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Another Life もう1つの人生  作者: くろべぇ
第一章  創成編
20/464

腐ってもドラゴン

 結婚式の次の日の早朝、俺は寝室の扉の向こうから話し掛けるクロエの言葉で目を覚ました。

「お舘様……お舘様……」


「クロエか、どうした?」

 いつの間にか俺達は寝室に戻り寝ていた様であった。折角の結婚式の初夜の記憶が全く無い……俺の花嫁姿のアイリスとラナとの楽しい夜の計画が、全て水の泡となった事を確信した。

 ヨラムめ……彼奴のせいだ、彼奴が全てぶち壊しやがったんだ、恨んでやる。


「お休み中のところ申し訳ございません、アデル殿がお館様にご報告が有るとお待ちです、緊急の案件の様で」


「解った、すぐに行こう」

 何だろうか?寝室には既にラナ達の姿は無く、アイリスだけがまだ寝てる。しかし、ラナ達は朝が強いな。

 俺はそんな事を考えながら、着物を羽織り囲炉裏の間に行くと、皆が揃い、各部族の族長も来ていた。


『おはようございます』


「おはよう、アデル緊急の案件って何だ?」


「はい、昨日バッシュ殿の命により向かいのピケ山のダンジョンの位置を探りに、偵察に出掛けたのですが、オヤジさんの情報通りの場所にダンジョンは発見したのですが既にモンスターが溢れ出ておりました」


 バッシュの奴そんな事を……しかしダンジョンからモンスターが溢れ出ているとはどう言うことだろう?何か問題があるのか。

「……兄貴、ダンジョンから溢れ出るってどう言う事?」


 ナイス!ラナ、俺が知らないと思いフォローしてくれたんだな。


「ラナよ、モンスターはダンジョンの侵入者を優先的に攻撃する性質が有る、ただし攻撃能力を持たない者なら、優先度は低い様で追われない様だが、見つかれば殺されてしまうがな。

 ダンジョンは、出来た当初は5階位しか無いのだが月日が経つにつれて階層は増えて行く、その増える階層の容量以上にモンスターが生まれれば外に出て来てしまうのだ。

 以上の事を考えると、ダンジョンからモンスターが溢れ出てると言う事は、先発した冒険者達がほぼ全滅したと考えて良いだろう。

 そして今回のダンジョンはアンデッドが主体のダンジョンだ、アンデッドは殺した者もアンデッドにしてしまう能力が有る、これは野放しに出来ない事案だ、おそらくはIDCUも溢れ出たモンスターの討伐の依頼を、各方面に出すだろう」


 簡単に言えばアンデッドって、ゾンビ映画とかのゾンビの様に増えるって事か、それはこの世界じゃ厳しいだろうな、まぁ昨日の今日じゃそんなに数はいないだろうしまだ討伐可能だろう、稼ぎになるしアイリス達のレベルアップの図れるな。

「ではダンジョンは俺が数名を連れて行こう、溢れ出たモンスターはマルディとボルの部族から討伐隊を編制して向かってくれ」


「お舘様、それはいくらなんでも……」


「大丈夫だバッシュ、無理はしないさ。お前はここで何かあった時の為に居てくれ。

 居住区の上下水は兼平に聞いてこのまま進めてくれ、何か困った事があれば珠に助言を仰げば良い、それと誰かオヤジさんの所に行って、山のモンスター討伐は俺達が引き受けると言ってくれ、金額は幾らでも良い」


「……解りました」


「お舘様!私も、私もご一緒させて頂いてもよろしいでしょうか?」


 クロエが来れば、俺のスキルを使うのが難しいな……しかし断って勝手に来られても迷惑だし……仕方がない連れて行こう。

「仕方がない、良いだろう。一緒に行くメンバーは、俺とアイリスにラナ、クロエにセシルとセシリー、そして蘭だ」


「わ、私ですか?」


「そうだ、どうしてもサポート役がいないのが不安だ、頼むよ」


「……解りました」


「じゃあ、昼までにみんな準備して昼から作戦開始だ!」



 そう言って俺は、寝ているアイリスを起こして朝食を食べてから、連れていくメンバーの装備品を探していた。

 その為には、クロエのステータスを確認しないとな。



 名前:クロエ 種族:エルフ レベル28

 職業:狩人イエーガー 剣士 魔法使い



 おぉ!かなり優秀じゃないか、狩人って弓を使う者って事かな?しかしみんなレベルが近すぎる、一斉にランクアップすると危険だな。

 そう思いながら、セシルとセシリーそして蘭とクロエの装備品を選んだ。


 セシルにはこれを。

 名前:レーヴァテイン 種類:剣

 スキル:MP消費抑制大 魔法攻撃力上昇小 魔法附属攻撃


 名前:闇司祭のローブ 種類:ローブ

 スキル:MP最大値上昇大 MP消費抑制中



 セシリーにはこれを。

 名前:カドゥケウス 種類:杖

 スキル:MP消費抑制中 魔法攻撃力中


 名前:マーリンローブ 種類:ローブ

 スキル:MP最大値上昇中 魔法攻撃吸収



 クロエにはこの装備を。

 名前:アルテミスの弓 種類:弓

 スキル:攻撃力上昇中 魔法附属攻撃 


 名前:アスカロン 種類:剣

 スキル:攻撃力上昇中 MP吸収 魔法附属攻撃


 名前:ネメア 種類:鎧

 スキル:物理防御上昇中 速度上昇中 



 そして蘭には、巫女の服は無かったので武器のみになった。

 名前:ロンゴミアント 種類:槍

 スキル:MP吸収 MP消費抑制大 魔法攻撃力上昇中



「こんなに伝説級の武器を貸して頂いてもよろしいでしょうか?」


 まぁクロエの驚きも最もだわな、普通は昨日出会った奴に、ポンと伝説級の武具を渡すとは思わんわな。

「まぁ今回ダンジョンに一緒に入るから、これぐらいしないとな。今後の働きによってはお前と蘭にはその武具をやろう、それまで精進せよ」


「有難う御座います!」


「蘭は要らないのか?」


「い、いえこんな高級な武器を壊したらと思うと……」


 単に貧乏性なだけだったか。

「別に壊しても怒らないさ、武器は使うために有るのだからな」


「は、はい」


「セシルとセシリーにはそれをやる、お前達は特別だ」


「……良いのですか?奴隷にここまでする人なんて聞いたことがない」


「いんですよ、いくら奴隷でも自分の大切な人の様に扱う、それが旦那様なのですから」


「……アイリスの奥様……解りました、御主人様有難う御座います」


「わ、私も有難う御座います」


「アイリス、準備は出来たのか?」


「はい、ただラナがあのドレスと鎧のセットを気に入ってしまって、あれで行きたいと駄々をこねていまして……」


 あれか、確かに目立たない忍装束よりはカッコいいしな、てかあれは実戦的よりは見た目重視の服装だからラナが気に入るのも無理はないか。

「仕方がない、ラナがそれで良いと言うならそれで良い。その代わりに忍装束も持って行かせよう」


「旦那様は、そう言ってラナをすぐに甘やかすのですから……解りましたそう伝えてきます」

 そう言ってアイリスは寝室に向かって行った。


「御主人様、あまりラナの奥様を優遇されますと、アイリスの奥様が嫉妬されるかと……帰りましたらアイリスの奥様にプレゼントをされては如何かと」


「なるほどそうだな、セシリー有難う帰ったらそうしてみるよ。さてとそろそろ出発しようか」

 俺達はこうして向かいのピケ山に向かったのであった、まだ山の麓に迄モンスターが来ていないようで、山までにはすんなりと行けたのだが、山中に入ると俺の気配探知に至るところに反応が出たのであった。


「これはさすがに多いな、行軍の陣形はいつもの様にラナが斥候と周辺警戒で、俺が前衛、次にクロエと蘭、そしてその後ろにセシルとセシリー、後方警戒はアイリスだ」

 俺がそう言うと、みんなはすぐにその陣形になり、そのままダンジョンを目指す事となった。


 しかしまだ太陽が昇っている時で良かった、この状態で夜はさすがに恐いぞ、ホラー映画は見るのは大丈夫だが、実際に味わうのは勘弁願いたい。そう思っているとダンジョン近くでラナが急いで戻って来た。

「旦那様、ダメです囲まれましたコイツらは普通は知能が無いモンスターなのですが、ここにいる奴は少し頭が働くようですね」


「仕方がない、ここで迎え撃つ!中心に蘭とセシルとセシリー、残りは3人を守る形で布陣しろ!」


『はい!』


 すぐに陣形を整えた後で、俺は気配探知を集中して見てみた。

 すると至るところに反応があった、数はおよそ30だ。

「敵の数はおよそ30だ、気を引き締めていけ!中心の3人はアイリスを中心にバックアップしてくれ、ランクアップしたばかりだからな」


「うそ、いつの間にランクアップしたの?アイリスばかりズルい!」


「ラナ、そう言うなお前もあと少しだ、これが終われば出来るさ」


「絶対ですよ!絶対ランクアップしてくださいよ」


「あぁ……来たぞ!」


 視界に現れたのはゾンビの群れであった。

 あ、これ夜は出会ったらダメなやつだ。そう思いながら槍を構えると俺は空間転移を使いながら次々とゾンビの頭に朱槍を突き刺して行った。


 その中で背後から爆音が鳴り響く、俺が後ろを見るとセシルがゾンビを燃やして、セシリーがゾンビの動きを凍らせて止めて、アイリスがとどめを入れていた。

 ラナは斬り込み肉弾戦をやっていて、蘭がそのフォローで魔法障壁で危険な攻撃を防いでいたのであった。

 クロエは、近付く前に額に弓矢を撃ち込んでいたし、このパーティはもしかして強いんじゃね?と俺は思いつつあった。


 しかし蘭の魔法障壁って魔方陣みたいなのが出て来て、それで物理攻撃も防ぐんだな、そう思っていると何やらドスンドスンと何か大きなものが近付く音がしてきた。


 何やら嫌な予感がする、そう思いながら自分の目の前のゾンビを倒した時である、木々を押し退けて俺の視界に出てきたのは、腐敗した肉体のドラゴンであった。


 これはいくら俺でもヤバイのは解るぞ、ドラゴンゾンビだ。動きも他のゾンビより早い、これはまずいぞ……みんなはどうだ?ほぼゾンビを倒しているか、ならば。

「セシリー!ドラゴンの足を凍らせて動きを止めろ!クロエ、セシルはドラゴンの頭に集中攻撃だ!残りは、ゾンビどもを掃討しろ!」


『はい!』

 俺がそう言うと、ドラゴンゾンビの頭に集中攻撃セシルとクロエの集中攻撃が始まったのだが、余程硬いのかドラゴンゾンビはよろめくばかりで、中々頭の骨を貫通出来ないでいる。


「ダメです御主人様!肉体は腐っているのに骨は凄まじく硬くて貫通出来ません!」


 セシルの言う通り、腐ってもドラゴンと言う事か……今上手いこと言ったな俺。

 いやいや、そんな事より、やはり朱槍で無いと貫通出来ないか、しかしこう動き回られると空間転移でも突き刺せないし、朱槍を投げて必中でも身体に当たるかも知れない、通用する武器がこの朱槍だけの今は、そんなギャンブルが出来ない、どうする?


「セシリー、少しでも相手の動きを止れないか?」


「無理です、足を封じるだけでも精一杯です!」


 ダメか?撤退するべきか?そう考えたその時であった。

「蘭!魔法障壁を2つ出す!」


「は、はい!」


「どりゃゃゃ!ドーン!」

 そう言ってラナが蘭が出した魔法障壁を足場にして飛び、ドラゴンゾンビの顔面に蹴りを入れたのであったが、ドラゴンゾンビはなんとか踏ん張って耐えたのであった。


 だがその瞬間、ドラゴンゾンビの頭の動きが一瞬止まった。

 イケる!俺はこの瞬間を見逃さなかった、空間転移をドラゴンゾンビの頭上に出して、思いっきり朱槍を突き立てたのであった。


 ぐぉぉぉ!

 ドラゴンゾンビは断末魔の雄叫びと共にその場に倒れると、大量のシャボン玉の様な泡となり、空に舞い上がっていったのであった。

 残された場所には大量の金貨が落ちている、クロエと蘭はその金貨を拾いながら言った。

「早く拾わないとモンスターがやって来ます!」


「そうですお舘様、また霊が取り付いてモンスターになっちゃいますよ!」


「解った、セシルとセシリーも拾え!アイリスとラナは周辺警戒を頼む!」


『はい!』


 これは、戦闘中でも拾わなきゃいけないのか?だとするとダンジョンを攻略するのはとんでもなくめんどくさいぞ。

「なぁアイリス。これ、拾っている間にモンスターに出会ったら戦うんだろ?大変じゃないか?」


「そうですね、本来のダンジョン攻略のパーティには、運搬屋ポーターと言われる者がおりまして、その者が金貨やアイテムを回収するんですよ」


 なるほど、そんな都合の良い職業の者がいるのか、そうなると戦の時の荷陀隊に使えそうな気がしてきたな。



 金貨を回収し終えた俺は、ふと俺達の住む山をみた。

 それにしても、この山は俺達の山の目と鼻の先に在るな、間に川が流れていて山の幅の一番狭い所は200Mも離れていないし間に柵や壁を作れば、天然の城が出来るじゃないか。

 ……だめだ、費用がかかりすぎる……まてよナッソーも山の間に在るからそこまで城にすれば……止めとこう領主なんかになればめんどくさい事になるからな。

 そういやラナはランクアップするんじゃないかな?



 名前:ラナ・島 種族:ダークエルフ レベル33

 職業:召喚士 盗賊 暗殺者 賞金稼ぎ 戦士



 戦士が職業に増えたか……もしかすると戦士は乱戦を経験する職業なのかも知れないな。


「ラナ、レベルが30を超えたけどどうする?ランクアップするか?」


「もっ、ちろんしますよ」


「ならばレベルが1になるから注意しろよ」


「了解で~す!でも何が良いか解らないから旦那様の好みにして」


 な、なんつう卑猥な……いやいや俺だけかそんな事を考えるのは。

 とりあえず、召喚士の方から始めるか……召喚士、召喚師、幻術士、悪魔召喚士、精霊召喚士、消去。


 結構な数が出てきたのだが、召喚師って字が違うだけじゃねえか!でもマメの事もあるから、アゾットのスキルは悪魔召喚だったから、マメも悪魔の部類に入るのかな?ならば悪魔召喚士になるか。


 次は盗賊か、盗賊、盗掘者、山賊、海賊、空族、義賊、消去。

 く、空族ってなんだ?空の暴走族みたいな感じかな?義賊も在るのか……これからダンジョンに入るから盗掘者だな。


 暗殺者は下忍にしかなれないし、賞金稼ぎは変更無しで残るは戦士かぁ……騎士にしないとラナ怒るかな?後が恐いから騎士にしておこう、これで少しは、おしとやかになってもらえれば良いんだが。

 これで決定と……あれ?アイリスの時の様に、ガクッとならないぞ?


「ラナ、身体は何ともならないのか?」


「ん~特には……でも身体は少し動きにくいですね。旦那様、私の職業は何にしたの?」


「悪魔召喚士と盗掘者に、下忍と賞金稼ぎと騎士だ」


「そうなんだ……ま、良いか」


 お気楽だなぁ……あれ?アイリスの目が泳いでるぞ。もしかしてあの時のは演技だったりするのか?……ありえるな。


 セシルはレベルが27でセシリーはレベルが26か、もう少しだな。残る二人は……あれ?何でポカーンとしているんだ?…………忘れてた!二人の前でスキルを使ってしまった!


「お、お舘様……い、今のは?」


「クロエ、これには深い訳があってだな……」


「私の旦那様ですから特別なのは当たり前です、それはともかく、この事を他言すると……殺しますよ」

 あ、アイリスさん恐いですよ、目がマジですよ。


「も、もちろんです!」

 あ、良いんだ。蘭も何度も頷いているし……アイリスマジで恐いッス。


「アイリス、そんなにビビらせちゃ可哀想だよ。大丈夫だよね、言わないよね~、命が大切だものね~」

 ら、ラナよとどめを入れてどうする、完全にヤバイものを見たような顔に二人なってるじゃねえか。


「まぁ、解ると思うが俺の職業には勇者が入っている。因みにセシルとセシリーも持っているぞ」


「で、ではお舘様は……」

「クロエ、それ以上の詮索は無しだ……どうする?俺の軍を抜けるか?」


「……私はお舘様の親衛隊です、忠誠心はバッシュよりも……他の誰よりも持っていると思っています。お舘様が言うなと言えば死んでも言いません」


「蘭はどうする?」


「……言いませんよ!言っても誰も信じないだろうし、3人も勇者様がいるなんて……でも空間転移を使っておられましたし……それに……」


 何か最後が聞こえなかったな、何か赤面して俯いたままだし。この調子なら大丈夫か。

「それでは、ダンジョンに入ろうか」


『はい!』


 そう言って俺達はダンジョンに入って行った。

 それにしても、さっき蘭とクロエのステータスを確認したのだが、レベルに変化は無かった、やはり同じパーティでも俺のスキルは二人には効果は無いようだ、そういやダンジョンに入ったのは良いが、攻略するのはどうすれば良いんだ?

 ……俺、大切な所を聞いていなかった……バカだ俺。聞くしかないか。

「アイリス、ダンジョンってどうすれば攻略出来るんだ?」


「……え?……実は私も知りません」


「……ラナは?」


「私が知っているわけ無いじゃ無いですか」


「セシルとセシリーは?」


「……私は貴族だったから……」


「私も同じく、貴族だったのでダンジョンに興味はありませんでした」

 マジでかよ、どうするんだこの状況。


「それでしたら私が」


「おぉクロエ頼むよ」


「ダンジョンは最深部か、最上部にいるボスを倒せばダンジョンは無くなり、ダンジョン内のモンスターも消えます、これが攻略と言われるものです。

 このボスがダンジョンで力を蓄えて魔王になるそうです、魔王になると力は数倍に膨れ上がりますので……まぁここには勇者が3人もいますが、普通は魔王になりますと勇者を探しだして討伐を依頼し、探せなければその国は滅びます。

 現在滅びた国は2か国御座いまして、その国は魔族の国になっておりますが、お互いの魔王同士で牽制しあって現在は動けない状態で御座います。

 そして話は戻りましてダンジョンですが、数々のトラップが在る代わりにセーフティールームも各階に1つ御座いますので、冒険者達はそこを拠点にして各階層を進んで行くことにしている様です」


 セーフティールームってそんなに都合が良い部屋があるのかよ。

「クロエ、詳しいな」


「実は昔に冒険者を目指しておりまして……子供の頃の話ですが」


「そうか、ならばとりあえずそのセーフティールームをまず探そう、戦い続けるのはさすがに神経がもたないからな」


「そうですね、それが無難ですね」


 クロエがそう言うと、ラナが走って戻ってきた。

「この先は十字路になっていますが、その十字路にスケルトンが2体います。そこを突破するしか無いですね」


「仕方ない行くぞ、ラナは周辺警戒を頼む」


「はい!」


 そう言って警戒しながら進むとやはり、剣と盾を持ったスケルトンが2体いた。

 洞窟の内部はやはり光る苔のせいか、比較的明るいのだが、スケルトンの内部は暗い、だが俺はその中に変な物を見つけた。


「アイリス、あの心臓の所にある石の様な物は何だ?」


「本当ですね、何でしょうか?まさか弱点とか?」


「あながち間違ってるとも思えんし、そこを狙って攻撃するか」

 そう言って俺は、空間転移を発動したのだが出ない。もしかしてこのダンジョン内部は何かの力が働き、空間転移が出来ないのか?そうなるとヤバイな……しかし今は仕方がない行くか。


 俺はスケルトンに向かって背後から石の様な物に、朱槍を突き立てるとスケルトンは脆くもバラバラとなり地面に崩れ落ちたのであった。

 これは完全に弱点だなと俺が確信した時であった、残るもう1体の石の様な場所にクロエの放った弓矢が見事に刺さり、スケルトンは崩れ去ったのであった。


「クロエすまない」


「いえ、当然の事をしたまでで……」

「旦那様!こっちからスケルトンが3体来たよ!」


「旦那様!後方からはゾンビの群れです!」


「……ダメ、こっちも来た」


「御主人様、こっちはスケルトン5体です!」


 クソッ、囲まれたか。残っている道は直進しかない、進むすしかない!

 その時であった、進もうと思っていた方向から弓矢が飛んできて、クロエの腕をかすったのであった。


「きゃ!」


「大丈夫か?クロエ!」


「これぐらい大丈夫です!前方にスケルトン、弓矢を装備して……」

 そう言うと急にクロエはその場に倒れたのであった、倒れたクロエの顔色が悪く息も粗い……速効性の毒か!とりあえず、十字路の真ん中はまずい。


「みんな、前に進んで通路で迎え撃つ!蘭は魔法障壁で弓矢を防いでくれ、クロエは俺が担ぐ!」


『はい!』

 俺はそう言うとクロエを抱き抱えて、通路を少し進んだ。

 よし、ここならモンスターが来るのが前か後ろしか無い、前方の弓のスケルトンは蘭とセシルとセシリーに任せて、後方はアイリスとラナに任せれば大丈夫だ。


「わ……私を置いて……」

「置いて行くわけ無いだろうが!喋るな!」


 ダメだ、思った以上に毒の進行が早い。かすっただけでこんなになるなんて、どんな強力な毒なんだよ。

 俺は、そう思いながらアイテムボックスから解毒丸を取り出した。

「クロエ、早くこれを飲め!」


 そう言って解毒丸を口に運ぶが、クロエは全然飲もうとはしない、もう意識が殆ど無いのか。脈拍が弱く汗も凄い、そして意識障害……これは想像以上にヤバイな。

 俺はそう思いながら、解毒丸を口に含み更に水筒から水を含むと、クロエに口づけをして、水と一緒に解毒丸を流し込んだのであった。


「あ~!良いなぁ!」


「ラナ、そんな事を言っている場合じゃ無いだろう!早くそっちを何とかしてくれ!……アイリス、わざと倒れるなよ」


「そ、そ、そんな事をするわけ無いじゃ無いですか!」


 ……コイツやる気だったのか。

 しかし、クロエの呼吸か少し落ち着いて来た、脈拍も少しだが元に戻っている……とは言ってもエルフの脈拍が人間と同じとは限らないが、姿は人間に近いので脈拍も近いだろう、後でラナの脈を見てみれば良い。

 とりあえずは、この場所から移動しなければ、そう言えばクロエは各階層にセーフティールームが在ると言っていたな、とりあえずはそこに避難するか。



「旦那様!こっちは終わったよ!」


「……御主人様、こっちも終了しました」


「よし、じゃあセーフティールームを探して今日はそこで休もう。俺がクロエを抱えて行くから、ラナには前衛を頼む」


「ハイハイ」


「では、あらかた金貨を回収したら出発だ」


『はい!』


 俺達は、金貨を回収してそのままダンジョンの奥に進んで行ったのであった。





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