双子
ロンデリック事件の次の日、俺達の家に泊まったロンデリックは朝食も昼食も食べずに部屋にこもり、ひたすら服を作っていたのであった。
アイリスが一度声をかけたのだが、聞こえない様でひたすら作り続けていた。
俺はロンデリックの心配をしながら、アイリスとラナと3人でイチャイチャしていたのだが、次の日の早朝にアデルが来た。
「お早う御座います、これオヤジさんが持っていけと言いましたので」
「そうかすまないな、アイリス、ラナ、ロンデリックを叩き出してくれ、アデルに紹介をする」
「はい!」
ラナは元気だが、アイリスはまだ寝ているな……大丈夫か?
「ロンデリック?誰です?」
「あぁ、レンヌで知り合った服屋の商人だ、裁縫職人でもある」
「クゥン」
そう言っていたら、マメがいきなり変な声を出して怯え始めた。
何だ?……まさか?そう、珠が帰って来たのであった。
「ただ今帰りました……おやその方は?」
「ラナの兄のアデルだ、アデルこいつは俺の娘の珠だ、仲良くしてくれ」
「アデルで御座います、御館様にお仕えしております」
「珠でございます以後お見知りおきを」
しかし、珠の後ろに坊主のような人物と、ドワーフがいる……誰だろう?
「まぁとりあえずは中で話そうか、アデルすまないが朝食の準備をしてくれ」
「かしこまりました」
囲炉裏の間に、全員が集まり朝食を食べながら珠が話を切り出した。
「父上、この廃人になっているのは?」
「服職人のロンデリックだ、昨日から俺が頼んだ服を寝ずに作っている、珠の方はどうだった?」
「そですね、先ずは父上の仰っていた話は帝は快く了承しましたが、条件が3つ有るそうです。
1つ目は、父上に従三位の左近衛大将の位について欲しいとの事。これは空位であった左近衛大将の位に誰がなるかで、内乱がおきかけた為に帝が父上にお願いしたいとの事です。
2つ目は、こちらの院元和尚にこの地に寺を作り、布教の自由を保障してほしいとの事です。帝は仏教に大変心酔しておりこの地にも広めたい様ですね、その為の費用も頂いて来ました。
3つ目は、この地との交易で御座います。
以上の3項目を了承されるなら、帝からセレニティ帝国、ザルツ王国への親書もお預かりしており、好きに使ってくれとも言われております。父上、どうされますか?」
さてどうするか、官位の件は内戦まで発展しない様にと言う言葉は本心だろう、離れたこの場所ならば暗殺や、俺が何かやらかす心配も無いし、例えやらかしても知らないで通せる。
それに、おそらくはその下の右近衛大将がしっかりとしているが、昇進は政敵の妨害で難しいので在ろう、それなら左近衛大将を遠くの俺に任命して、実際の権限はいない左近衛大将の代わりに右近衛大将がとると……考えたな。
そしてこの院元和尚だが、帝のスパイだな。
3つ目の商人は連絡役でこの和尚は実行部隊……ターゲットは何処だ?いや、これは仏教徒を増やして侵攻のサポートをさせるとか、色々と有りすぎて解らん……解らんが、了承するしかあるまい、虎穴に入らずんば虎児を得ずと言うしな、とりあえずは本物の坊主か坊主のふりをした爺か確認だな。
名前:院元 種族:人間 レベル28
職業:阿闍梨
おいおい、阿闍梨って高位の坊主じゃないか、坊主は本物か……しょうがない了承するか。
「解った、その話は了承しよう。所でもう一人のドワーフは?」
「これは兼平と言って、大工で鍛治屋でもある者です。何かと役に立つので連れて来ました」
「兼平ですよろしくお願いします」
「よろしくな。そうだロンデリックよ例の鎧の件はどうなった?」
「……へ?……あ、あぁ!それは出来ておりますよ」
今、寝てただろこいつ。
「出来ているなら、問題ない。珠、早速だが、これから友人を助けに行ってくる、後の家の事は頼む」
「解りましたが、明日には言っていた部族がここに来ますので、それまでにはお戻りを、それと帰って来ましたら言っていた味噌や醤油等も有りますので、確認をお願いします」
部族?あぁ、あの軍の兵士にどうかって話か。
「解った、アデルは兼平とヨラムの所に行き、和尚の住む所とかの建築を頼め、金の交渉はヨラムを連れてきて珠にさせろ」
「はい」
俺はそう言って珠から親書を受け取り、ラナに似合うように黒い鎧を選び、二人にドレスの上から装備するように指示した。
やはりこのスタイルは俺の予想通り、かなり似合う。まるでアニメの中から出てきたかの様な……まぁ簡単に言えばコスプレだなこれは。
俺達3人はそのまま馬に乗ると、そのままレンヌに向けて旅立ったのであった。
俺達はレンヌ近くの森に空間転移で移動すると、レンヌ城門に向かいゲハルトの用件と親書も事を伝えるために騎士の元に行った。
「止まれ!」
「アイリス、頼む」
「かしこまりました。
こちらの御方はルタイ皇国の使者、島左近衛大将清興様であられます。此度は我が帝の親書をお持ち致しました、そして道中セブン・スターズと言う剣を手に入れたのですが、ザルツ王国の宝剣と言う事なので、その宝剣も献上しに参りました」
「何か証拠は?」
「証拠?なるほどザルツ王国はルタイ皇国の使者に対し、この様な無礼な事をすると?……良いでしょうこれで解りますか?」
そう言ってアイリスが渡したのは、ゲハルトから貰った紋章の入ったバッジでであった。
そのバッジを見た騎士はみるみる内に顔が青くなり、左近達に頭を下げたのであった。
「も、申し訳ございませんでした!すぐに王宮に伝えますので暫し御待ちを!」
「良い、このまま王都内を散策して昼に王宮に行く、このまま通っても宜しいか?」
「勿論で御座います!」
「有難う……そうそう、我が島家の家人である巫女の蘭を知らないか?確かレンヌに来ている筈なんだが」
「えっ?そ、それは……」
「何かあったのか?……まぁ良い、街の者に聞くとしよう」
そう言って俺達はレンヌの城内に入って行った。
「御主人様、まだ王宮に行くまでは時間が有りますがどうします?」
「先ずはエルマの所に行き、その後でゼニトの所に行こうと思っている」
「ゼニト……何でまた?」
やっぱり、アイリス何か引っ掛かるのかな。
「軍に魔法使いが欲しいんだ、槍や弓矢は何とかなっても魔法はどうにもならない、だろうからな。飛び道具は弓矢だけでは心細い、ここは奴隷の魔法使いを探そうと思う」
「しかし、魔法使い……いるでしょうか?魔法使いは何処の国も欲しがりますので、難しいかと思います」
「まぁラナの言う通りだな、しかしこの国の惨状をみればいるかもしれんしな」
「確かにこの国は、王女のせいで最早末期の様子……これは100年以上続いたこの戦争もセレニティ帝国の勝利で終わりますね」
「だからこそ付け入る隙が有るのだ、この国から金と資源と人材をぶん獲る。その為にはあの王女には、もっと踊ってもらわんとな」
そう、あの王女にはこの国の民衆の怒りの矛先になってもらわないとな。
「御主人様って意外と腹黒なんですね」
腹黒って言うなよ……でもアイリスは先程から黙っているな、やっぱり嫌なのか?そりゃそうだな、気持ちは解る。
そう言っているうちに、エルマの店までやって来た。あれ?今日は店の外にエルマがいないぞ?店の鍵は……開いている、何かあったのか?
「あれぇ?左近じゃん」
いるじゃねえかよ。
「今日は表にはいないのだな」
「今日は貴族の会議が有るからねぇ、この店は只でさえ貴族のぉ女性達に口コミで有名にぃなっているのにぃ、私がぁ表にいれば更にお客が来るじゃないぃ」
エルマ、それは商売人としてどうかと思うぞ。でもやはりエルマの店って貴族の女性が来るんだ、品揃えからして何となくそんな気がしていたのだが。
「そうか、今日はこれを持って来たんだ」
そう言って俺はシャンプーの入った小瓶であった。
「これは?」
「シャンプーと言ってアイリスやラナの髪の毛の秘密だ。これを毎日、髪の毛をお湯で洗い、それを少量で良いから髪の毛につけ、暫くして髪の毛を再びお湯で流すと2,3日で二人の様な髪の毛になる、まぁ継続しないと意味は無いのだがな」
「……けっこうめんどくさいのねぇ、毎回お湯なんて沸かしていたら大変よぉ」
「そりゃそうだな、我が家の風呂はお湯が常にかけ流しだから、そんな苦労は解らないが」
「……ルタイ皇国かぁ……今度行って良いでしょ?」
よし、食い付いた。女性は本来はお喋りな人が多い、井戸端会議で近所の事をお喋りするオバサンが居るように、貴族の女性にもいるはずだ。
だとすればこの店は貴族の女性もけっこう来る様だし、その中にはそんな女性がいてエルマが聞いていない筈もない。
女性は来るとは思っていたが、まさか貴族とは嬉しい誤算だ。
「……仕方ないな、実はナッソーなんだが、良いよ。ただし条件がある、蘭さんの居場所を知らないか?」
「あのルタイ人の蘭さんねぇ、解らないなぁ……そう言えば関係無いかもだけど、前に王女様に死刑囚の、独房の一番奥に隠し部屋を作る費用を強制的に徴収されたと嘆いていた伯爵の奥様がいたなぁ……まさかねぇ?」
ビンゴ!それだな、いくら王女でも表だって長期間の拘束は出来ないだろう、そんな事をすれば少なからずゲハルトの耳に入る。
と言う事は、その隠し部屋に監禁されている可能性が高い。
「その死刑囚の独房って何処だ?」
「王宮の地下だよぉ」
「有難う、そうだエルマの髪の毛がサラサラになって、貴族の女性が秘密を聞いて来たら少量だがこれを渡してくれ、エルマが使ってもいいぞ。
では、また来るよ」
「ありがとぉ、助かるよぉ。今度は私の方から行くよー!」
「ハハハ、解った、待ってるよ」
そう言って俺達は、エルマの店を出た。
「御主人様……もしかして」
「アイリス、たぶん俺も同じ考えだ、蘭さんはそこに監禁されている可能性がある。
しかし、貴族会議か……諸侯が集まっている中で、あの王女は蘭さんを監禁していることを認めるのは難しいかもしれない、と言う事はゲハルトの策は難しいかもな。
……ラナ、後でマメを呼び出せるか?」
「出来ると思うけど……まさか?」
「そのまさかになるかもな。アイリス、すまんが最初に俺達が泊まった、あの宿屋に行って蘭さんの私物を何でも良いから貰って来てはくれないか?俺達はゼニトの所に行って来る……そうだなエルマの店の前で待ち合わせするか」
「はい!」
そう言うとアイリスは急いで宿屋に向かって行った。余程嫌だったのだな。
「何だかアイリス変でしたね」
ラナは意外と鋭いな。
「まぁそんな事よりこっちの用事を速く済ませよう」
「はーい」
ゼニトの店はレンヌのスラムの中にあった、近くには売春宿等もありスラムと言うか歓楽街と言った何だか独特な場所であった。
更にそのなかでも群を抜いて怪しい店がゼニトの店であった。趣味が悪すぎだゼニト。
「すまんが誰かいるか?」
俺達はなかに入って声をかけた。しかしこの店の趣味は悪すぎだろ。
「はいはい……おやぁあの時の左近様!よくぞ来られました、おや?その後ろの美しいダークエルフの騎士様は?」
「これは妻のラナだ、所で今日は奴隷を買いに来た」
「おぉそうでしたか、今日はどの様な奴隷をお探しで?」
「ここに魔法を使える奴隷はいるか?」
「魔法を使えると言いましても、どの様な魔法でしょうか?」
「攻撃魔法だ、レベルはこだわらん」
「それならばちょうど良いのが二人いますよ、こちらにお掛けしてお待ち下さい」
そう言われて俺達は、ソファに腰掛けてゼニトが来るのを待っていると、ラナが驚いた様に言った。
「御主人様の言われた様に本当に居ましたね、しかし相当な金額を言われそうですね」
確かに、その事に関してはゼニトは信用ならない男だ、しかし奴隷商人らしからぬチキン野郎でもある、そこをつけばなんとかなるかも知れない。
「大丈夫だ、ゲハルトに出させるさ」
「御主人様、私達以外には、けっこう悪い人ですね」
「嫌か?」
「いえ、それだけ私達が御主人様に愛されていると思えますし、私達だけが本当の御主人様を知っていると思えば、こんなにも幸せな事はありません」
あ、こいつ絶対に悪い男に騙されるタイプだ、男に食い物にされて風俗行きとかのパターンだな。
まぁ俺はそんな事はしないけどね。
「そうか、ありがとう」
そう言っているとゼニトが二人の女性を連れてきた。
「こちらが左近様の御要望の奴隷の、髪の毛の赤の方がセシル、青い方がセシリー、双子で御座います。
ほら、挨拶をしやがれ!」
「……セシルだ」
「妹のセシリーで御座います」
「二人とも17歳になりますが元貴族で魔法使い、更に性奴隷となっておりますので少々値が高いですが、左近様ならばお気に召すかと」
またもや性奴隷だと!ゼニトのヤツ中々俺の心を掴みやがる、二人とも双子なだけあって顔はそっくりで綺麗系だな、妹は胸はそこそこ大きいが、姉は何故か貧乳……いいねぇ。
「他にはいないのか?例えば男の奴隷とか普通の奴隷とか」
あ、ラナさんよ、そんな事を聞いてしまいますか。
「……奥様、残念ながらこの二人だけで御座います」
ナイスだゼニトよ!……あ、ラナが照れてる……そうか、奥様が効いたのか!今ならいける、この好機逃しては男じゃない。
「解った、いくらだ?」
「そうですね二人で20万シリングになります」
20万シリング、2千万円だと!今の手持ちはナバロに渡すお金を差し引くと、1万6千シリング……足りねぇ、圧倒的に足りねぇ。
「おいおい、ゼニトよあの時の約束を忘れたのか?命を助けた礼に儲けは抜いて、経費のみの金額で良いと言っていたではないか」
「はい、ですから二人で20万シリングになります」
ま、マジかよそんなに高いのか?……待てよ、ゼニトは金の事は信用にならない男だぞ。
「……嘘だ……嘘ばっかりだ」
「お、お姉ちゃん?」
「コラ!セシル何を言っている!」
何だと?やっぱりこいつは騙そうとしていたのか。
「ゼニトよ、よくもまぁ俺を騙そうとしてくれたな。セシルだったな、お前達はいくらで買われた?」
「左近様!こんな奴隷の言う事……」
「黙れ、俺はセシルと話している!お前は命を助けられた事に対して仇で返している事になる……お前自身の命の価値はその様な物なのであろう、ならば今ここで、その安い命を貰っても良いんだぞ?」
そう言って俺が刀に手をかけると、ラナも刀に手をかけた。
「す、すみません!すみません!本当は二人で10万シリングでございました!その金額でけっこうです!」
「本当か?」
「本当でござ……」
「お前に聞いていない、俺はセシルに聞いている」
「……違う、本当は二人で2万5千シリング」
「ここは私に斬らせて下さいませ、こんなゲスを斬れば刀が汚れます。
私の旦那様を騙そうなど……許せん」
ラナもぶちギレているなぁ、さてそろそろ実利を取るか。
「まぁ待てラナ……ゼニトよ俺は見ての通りルタイ皇国の侍だ、侍は名誉が大切なのは知っているな?」
「は、はい」
「位の高い侍は特にそうだ。その侍の名誉を踏みにじった者は斬っても良い事だとされている、これを我が国では手打ちと言う。
さてお前に最後のチャンスをやろう、俺は優しいからな。で、どうする?」
「しかし私を斬ればこの姉妹をはじめ、ここに居る全奴隷が死にますよ」
「それがどうした?このセシルはそれを知っていても、それでも俺の味方をした、その覚悟を俺は尊重するし、正直な所、お前の奴隷が何人、何百人死のうが何とも思わんよ」
「……こ、今回は……あ、あの時の礼の意味で無料に致します」
おっ、ラッキーでもこいつは以前アイリスの時に俺を騙していたので、同情はしないがな。
最早ゼニトの所で進んで奴隷を購入する事は無いだろう、次からはちゃんと値引きすると思うが、何だかこいつはムカつく。
「そうか、では今回、俺を騙そうとした罰で今後奴隷に酷い事をするな、すれば解っているだろう?」
「そ、それは勿論で御座います!」
俺はそのままセシルとセシリーの二人と、主従契約の例の熱い水晶を持ってから二人のステータスを確認した。
名前:セシル 種族:人間 レベル15
職業:奴隷 魔法使い 貴族
名前:セシリー 種族:人間 レベル14
職業:奴隷 魔法使い 貴族
二人とも魔法使いで本当に貴族なんだ、でもこれで戦の時に魔法を鉄砲隊の換わりとして使える、二人ってのは不安だが、後々増やせば良いだろう。
それまでにこの二人に戦術を叩き込み、部隊長として運用する……そして夜の運用も……完璧だ。
問題はアイリスとラナだが……珠も居るな、この三人には注意して事を進めなければ後が大変だ。
俺達はゼニトの店を出て、アイリスに合流するためにエルマの店に向かった。
「……あの、助けてくれて有難う御座います」
「私もあんな所から助けて頂き有難う御座います……あの、これから何処に?」
「もう一人の妻と合流する為に、エルマの店に向かっている……お前達そういやルタイ語が解るのか?」
普通に会話していて完全に忘れてた。
「はい、魔導書等の魔法関係の書物は、全てルタイ語で書かれていますので会話も出来ます」
セシリーの言葉にセシルも頷いていた。
と言う事は魔法使いは全てルタイ語が解るのか、これは楽だぞ。
「所であの時に主人のゼニトに反抗するなんて、そんなにゼニトの所での扱いは酷かったのか?」
「……ご、御主人様に性奴隷として買われましたので、いずれ解ることですが……今更こんな事を言うのも申し訳なく……」
何だかセシル言い辛そうだな。
「大丈夫?お姉ちゃん私が言うから……御主人様、本当に申し訳御座いません、その私達は初めてじゃ無いんです……あの者が毎晩私達の所にやって来て……」
「もう良い、俺は初めてとか気にしない……いや、そうじゃなくて、辛いことを聞いてすまなかった、許してほしい」
「御主人様、最初のが本音でしょ?」
ギクッ!
俺の耳元で囁いたラナの言葉に心臓が飛び出そうになった。たまにこいつは鋭いところがあるんだよなぁ。
「所で貴女達は何で旦那様の所に来ようと思ったの?」
「……こんなにお綺麗な奥様がいらっしゃるのでしたら、あそこの様な酷い事はされないだろうと思いまして……すみません」
「良いよ、私の事はラナでいいよ私の方が年下なんだし。そうそう、二人に島の家のルールを教えとかないとね」
「……ルール?」
「はい?」
「先ずは奴隷と言えども服装は、キチンとした物を着てもらいます、旦那様は貴女達を戦に連れて行く様なので、装備もしっかりとしてもらいます。
そして奴隷と言えども食事は私達と同じ物で一緒に同じ場所で食べ、そして寝る時も同じ場所で寝ます。解りましたか?」
何だかラナのヤツは変な勘違いをしている様だが、まぁ都合が良いので黙っておこう。
「……そんなの奴隷じゃない」
「そうです、そんなの奴隷じゃないですよ」
「そうですね、でも旦那様はそれを良しとします。旦那様にとっては奴隷も皆が家族なのです」
何だか俺がすごく良い人の様に聞こえるな、本質的には単なるエロなんだが。
まぁ二人が頷いているから良いか……お、アイリスがいた。
「おーい!アイリス!」
「あっ、あれ?」
「待たせたかアイリス?」
「い、いえ……エルマと先程まで話していましたし、それよりもその二人は?」
「……セシルです」
「妹のセシリーです、御主人様に性奴隷として購入して戴きました」
「せ、性奴隷として……」
あ、やっぱりアイリス怒るよなぁ。
「あ、アイリスさん?」
「後でお話が御座います……ラナも!貴女がついていながら何で」
「怒るなよアイリス、これには深い訳もあるんだし、それに旦那様の欲しいと言っていた魔法使いが一気に二人も手に入った事だし良いじゃないか」
そういやラナはいつの間にか御主人様から旦那様になっているな、ゼニトに奥様と言われてからか、旦那様も良い響きだな。
「それは……そうですが。
お見苦しいところをお見せしました。……申し遅れました私は、島左近衛大将清興様の妻のアイリスと言います、以後お見知りおきを」
「左近衛大将様?」
「……セシリー知っているの?」
「お姉ちゃん、魔法学校で習ったじゃない、左近衛大将ってルタイ皇国の全軍を統括する人だよ。そしてナンバー2が右近衛大将って習ったじゃない」
「……あ、あの昔の超帝国の2度の侵略を撃ち破った、ルタイ皇国の武士団のトップ……」
そうなんだ、こっちの世界でも蒙古襲来の様な戦があったんだ。
「そんなに偉くないよ、普段通りに接してくれ」
「そうそう、普通の人ですからかしこまらなくても大丈夫です」
「うんうん、単なるエロい兄ちゃんだから気楽にね」
お、お前らそれ絶対に悪意を持って言っているだろう。
「そうだお前達はこの金で服や靴を買って余ったら装備を揃えろ、そして着替えたらこの店に戻り待機しろ、エルマには俺から言っといてやる」
「あの、御主人様と奥様達はどちらに?」
「これから王宮に行って国王に帝からの親書を渡すのと、友人を助けに行く。
もしかすると、お前達に手伝ってもらうかも知れないので、そのつもりで装備品を買うように」
そう言って俺はセシリーに、2千シリングを渡した。20万円あれば装備品も買えるだろう。
こうして俺はエルマに話をつけて、王宮に向かって行ったのであった。




