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Another Life もう1つの人生  作者: くろべぇ
第一章  創成編
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自業自得

 俺達は王宮を出た後、エルマの店に戻ってきた。エルマはまだ準備が有ると言ってバタバタと動いていたので、俺達は部屋に集まって話していた。


「蘭さん、これからどうする?俺達の所に来ないか?このままレンヌに入ればもしかすると仕返しに誰か来るかも知れない、俺達の所なら安全だと思うのでな」


「良いんですか?でもそんなにご迷惑じゃ……」


「迷惑じゃないさ、俺の娘も歓迎してくれるさ」


『えっ?』


 俺の言葉に、セシルとセシリーと蘭の3人が反応した。よく考えたら俺の年齢で、珠の姿は変だわな。

 あれ、珠に会って無いのに何で驚いたんだ?まぁ良いか。


「まぁ訳あってドラゴンになってしまったんだが、人の姿にもなれるんだ」


 3人とも何が何だか解らないと言った顔になっているな、さてセシルとセシリーのステータスを見るか。




 名前:セシル 種族:人間 レベル:22

 職業:奴隷 魔法使い 貴族 勇者見習い 賞金稼ぎ



 名前:セシリー 種族:人間 レベル21

 職業:奴隷 魔法使い 貴族 勇者見習い 賞金稼ぎ




 やっぱり職業に勇者が出ている……勇者見習いってなんだ?それに何だか賞金稼ぎも出ているが、一応アイリスとラナも確認してみるか。




 名前:アイリス・島 種族:人間 レベル:30

 職業:剣士 戦士 暗殺者 賞金稼ぎ



 名前:ラナ・島 種族:ダークエルフ レベル29

 職業:召喚士 盗賊 暗殺者 賞金稼ぎ



 あれ?アイリスの職業が点滅している、何だろう……レベルが30になったからか、どうしようランクアップ狙うかな。とりあえず説明だな……ダメだ、蘭さんがいる。

 これは寝室で他のみんなに説明だな。さてと俺はどうかな?




 名前:島左近衛大将清興 種族:人間 レベル:19

 職業:侍 剣士 戦士 覇王 勇者 賞金稼ぎ 設計士 


 固有スキル:ステータス閲覧 気配探知 職業変更 自動翻訳 経験値50倍 鑑定 アイテムボックス 詠唱省略 色欲増大 空間移動 盗賊警報 空間設計 製品開発


 装備:朱槍 妖刀村正 長船小太刀 紅蓮の甲冑 覇王の陣羽織 マジックバック




 レベルも上がっているし何だか訳の解らない職業も付いているな、みんな賞金稼ぎが付いているって事は、今回盗賊を倒しまくったからか。

 盗賊警報のスキルって、盗賊が近くに居たら教えてくれるのかな?でもナッソーで使用したら、盗賊が多いから煩くて仕方がないぞ……使えんな。

 設計士は固有スキルから見て考えると、シャンプーとかを開発したからかな?このスキルも今度試してみるか。


「あ、あの~聞いても良いですか?先程の国王陛下達が言われていた左近衛大将様ってもしかして……」


「あぁ、俺の事だ。ルタイ皇国の帝から、今回の救出作戦のバックに付くから、左近衛大将になってくれと頼まれたのでな」


「そんな……帝まで今回の事で動いて下さるなんて……本当に何てお礼を申し上げれば良いか……」


「その気持ちだけで十分だ……もし良かったらだが、俺の傭兵部隊で働かないか?給料はまだ出せないが」


「勿論です!一生懸命働きます!私は巫女のなので、攻撃は出来ませんがステータスアップや魔法障壁が使えます!是非とも左近衛大将様のお側に居させて下さいませ!それから私の事は蘭で御願いします」


 何か最後の言葉に引っ掛かるが、蘭のスキル魔法障壁……これは魔法とかを防ぐスキルだろう、ならば部隊の盾になり戦術の幅の広がるし、部隊の消耗率も減らせる。

 巫女とはかなり使えるな。

「有難うこれからも宜しくな」


「はい、王子様!」


 ん?何で王子様なんだ?その時、扉が開いてエルマがやって来たのである。

「お待たせぇ~!んじゃ行ってみようか!」


 テンション高っ!まぁとりあえず家に戻るか。

 俺達はエルマの店の裏手から、目隠しをしたエルマと蘭を馬に乗せて空間転移で一気に家の近くまで飛んだ。

 まぁ目隠しをしても、少し考えれば解るんだけどね。


 でもこう人数が多くなったら、部屋数が足りないな寝室の他に客室は3部屋しかない、1つは珠の部屋になるし、もう1つはロンデリックが使っている、残る1部屋に蘭とエルマか……ダブルベッドだし大丈夫かな。

 アデルはナッソーに自分の家が在るから、そっちに帰ってもらえば良いか、ロンデリックと一緒だと貞操の危険が有るからな。

 セシルとセシリーは勿論、俺達と一緒だ……楽しみだ……ダメだ、ダメだ!自分から求めるようにしないと、おばば様からもらった例の物を使ってでもな。

 ……あ、和尚と兼平を忘れていた……彼奴等は囲炉裏の間で雑魚寝で良いか。

 そんな事を考えていると家に到着した。

「……お帰りなさいませお舘様」


「アデルか、何か変わりないか?」


「いえ……ヨラムが珠様に泣かされたくらいです、その御方達は?」


「今日から俺達の仲間になった、セシルとセシリーの姉妹と巫女の蘭だ、そして客人のエルマさん。

 みんなこいつは、ラナの兄貴のアデルだ仲良くしてくれ」


 そう言って家に近付くと、懐かしい香りがしてきた。

 そう、味噌汁の香りだ!そう思い走って家に帰ると、囲炉裏に有る鍋に珠が味噌汁を作っていたのであった。


「珠!この香りはもしかして味噌汁か?」


「あら父上、お帰りなさいませ。そうです味噌汁ですがどうしました?」


「味噌汁なんか久し振りでな、そうだ客人と新しく仲間になった者も連れて来ている、皆で食事にしよう!」


「はい、はい。そんなにはしゃいで父上は本当に子供みたいなんですから」

 何とでも言いやがれ俺には味噌と醤油が必要なんだ。


 そう言って俺達は食事をしながら、みんな自己紹介をしていた。

 思えば最初は俺とアイリスとラナの3人でこの家にいたんだよな……賑やかになったものだ、でもこんなに賑やかな食事も良いものだな、何か家族みたいで……家族なんだが。

 そうしていると、ロンデリックがいきなり部屋から飛び出して来た。

「出来たー!左近様、完成しましたよ!……あれ、エルマさん何でここに?」


 お前……空気読めよ。

「ロンデリック、何が完成したのですか?」


「た、珠様……それはですね……その……」


 ロンデリックよ助けを求めるな……仕方がないか

「ロンデリック、俺から説明する。実はだな明日の夕方に俺とアイリスとラナの結婚式を行う。まぁ結婚式と言ってもパーティをするだけだが」


『えぇ!』


 まぁ驚くわな、アイリスとラナは放心状態か。何で蘭が悲しそうな顔をしているのかが解らんが。


「ち、父上!お、お食事とかは?」


「それはナッソーから、オヤジさんが店を閉めてやってくるので大丈夫だ。衣装はみんな普段着で良いよ、アイリスとラナにはウエディングドレスと言う服をロンデリックに作ってもらったので、それを来てもらう」


「だからあんなにテーブルを運び込んでいたのですね」


「そうなんだ、まぁ明日は早い早く風呂でも入って寝るか、エルマさんと蘭はそっちの部屋を使ってくれ、珠は残りのあの部屋ってもう使ってる?」


「もちろんです」


「アデルは自分の家に帰って、和尚と兼平は、すまんが部屋が足りないのでここで良いか?」


「もちろん」


「さてと……今回はアイリスとラナは、蘭とエルマとセシルとセシリーに風呂の入り方を教えてやってくれ。俺は今回は一人で入るよ」


「解りました……行きますよ」


 何だかアイリスの奴、怒ってるみたいだな。まぁこの埋め合わせはするから良いか。


「さてと……行ったか……」


「えぇ、行きましたね。父上、少しお聞きしたいのですが……あのセシルとセシリーの二人は父上の奴隷では?」


 やはりその話しか……もしかして、警戒しているのかな。

「そうだ、あの二人は家族同様に扱う様にな」


「戦にも連れていくのですか?」


「勿論だ、あの二人には魔法部隊になってもらう」


「解りました、奴隷では裏切りの危険も少ないですし……それとは別に、これからも側室をもたれるおつもりですか?」


 そ、そこか!珠が引っ掛かっていたのはその点だったのか。てか、アデルの前でそんな事を聞くなよ。

「そうだな……まだ解らん、俺はまだそんな事は考えておらんのでな」


「私は多くてかまいませんよ、子供ができれば跡継ぎにも困らないですし、当たり前の事です」


 良いのかよ!……ラッキー!良い事を聞いたな、これで珠の目を気にしなくてすむ。そうだ、アデルに頼み事があったんだった。

「所でアデル、頼み事が有るのだが。ザルツ王国の王女リリアナにプレゼントを渡してくれんか?」


「……プレゼント?」


「そうだな……ぬいぐるみに、ナイフを突き立ててリリアナのベッドに入れるだけで良い。あの王女は今回の事で俺達を怨んでいるだろうし、何か嫌がらせをしてくるかも知れない。

 そこで、いつでもお前の命は取れると警告をするのだ、ああいう者は自らの命に危険が及べば、必ずや手出ししなくなる。勿論、結婚式が終わってからで良い」

 そうだ、ここでリリアナを抑えておかないと、すぐにここに攻撃とかバカなことを仕出かす危険が在るからな。


「……そう言う事でしたら解りました、本当の恐怖を教えてやりましょう」


 何だか殺気が凄いが、殺しはしないだろう……たぶん。

「所でロンデリック、浴衣ってまだ余ってるか?あったらセシルとセシリーの分を売って欲しい、サイズは解るな?」


「在りますが、サイズに合いそうなのは1着づつしかないですよ」


「仕方がない、それで良い……俺は最近夜に喉が乾くから寝室に水を持って行くよ」

 そう言って俺は、台所に向かい竹で作った水筒に水を入れたのであった。


 勿論、人数分5本用意する……その内の2本はおばば様からもらった例の欲情の薬を入れておく、惚れ薬は次回だ……フハハハ完璧だ。

 この2本をセシルとセシリーに飲ませて今夜は……おっといけない、何か印をつけておかないと、アイリスとラナが飲んでは大変だ。

 そう思って水筒に傷を付けて、解るようにした。これなら暗闇でも解る、やはり俺は天才だ。


 そう思いながら俺は水筒を持って寝室に向かって行った時であった、風呂場から蘭が出てきたのであった。

「あれ?左近様、どうしたの」


「あぁ寝室に水を持って行こうと思ってな」


「良かったぁ、私丁度喉がカラカラなんですよ。あ、1本貰いますね」


「ちょ……!」

 飲んでしまった、どっちだ?……しまった傷の有る方だ!まずいぞこれは。


「どうしました?」

 そう言って出てきたのは裸のラナであった。出てきた時にラナの後ろでセシルとセシリーの裸が見えて、一瞬心の中でガッツポーズをとったのだが……とりあえず寝室に逃げるか。


「ラナ、喉が乾くと思って水を持って来たので、寝室に運んでおくな」


「有難う御座います!」


「じ、じゃぁな……蘭」

 そう言って俺はソッと、寝室に逃げ込んだ。


 どうする?どうする?ヤベェよ、まさか蘭が飲むとは……知らなかった方向で押し通すか。姿を見せなかったら、アデルにでも行くだろう……すまんアデルよ。


 そう思って寝室の扉を開けようとすると、ゆっくりと扉が開き、俯いている蘭がいたのであった。

 いやいや、何のホラーだこれは恐いぞ!


「……王子様」


「えっ?」


「王子様、私の王子様!」

 そう言って俺は、蘭にベッドに押し倒されてしまった。


「ま、待て!落ち着こうじゃないか、俺には……」

 喋っている途中で蘭にキスをされてしまった。嬉しいのだが、アイリスやラナがこの状況を見たら俺、殺され……いるし!


 顔を半分だけ出したアイリスが、こちらを見つめているし!こ、殺される。

「旦那様ぁ~結婚早々に浮気ですかぁ?貴方って人は……」

 ほ、ほら、お怒りじゃないですか!あ、頭に角が見える。


「あれ?アイリス何やってるの?……ほら、こっちにおいで、旦那様は奴隷でもベッドで一緒に寝ないと怒るから」

 そう言ってラナはセシルとセシリーを寝室に連れてきた。


 止めて、見ないで!何だか俺が襲われてる見たいじゃ……襲われてるんだが。そんな事より、威厳が無くなる。


「……解った」

 そう言ってセシルは、何かを覚悟したかの様に水を飲んでこっちにやって来た。……水を飲んで?……マズイ!どっちだ?どっちを飲んだんだ?えぇい!ここからじゃ見えない。

 コラ!蘭よ着物の中に腕を入れるな。


「おぉ!蘭も大胆だねぇ、ほらアイリスもおいでよ」

 ラナよ、頼むからアイリスを煽るなよ。


「ラナ貴女って人はぁ~」


「アイリス良いの?旦那様をみんなでいただくよ~?蘭に旦那様を取られちゃうよぉ~」


「解ったわよ!」

 そう言ってアイリスは水を飲んでこっちに来ると、それに続きセシリーも水を飲んでこちらに来た。


 誰だ?誰が例の物を飲んだんだ?……もう解らん!据え膳食わざるは男の恥と言うではないか。

 全員相手にしてやるよ!お前ら覚悟しとけよ!………………………………撃沈されました、もう何もする気力が出ない……ちなみに例の物を飲んだのはセシリーでした、俺のスキルでも勝てないとは、次回より人をえらぶか。





 夜中にふと目覚めた、俺の回りではみんな気持ち良さそうに寝ている。

 まぁみんな、あんなに俺から絞り尽くしたら十分であろう、しかし疲れたな……風呂でも入ってサッパリするか。


 俺はソッとベッドから抜け出すと寝室を出て、そのまま露天風呂に向かった。

 何だか一人で入るのは久々だな……みんな寝ているから静かで良いな。桜はもう散り始めている、結婚式には何とかもってくれたか。


 一人で露天風呂に入りながら、そんな事を考えていると扉が開いて誰かが入って来た。


「旦那様、ここにいましたか御一緒しても?」


「あぁ、かまわんよ」


 そう言うとアイリスは身体を洗い、風呂に入って来て隣に寄り添って来たのであった。


「旦那様はラナに優し過ぎますよ」


「そうか?すまんな。ラナも悪気は無いんだ許してやって欲しい」


「ほら、また庇う」

 そう言ってアイリスは、俺の顔を覗きこんだ。何だか俺の考えを見透かされているようだ、恐いな。


「……すまん」


「謝ってばかりですね……でも仕方がないのですよね」


「何がだ?」


「珠様が前に言ってました、武将はその子孫を残すことも大事な仕事だと、何人も奥様がいる人もいたとか」


「まぁいたな、子供がいないので滅んだ家もあった……こればかりはしょうがないと俺は思う」


「ですから、今回の事で何か吹っ切れました。これはしょうがないのだと、でも私は旦那様を愛していますよ」


「俺もだアイリス、こんな俺だがこれからも宜しくな」


「はい、旦那様」

 クソ可愛いし!……そうだあの事を言っておくか。


「そうだ、アイリスのレベルが30になっているんだ、職業のランクアップするか?」


「え?レベルなんて簡単に上がるものじゃないですよ、確かに一桁の時は早いと言う話も在りますが、普通は何年もかけて上がるものです」


「……アイリスお前だけに打ち明けるが、俺のスキルで経験値50倍と言うのが有る、おそらくは奴隷の時や結婚しているから、経験値を俺と分けあえるんじゃないか?」


「それは聞いたことが在ります、貴族の中では奴隷を沢山雇い、ダンジョン等に入れて経験値を稼ぐといった事をする者がいると。

 でも技が伴っていなければ、どんなにレベルが上がっても意味は無いですし、それに主人のスキルが奴隷や配偶者に適用されるなんて……もしかするとそのスキルは神様のスキルなので、奴隷や配偶者に適用されるのかも知れませんね」


「なるほど、アイリスのその推理、当たっているのかも知れんな。アイリスの今の職業は、剣士と戦士と暗殺者と賞金稼ぎだ、どうする?」


「戦士は何となく解るけど、暗殺者と賞金稼ぎって……」


「おそらくは、蘭を助けた時に条件を満たしたのだろう。職業変更のスキルを使って良いか?」


「御願いします」


 俺はアイリスのステータスを見ながら念じた…………何も起こらない、取り扱い説明書何て無いしなぁ。

 アイリスよそんな目で見るな、本当にステータスは俺はステータスウインドウの様に見えてるから!……あれ?ステータスウインドウ?もしかしてこれは触れるのか?そう思い俺はアイリスの職業の光っている所に触れて見ると、次は各職業が光だした。


 いや、賞金稼ぎだけは光っていない……どう言うことだ?

「なぁアイリス、もしかすると賞金稼ぎってランクアップしないのか?」


「さぁ解りませんが、ランクアップのレベルが違ったり、もしくは単なる称号みたいな職業も有りますので解りません。私も賞金稼ぎって初めて聞きましたよ」


「そうか……ではいくぞ」

 先ずは剣士だな。そう思って剣士にタッチするといきなり選択項目が出た。


 剣士 剣客 魔法剣士 消去


 何だ?剣士の他に消去って出たぞ。これは剣士は選べばそのままで消去は、職業を消すって事かな。

「アイリス、剣士と剣客と魔法剣士に分かれたぞ……選べるみたいだ、どちらにする?」


「……私はあまりに魔法の事は解らないので剣客で御願いします」


「解った」

 そう言って俺は剣客にタッチすると、今まであった剣士が剣客に切り替わったのであった。

 なるほどこう言ったやり方か、方法が解れば後は早いぞ。剣士にすると変更なしと言う事だな。

 次は戦士か、さっきの要領で戦士にタッチすると選択項目が出た。


 戦士 狂戦士 闘士 騎士 消去


 これは選択肢がけっこう有るな。

「アイリス次は戦士だが、狂戦士、闘士、騎士が……」

「騎士にしてください!父の……父の夢でしたので」


 そうか……アイリスまだ父親の事を思っているんだな、騎士にタッチしてと最後は暗殺者か。

 俺は暗殺者にタッチすると選択項目が出た。


 暗殺者 下忍 消去


 暗殺者って下忍しか無いのかよ。職業は選択肢が多い物や少ないものが在るのか……覚えきれねえぞこれ。

「暗殺者は下忍しか無いから、下忍で良いか?」


「はい御願いします」


 アイリスがそう言ったので下忍を選択した瞬間、アイリスがガクッと俺にもたれ掛かってきた。

「お、おい大丈夫か?」


「は、はい少し力が抜けた感じがしただけです、大丈夫ですから」


 本当に大丈夫かよ、今度から風呂場では止めておこう。俺はアイリスのステータスしてみた。



 名前:アイリス・島 種族:人間 レベル1

 職業:剣客 騎士 下忍 賞金稼ぎ



 おぉ、ちゃんと変更されている。こうやって変更するのか。しかしこのままならアイリスがのぼせてしまうな。

「アイリス、そろそろ出るか?」


「すみません、身体がまだ落ち着かなくて……」


「そうか、でもこのままならのぼせてしまうから、抱き上げてでも出るぞ」


「へ?」

 そう言って俺はアイリスをお姫様抱っこをすると、そのまま浴室から出たのであった。


「何だか得した気分ですね」


「バカな事を言っていないで、早く身体を拭け」

 確かに久し振りの二人の良い空気だったな。


 そして俺達は火照った身体を冷ますために二人、縁側でで座って空を眺めていた。

 何だかデートしている気分だな、デートなんてした事がないけど、でも本当の幸せってこんな事を感じられる事なんだな。

 しかし、少し肌寒いかな。俺はそう思いアイテムボックスから、大きなブランケットを取り出しアイリスを包んだのであった。


「少し肌寒いか、1枚しか無いけど二人で寄り添えば十分だろ?」


「エヘヘヘ」


「何だ?」


「何だか今が最高の幸せかもって思えて……こんなのも良いですね」


「そうだな、俺も同じ事を考えていたよ、こんな時間がずっと続けば良いのにな」


「そうですね……」


 そう言って俺達はそのままその場で眠ってしまったのであった。

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