛ぶのだが、始まる前はいつもこうだ。


 俺はその様な恐怖心を打ち消すかの様に、スキルの天眼を使用してみた。

 するといつもの気配探知の様なウインドウでは無くて、衛星から地上を見たようになっていたのであった。


 何だこれは?カラーになって地形なども解りやすいが、人などが見えない、小さすぎる……変倍できないのかな?

 俺がそう思いウインドウの画面をスマホの画面の様に触ると、動いた!そうかこれはスマホのマップを見るように出来るのか、しかも赤い点がついているのは以前と変わり無いか、これで戦場の状況が手に取るように解るぞ、素晴らしいスキルだ。


 俺は天眼のスキルを発動しながら、いよいよアルム砦にやって来たのであった。



 さて、いよいよだ今まで待ち伏せは無かった、だがここからは絶壁の街道に行く為にはアルム砦に部隊の側面を見せなきゃならない、側面を攻撃されれば厄介だ。

 そう思った俺はラナと蘭を呼んだのであった。

「ラナ、蘭こっちに来い!」


「なぁにぃ~」

「どうしましたか?」


「ラナ、お前はこれよりアルム砦の動きを見張れ、敵が出てくればすぐに報せてくれ」


「解った」


「蘭、お前は部隊が通過するまで、城壁からの攻撃を警戒してくれ、一番恐いのは通過する時の攻撃だ、もしも攻撃されればお前の力で被害を出来る限り防いでくれ」


「解りました、では私は警戒してそのままセシル達と最後尾に居れば宜しいので?」


「その通りだ、頼むよ」


「……何とかやってみます」


 そう言って二人は配置に付いたのであった。

 これで良い、残る前方と反対の側面は俺の天眼でカバーすれば良い、ではそろそろ行くか。

「では全軍出発!」


 俺達がアルム砦の前に行くと、アルム砦の跳ね橋は上がっており、外側からは兵士の姿が見えなかたのであった、これは明らかに変だろう、定石ならばここは演技でもしてでも、安心させて通過させるはずなのに、これじゃ警戒しているのがすぐに解るじゃないか。


 それとも、俺達のドてっ腹を攻撃するのか?これはこれで何だか不気味だな、しかし安心しそれでいてさりげなく俺達は通過しなければ、リリアナ達を騙す事は出来ない、ここは我慢のし時だな。


 こうして俺達の警戒とは裏腹に、俺達の部隊はすんなりと絶壁の街道へと行くことに成功したのであった。


 リリアナがバカなのも成功の一因だったが、俺達の隊列がこの世界では進行方向に警戒を向けている様に思えたのであろう。

 この世界で魔法使いを先頭に持ってくる様な奴はいない、戦うのは陣形も何も無い只の乱戦であったからである、そうなれば接近戦に弱い魔法使いは後方から援護攻撃になってしまう。

 それはそれで悪くないのだが、あくまでも乱戦になればの話である。

 そうならない統率の取れた戦では近付くまでに、どれだけ相手の兵力を落として陣形を崩し、自分達に優位な状況で戦うかが勝負の鍵になる。


 その事を知らないこの世界の者ならば、俺達の隊列は即ち前方に警戒していると受け取られた為に今こうして進む事が出来るのであろう。


 それにしても今回の事で課題も見えてきた、先ずは詳しい地図が必要だ、作戦区域の詳しい地図が無ければ話にならない、そう言えば院元和尚が地図を書くのが上手だったな、戻ったら和尚に頼むとするか。


 後は各地方等や城、そして人物の詳しい情報だな、これに関してはオヤジさんに協力は頼めない、軍事の秘密は傭兵ギルドの事も有るので絶対に教えてはくれないだろう、これはアデルに隊長を任せて諜報組織を作るしかないか……人選はラナもありだな。

 ラナは普段は能天気だが、確実に情報を精査する能力も有るし冷静に判断もする……うんラナに任せよう。



 街道を進みそう考えていた時であった、ラナが叫びながら馬でこちらに向かって来たのであった。

「来た、来た、来たぁ!旦那様、アルム砦から兵士が出て来たよ!」


「やっと来たか!全軍停止!後方への迎撃準備!」


 俺がそう叫ぶと部隊は一斉に振り返り、陣形を整えたのであった、天眼で確認すると結構な数が出てきている。

 もしかしてリリアナの奴は、殆どの兵士を連れて来たのではないか?なるほどリリアナはここで勝負にでた訳だ、その思いっきりの良さは、良い事だが場所と相手が悪い、こんな地形では大軍は意味を成さないし、そんなゴリ押しで通用する部隊じゃ無いんだよ俺達は。


 そう思っていると、アルム砦から出てきた部隊が姿を現したのであった。







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