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Another Life もう1つの人生  作者: くろべぇ
第一章  創成編
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使命

 屍食鬼グール達の輪の中で俺は、デュラハンと対峙していた、デュラハンは騎士が持っているランスを右手に、左手は手綱を握り締めている。


 この緊張感は久々だ、全ての時間が止まったように感じる、デュラハンとスケルトンの馬はかなりの大きさだ、こんなのに馬の速度に乗って突撃されれば普通なら恐怖で脚がすくみ、そこにランスを持ったデュラハンが攻撃してくれば、どんな鎧や盾を持っていたとしてもひとたまりも無いであろう。


 それだけ重量の有る一撃なのだ。だからこそ、そこに弱点が存在する、あくまで馬と一体の攻撃なので威力が有り、馬が無ければ重いだけの槍である。

 それに馬上槍の弱点は、右手に槍を持つので左側に有る。通常は従者や仲間に守ってもらうので、一騎討ちではかなり不利だ。


 そしてあのランスの攻撃は突きしか無い点の攻撃なので、注意すれば良い話で、それに対してこちらの槍の穂先は、斬ることも出来る面の攻撃で有る、十分にこちらにも勝機は有るのだ、飛び込む勇気さえ有ればの話だが。


 俺がそう考えていると、デュラハンは手綱を握り締めて言った。

『では、参る!』


 そう言ってデュラハンはこちらに向かい突進してきたのであった。

 逃げるな!逃げるなよ俺!まだだ、まだ引き付ける!…………今だ!


 俺はデュラハンの馬の左側にすり抜けながら、俺は朱槍でデュラハンの馬の前脚を叩き斬ったのであった。

 スケルトンの馬がバランスを崩して前から崩れ去るのと同時に、デュラハンも前方に勢いよく投げ出され地面に叩きつけられたのである。


 このチャンスを見逃す俺では無い、そのまま切り返してデュラハンの元に向かった時であった、デュラハンは大きなランスを崩れた体勢のまま俺に突きだしてきたのである。


 かわせる!そう思った俺は身体を横向きにして、同時に朱槍をデュラハンの肩に突き刺したのであった。

 これが剣ならば俺は身体を真っ二つにされていたのかも知れない、しかしデュラハンのランスは先端を注意すれば良いだけなので、意外とかわしやすい。


 しかしながら俺の考えは少し甘かった、デュラハンはそのままランスを横に振り、俺をそのままふっと飛ばしたのである。


 だが俺の飛ばされた先には屍食鬼達の群れがおり、俺は屍食鬼の身体がクッションとなって、事なきを得たのであった。

 変だ、屍食鬼達は飛ばされた俺に向かって、襲い掛かる事もせずに見守っている。

 そうかこれは余程訓練されたので有ろう、もしかするとあの時に俺達に襲い掛かってこられたら、俺達は全滅したかも知れない……これは助かったのはもしかすると俺達の方かも知れないな。

 しかしあのデュラハン、朱槍で刺したのにそれに対して臆することもなく、あの重いランスで俺を凪ぎ払うとは、化け物かよ……いや化け物なんだが。


 俺の事を心配して声をかけようとしていたアイリス達に、俺は片手を出して制してデュラハンに言った。

「あの体勢からランスを突きだすとは中々やるねえ」


『ふん、お主こそ攻撃をかわしながら我が愛馬の脚を斬るとは……それにお主、何者だ?』


「ただの人間だよ!」

 そう言って俺は、デュラハンとの間合いを一気に詰めて、朱槍を突きだしたのだが、デュラハンは負傷した筈の左腕で朱槍を払い除けた瞬間、片手でランスを突きだしてきたのであった。


 ボン!と言った空気を切り裂く音と共に俺の顔の横をランスがかすめる、何とか俺はかわしたのだが、直ぐ様次の攻撃が俺の胴を狙い飛んで来る。

 俺は難なくかわしたのだが、この難なくかわした事に違和感を感じるべきであった、デュラハンはそのままランスをまたもや凪ぎ払うと、俺の身体はそのまま次は屍食鬼のいない一角に吹き飛ばされたのであった。


 ズサササ!そんな音を立てて俺が仰向けに地面に滑り落ちると、俺は我が眼を一瞬だが疑った。

 デュラハンはそのまま俺に向かって飛んで追撃してきたのであった。


 まずい!俺は頭ではそう思っていたのだが、身体は何故か朱槍をデュラハンに向けて突き立てていたのでああったのだ。

 次の瞬間、俺の突き立てた朱槍はデュラハンの身体を貫いたのだが、デュラハンのランスは俺の兜の額を突き刺したのであった。

 兜はさすがに神様から貰った物であった為か、ガリガリと言った音を立ててランスの攻撃に耐えて、ランスの先端はそのまま俺の後方の地面に突き刺さるがデュラハンの攻撃はまだ終わらない。

 デュラハンの大きな拳が俺の顔面に向かって飛んで来たのである。


 俺は本能でその拳をかわすと同時に村正を抜いて、デュラハンの鎧の隙間に刃を突き立てたのであった。

 しかしデュラハンは、地面にめり込んだ拳を引き抜き、更に拳を振り下ろそうとしたのである。


「おぉぉぉぉ!」

 俺は叫びながら、村正に力を込めると村正から炎が立ち上ぼり、デュラハンの身体を内部から焼いたのであった。


 デュラハンは鎧の隙間から炎をあげて、後ろによろめき離れると俺はすかさず立ち上がり、突き刺した朱槍を引き抜くと同時に真っ二つにデュラハンを斬ったのであった。

 デュラハンはその場に倒れると、俺も頭にランスの衝撃を受けた為か、それとも魔力を使い果たした為か、身体に力が入らなくなりその場に倒れた。

 や、ヤバい、これでデュラハンが立ち上がったら確実に俺は殺られる……みんなが慌てて俺の元へ駆け寄る姿が見える……あれ?俺はまた死ぬのか?そんな事を考えながら俺は、意識を失っていったのであった。





 次の瞬間、俺はまたあの雲の上に立っていた。

 あぁ、俺はまた死んだのか……みんなに悪い事をしたな……出来ることなら、みんなに謝りたいな。

 謝っても許されないだろうが。


「左近、あんた無茶し過ぎ」


 急に背後から声がしたので振り返って見ると……居ました、あのオバチャン神様が。


「あぁ、あんたか。俺はまた死んだのか?」


「まだ生きてるよ、辛うじてだけどね」


「そう……なのか?では何でここに俺はまた来たんだ?」


「正確には生死の境をさ迷っているのが正解だね。まぁそんな事より本題に入ろうかねぇ、実はこの世界に魔王が二人いると聞いているかい?」


「そう言えば聞いたことがあるな」


「その内の一人は私が作った魔王なのよ……」


「あんた!何を考えているんだ!この世界を滅ぼすつもりなのか?」


「最後までちゃんと聴く!」


「……はい、すみません」


「実はあの世界で魔王が誕生する前に、皆が共通の敵を一致団結して倒し平和になる、そんな事を考えてこんなルールを作ったんだけど、彼奴は自分達の事を考えてばかりで魔王を誕生させてしまった」


「だから、対抗措置としてもう一人の魔王を誕生させ、御互いに動けなくしたのか?」


「正解、ちょうど隣の国は盗賊みたいな無茶苦茶な国だったからね、でも介入出来るのはここまで。

 それで、被害が広がるのを食い止めていたのだけど、最近はその魔王が知恵をつけて、自分の配下を魔王にして勢力を拡大しようとしているのよ」


「もしかして俺が戦った彼奴も?」


「そ、魔王候補の一人。今回は失敗したけどまた何か別の手でやってくるかも知れない、そこであんたに私の魔王の軍師になって欲しいのよ。

 あの子はどうもそう言った事が苦手みたいなのよ、そこで左近が軍師となってくれれば対抗できるかも知れないし、もしかしたら倒せるかも知れないでしょ?」


「しかし俺は、既にナッソーに根を張りつつある、仲間もいるから難しいぞ」


「空間転移で移動して、たまに見て助言をしてくれるだけで良いよ、空間転移のスキルも新しくしてMP消費しないのに書き換えてあげるし、その場所には行ける様にしておく」


「……俺の言葉が解らない時は?」


「あぁ、それもあったか……じゃあそれも新しいのにしてあげる」


「それならば何とかなるな……しかし世の中ギブアンドテイクだ、いくら神様の頼みでもそれは変わらない。意味は解るよな?」


「意外とちゃっかりしているわね、何が望み?」


「個人戦で使えるスキルと武器だな、鎧も欲しい所だが」


「仕方がない、今回はけっこう無理を言ったから全部きいてあげよう。じゃあそろそろ時間の様だし頼むわね」


「解った、話だけは通しておいてくれよ、いきなり戦う事になってはたまらんからな」


「オッケー、話が通れば誰か使いを行かせるよ。あ、言うのを忘れていた、もう既に3日は経過しているから、注意してね」


「おいコラ!そう言うことは早く……」

 そう言って俺は再び、意識を失っていったのであった。






「……様!……那様!……旦那様!」

 俺が再び眼を覚ますと、目の前には泣きじゃくったアイリスとラナの顔が目の前にあった。


「旦那様が眼を覚ましたよアイリス!」


「うん、うん、本当に良かった……そうだ!セシリー、珠様達に旦那様が眼を覚ましたと伝えて来て!」


「解りました!」

 そう言ってセシリーが慌てて出ていく音がする、身体はまだ痛いが何とか動く。


 そう言えば本当に3日も経過しているかな?

「……アイリス……俺は勝ったのか?どれ程、俺は寝ていた?」


「えぇ、見事に勝利しましたよ。今はあれから3日たっています」


「そうか……水を……」


「セシル、旦那様に水を!」


「……解った」


「旦那様、他には何かいるか?」

 そう言ってラナはボロボロと涙を流して言った。


「泣くなラナ、せっかくの可愛い顔が台無しだ……お前達に話が有る……意識を失っている間に、神様からの頼まれ事が出来た、また厄介事になるかもしれん」


「そんなのいつもの事だよ、旦那様と結婚してからは、覚悟してるよ。なあアイリス」


「そうですよ、ラナの言う通りです」


「父上!」

「お舘様!」

「お舘様!」

「左近様!」


 そう言ってぞろぞろと皆が寝室に入って来た、五月蝿いぞさすがに……でも皆がこんなにも俺の事を心配してくれていたんだ、俺は本当にこの世界に来て良かった……本当に良かった。


 そう思ったら何やら涙が出てきそうになっていたが、俺はそれを誤魔化すように皆に言った。

「お前達、五月蝿いぞ……一応は怪我人なんだぞ」


 みんながシュンとした中でマルディが近くに来て土下座して言った。

「申し訳御座いません、しかしながらこれだけは言わせてください、我等の山と娘を救って頂きまして、本当に有難う御座います。

 我が部族を代表して、一人の父親として感謝してもしきれません、今後はお舘様に更に忠義を尽くして働きます」


「お舘様……本当に有難う御座います」

 マルディに続いてクロエも頭を下げて言った。


「俺は当主として、将として当たり前の事をやったまでだ。ただ元の山に戻って良かったなマルディ、クロエ」


『はい!』


「で、父上……何で無謀にも首無騎士デュラハンなんかと戦おうと思ったのですか?」


 あれ?珠の奴怒ってるのか?

「怒ってるのか?」


「当たり前です!いくら武家とはいっても父上は私の父上なのですよ!またあの時の様に……幼き私を残して行ってしまうのですか!」


「すまんな、あの時は皆が生き残るにはそれしかないと思っていたのだが……そんなにも無謀だったのか?」


「無謀にも程がありますよ!通常は首無騎士デュラハンはデスの魔法を使うので数千人の軍隊で戦うものです」


「デス?」


「3割の確率で相手1名を即死させる魔法です、魔法を使える者ならその発動が見れるのですが。

 聞けば父上は、そのデスの魔法を数十回も受けていたそうでは御座いませんか!本当に死ななかったのは奇跡ですよ」


 彼奴そんな魔法を放ってやがったのか、装備品のスキルのおかげで助かったと言う事か。

「すまんな……今後は気を付けるよ……少し休ませてもらえるか?まだ身体が痛いのでな」


「……まぁそれもそうですよね、では説教は後程で」

 そう言ってアイリスとラナ、セシルとセシリーを残して皆は出ていった。


 復活すれば説教されるのかよ!まぁ良いやとりあえずこの世界の事をちゃんと聞かないとな。


「行ったな?」


「行きましたね」


「よし、先程の話の続きだ……セシルとセシリーにはまだ言って無かったのが、俺は意識を失っている間に、この世界の神様の元に連れて行かれて、ある使命を授かった」


「神様?御主人様、その使命とは?」


 セシリーの奴、何でこんなにも食い付くんだ?まぁ良いか。

「一人の魔王の軍師となりその魔王と助けてやってくれと言われた、その魔王は神様がもう一人の魔王を牽制する為に誕生させた様だ。

 今回のダンジョンはその俺達の敵となる魔王が作った物で、自分の配下を魔王とする事により勢力拡大を狙った様だな。

 今後は二足のわらじを履くことになるだろうが、皆は協力して欲しい。頼めるか?」


「旦那様が何をされても私はお側におります」


「旦那様と結婚してなかったら、こんなにも楽しい人生じゃ無かった……何か今回も楽しそうな予感だね」


「……神の使命……カッコいい」


「そう言われれば合点がいきますね。貴族たるものそう言われては、断れませんよ御主人様」


「みんな、有難う。そこでだ魔王の事を誰か詳しく教えてくれんか?アイリスは帝国ではどう教えられた?」


「すみません帝国では私は騎士学校でしたので、基本的には戦いの方が中心でしたので」


「では、セシリーは?」


「余り詳しくは……」


「知ってるだけも良いんだ、教えてくれ」


「では、まず始めにこの世界の事から。

 この世界はその昔、ウェンザー超帝国がこの世界の殆どをを圧倒的な武力で征服していました、まぁルタイ皇国は2回も超帝国を撃退し、独立を保っていましたが。

 そして3回目の遠征軍を計画中に初代皇帝が亡くなりました、ここまではモンスターはいましたが、ダンジョンも魔王も出てきません。

 そして初代皇帝が亡くなった後に超帝国は、後継者問題で内乱が勃発し36の国に別れて各地で戦が起こりました、その時ですダンジョンが出来たのは。

 当初は溢れてくるモンスターの対策で、各国は共同でIDCUを設立しダンジョンを攻略していましたが、西のソドム帝国と数ヵ国が金の無駄だと脱退して放置しておりましたが、ダンジョンが成長して魔王が誕生し、そしてソドム帝国は滅びました。

 おそらくそれが、神様の言われていた敵の魔王かと思います。

 そして、時を同じくして同じく脱退した、隣のゴモラ王国に天変地異が起こりその隙にまたもや魔王が出現しゴモラ王国を滅ぼしました。

 おそらくこれが神様の魔王かと思われます」


 なるほど、オバチャン神様の言っていた通りだな。

「その誕生した魔王を誰も討伐しに行かなかったのか?」


「討伐軍は初代皇帝の子孫のウェンザー王国が中心となり各国の軍を束ねて向かったのですが、あえなく撃退されたそうです。

 その時は2つの魔王を同時に相手にしたとか……そしてそれが原因で各国のダンジョンを攻略する者がいなくなり、至るところに魔王が出現する結果となりました。

 しかし、職業が勇者の者達が表れて魔王を滅ぼしていきましたが、その最初の魔王達に向かって行った勇者達はついに帰ることがありませんでした、そしてそのまま時は流れて、また再び各国は領土をめぐって争い始めたのです」


「その二人の魔王達は他には進軍しなかったのか?」


「その兆候は有りましたが、片一方が攻めるともう片方が攻め込むといった具合に、御互いに動くことが出来ないようですね」


「なるほどだから、他にも配下で魔王を作り味方を増やそうとしていたのか……そうだルタイ皇国はその間はどうしていたのだ?」


「確かルタイ皇国は何処にも侵攻せず連合軍に参加せずに長い間、鎖国をしていました。元々がこの大陸から離れた島ですからね。

 去年から開国して貿易等に乗り出しましたけど、まだまだ未知の国です、その辺りは御主人様の方が詳しいのでは?」


「そうだな……」

 全く知らないけどね。そうだオバチャン神様プレゼントってアイテムボックスに入っているのかな?


 そう思いアイテムボックスの中身を見てみると、何やら見た事が無い装備品があった。


 ……鬼切り丸とワルキューレの鎧。とりあえず出してみて鑑定するか。

 そう思った俺は回復丸を取りだして体力を回復して鬼切り丸とワルキューレの鎧を取り出した。


「旦那様、何ですそれ?」


「神様に言って貰った武具だとりあえず鑑定しようと思う」

 そう言った俺は鬼切り丸から鑑定して見ることにした。




 名前:鬼切り丸 種類:日本刀

 スキル:必中 速度上昇大 魔法防御大 魔法付属攻撃 HP吸収 MP吸収



 なんだこれ!凄まじいスキルが付いてるじゃないか……最強だなこの刀は。



 名前:ワルキューレの鎧 種類:鎧

 スキル:速度上昇大 魔法防御大 物理防御大 運上昇中


 おぉ、これも中々に凄いな、ただ魔法攻撃が無いのが痛い……誰かに渡すか、そうだアイリスに村正を渡してワルキューレの鎧をラナにやろう。

「アイリス、俺の使っていた村正を使うか?」


「良いんですか?」


「あぁ、あれには体力を吸収するスキルと魔法付属して攻撃するスキルが有る、お前の助けになるだろう」


「有難う御座います、それとダンジョンで思ったのですが、私もラナの様にドレスの上から鎧を着て戦いに出てよろしいでしょうか?あれなら足裁きが見えにくいので、敵に有利になるかと思います」


 アイリスの言うことは一理有る、しかし赤いドレスに白い鎧で金髪の美少女って完全にアニメでいそうだな、素晴いじゃないか!そしてラナは黒色のドレスに赤い鎧、そして銀髪の美少女……最高だ。

「良いだろう」


「ずる~い!アイリスだけもらえて!」


「ラナ、お前にはこの鎧だ、黒いドレスの上から着るが良いだろう……でも潜入の時は忍装束だぞ」


「有難う、だから旦那様は大好き!」


「また旦那様はラナを甘やかせて」


「まぁそう言うな……そうだ、赤備にしよう!」


『赤備?』


「赤備とは俺の国である全身を赤い鎧で身を包みこんだ部隊の事だ。

 その派手な甲冑のせいで、敵味方から注目を浴びる為に敗けは許されない部隊の事なんだ」


「その部隊になるのですか?」


「そうだ、これには利点が有る。まずは部隊が有名になれば、我等の姿を見るだけで敵は畏怖し戦意を喪失する者が出て、戦が有利になる。

 次に赤い鎧に統一する事により同士討ちを防げる、そして最後に赤い鎧に目が行きアデルやラナが諜報活動がしやすくなるのだ」


「そんな事が……」


「まぁ何にせよ、我等の初戦は圧倒的な勝利が必要になるのだがな」


「そうですね、他のみんなの鎧も赤くするように手配しましょう」


「そうだな、明日の昼から部隊の訓練を始めるので手配しておいてくれないか?」


「解りました、そちらも手配しておきましょう。そうだ旦那様、ナバロと言う商人がやって来てココナの実等を昨日持って来ました、ラナもアデルも知っていたのでお金を支払い、また同じ量を注文しましたが、よろしかったのですか?」


「あぁそれで良かった、有難う。まぁみんな気付いてると思うが、エルマを使ってシャンプーの販売を副業にしようと思っているのだ、金は有るには困らないし、その商人を使って貴族とのパイプが出来るからな。

 エルマにはセシルとセシリーが、送り迎えと商品の引き渡しをやってくれ、利益は赤字にならなければ良い。

 そうだ、お前達もレベルが30を超えているだろうから職業変更をしてやらないとな」


「……もうやった」


「え?」


「御主人様、ナッソーは神殿や教会は無かったのですが、院元和尚が職業変更が出来るみたいなので、既にやってもらい二人とも魔導士になりました」


 マジかよ……よく考えたらルタイ皇国には教会も神殿も無いだろうから、寺が職業変更を担当しているんだ、今初めて知ったよ。

 あれ?じゃあ俺、いらないじゃん……何だか寂しい。

「そうかそれは良かったな、では俺も職業変更をやって少し休ませてもらうよ」


 そう言って俺は自分のステータスを開くとやはり職業が点熱していたのである。




 名前:島左近衛大将清興 種族:人間 レベル:37

 職業:侍 剣士 戦士 覇王 勇者 賞金稼ぎ 設計士 探検者 軍師


 固有スキル:ステータス閲覧 天眼 職業変更 全自動翻訳 経験値50倍 鑑定 アイテムボックス 詠唱省略 色欲増大 空間移動 盗賊警報 空間設計 製品開発 先読み


 装備:朱槍 鬼切り丸 長船小太刀 紅蓮の甲冑 覇王の陣羽織 マジックバック



 何だ?探検者と軍師が付いているし、スキルも若干変更されているな。

 変更か……こういうのは勢いが大切だよな、そうだよ勢いだよ!自分の直感を信じるしかない。

 これをこうして……こうして……こんなものかな。




 名前:島左近衛大将清興 種族:人間 レベル:1

 職業:侍大将 剣客 闘士 覇王 勇者 賞金稼ぎ 設計技師 冒険者 軍師


 固有スキル:ステータス閲覧 天眼 職業変更 全自動翻訳 経験値50倍 鑑定 アイテムボックス 詠唱省略 色欲増大 空間移動 盗賊警報 空間設計 製品開発 先読み 危険察知 ソニックウエーブ 必要経験値2割減


 装備:朱槍 鬼切り丸 長船小太刀 紅蓮の甲冑 覇王の陣羽織 マジックバック



 おぉ!何だか色々とスキルが増えたぞ……覚えきれる自信が全く無い!嬉しい悲鳴だが使いこなす自信が全く無い。

 こんなのはその内に馴れて来るだろう、しかし覇王と勇者が変更無しとは、ランクアップのレベルが他のと違うのかな?そうだとしたらこれは非常にめんどくさい事になるぞ。


 俺はそんな事を考えながら再び眠りの世界へと旅立っていったのであった。



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