新たなる仲間
珠が来たその日の夜、俺達は囲炉裏で鍋の中に油を入れて、カットした色々な食材を入れ、オイルフォンデュで夕食を楽しんでいた。
これは俺も驚いた事なのだが、俺のスキルのアイテムボックスに食材を入れておくと、何と食材が腐らないばかりか、新鮮になって出てきて、更には武器なども修復され、ほぼ新品の状態で出てくるのであった。
確かに、このスキルは、使い勝手が良いし、冷蔵庫要らずだ……まぁ他の者には、見せられないが。
「父上、この料理は大変に美味しいのですが、味噌汁や米を食べたいですね」
「そんな物が、この世界に有るのか?」
「有りますよ、確か……ルタイ皇国と言う国でしたかね。その国は、我等の国にそっくりで、米や味噌、更には、醤油まで有りましたよ」
「ま、まことか?」
「はい。私なら往復で、4日もあれば大丈夫ですので、買ってきましょうか?通貨も確か、世界共通の筈です」
そう言って、珠は俺に手を差し出した。これは、金を寄越せと言う事なんだろうか?
何だか、娘にたかられている、親父の気持ちになるのだが……背に腹はかえられん、仕方ない渡すか。
「これで米、味噌、醤油を買えるだけ買ってきてくれ。持ち運びは、このマジックバッグを使うといいだろう」
そう言って俺は、2千シリングを珠に渡した。20万円有れば結構な量が買えるだろう、保存はアイテムボックスでやればいいしな。
「こんなに?よっぽど恋しいのですね。……解りました、さっそく今晩から出掛けます」
「頼む。所でルタイ皇国って、どんな所だ?」
「そうですね……私達の世界の日の本と、人も何もかもが全く同じでしたね。
違うのは、エルフやドワーフ等の亜人種と言われる者が、いるぐらいですか。
それと、あの国の帝は既に、300歳で姿も老けていません、外見は人ですが、確実に人以外の何者かですね」
「お前、帝と会った事が有るのか?」
「遥か昔ですが、ルタイ皇国に日照りが続いて、民が大量に死んでいる時に、この世界にやって来た、龍神である私に、雨を降らせてくれと、帝が直々にやって来て、頼んできたのですよ。
それで、助けたのが縁で、多少の望みは、何でも叶えてもらえると言う、約定を交わしました」
ちょ、ちょっと待てよ、これは使いようによっては、もしかすると、ルタイ皇国をバックに、蘭さんを取り戻し、安全の保証も出来るかもしれない。しかし出来るのか?
「珠、ルタイ皇国の帝に、島の家の再興を認めさせることは、可能か?」
「それは、可能ですが。父上は、ルタイの臣民に、なるのですか?」
「ならないさ。ただバックに、ルタイ皇国がいると何かと楽だ。
それに俺と珠は、外見はルタイ人だからな、説明も楽だし、何か援助も受けれるかもしれん。まぁその時は、何かの見返りは、必要だろうがな」
「……なるほど、父上の考えは解りました、全て私が段取りしましょう。それと父上は、これからはどうするおつもりで?」
「そうだな、俺はこの国の事や、天下国家の事など、どうでも良い。傭兵や冒険者等でもやって、気ままに生きるさ」
「そうですか……解りました、私も出来る限りお手伝いしましょう。
それと傭兵をされるなら、軍団を作られては?この世界の戦術は、父上に合っていないと思いますので。
それに即席の軍では、使い物にならないでしょう。充分に訓練した兵士でないと……そうだ、思い当たる部族を当たりましょう」
傭兵をやるならば、確かに珠の言う事は一理有る。
話を聞くだけなら、この世界の戦は、只の統率の取れていない乱戦で、こんなのに付き合っていたら、命が幾つ有っても足りない。
それならば、自前の軍を作り上げ鍛えるのが一番だと思う、珠の紹介なら、良いんじゃないだろうか。
「そうだな、では頼む」
「そうと決まれば、早速にでも行って来ます!あ、御馳走様でした」
そう言って珠は、俺のマジックバッグを持って、出ていってしまった。
「何だか、行動力が有る御方ですね……」
アイリスがポカーンとして言った。
「あぁ……幼いときから、あまり変わってない気がする」
「所で明日からは、どうしますか?」
「そうだな、明日俺は、珠の所に有った武具の選別をやる。かなりの量だからな。
アイリスはそうだな、ブイヨンを作ってくれないか?」
「ブイヨン?」
「そうだ、珠は知らないだろうが、俺の元の世界で有った、料理の元になるスープだ。作り方は簡単なのだが、恐ろしく時間がかかる、アイリス頼めるか?」
「はい!」
「ラナは、ナッソーで盗賊の情報を、集めてくれないか。出来れば馬の持っている盗賊が良いな。
それと、旅とダンジョンで必要な物を揃えてくれ。珠が帰ってくる迄に、馬を全員分揃えたいしな」
「解りました」
そう言って俺達は、露天風呂に入り、そのまま寝たのであった。
次の日、ラナは朝からナッソーに向かい、情報収集と買い物に出掛けた。残された俺とアイリスは、ブイヨン作りに取り掛かっていたのであった。
先ずは、寸胴の大きな鍋に水を入れて、ナッソーで買った牛の様なすね肉と、脛骨を大量に入れて、鶏の様な肉を丸々1匹とその鶏ガラの様な物を投入。
何故、様な物かと言うと名前が違っていたのだが、牛肉と鶏肉の様な肉だったからだ、因みに名前は思い出せない。
聞いていても、頭に入って来なかったからだ……記憶力が悪いわけじゃないぞ、あまり興味がなかったからだ。
そして、玉ねぎや人参と、香味野菜を投入する。
「御主人様。この後は、どうすれば、よろしいのですか?」
「この後は、ゆっくりと弱火で煮込み、丁寧に灰汁を取るだけだな。今からだとそうだな、夕方前には完成だな」
「そんなに長時間も、煮込むのですか?」
「そうだ、料理は時間や手間がかかる物が多いのだ」
「勉強になります」
そう言って、真剣に鍋を見つめるアイリスを尻目に、俺は何も無いリビングにする予定だった部屋に、珠の所から持ってきた武具を出してみた。
よくもまぁ、こんなに武具が集まったものだ。こんなに有ると言う事は、それだけ珠の命が狙われたと言う事だな……辛い目をしてきたんだな珠。
さて目的の宝剣だが、宝剣と言うだけに形は、剣なのだろうが……量が多いな。
でもこの中で使えそうなのは、アイリスやラナが装備すれば良いか、何だか高級そうなのばかりだからな。例えば、この純白の鎧、肩に赤い薔薇の模様が入っていて、アイリスに似合いそうだ。
そう思いながら鎧を持って見ると。軽い!全然重さを感じない!何だこの鎧は?鑑定してみるか。
名前:テティス 種類:鎧
スキル:速度上昇大 魔法防御中 物理防御大
なんだこれ?よくこんなの装備している奴に、珠は勝てたな。
しかし、この鎧は女性用なんだろうが、アイリスが装備するにはデカいな。しかしこんな鎧だと、元々装備していた女性って、どんなゴリラの女性だよ。
「アイリス、これ装備してみないか?良ければサイズを、アイリス用にしてもらうように、鍛冶屋に頼むから」
「はいはぁい……あら?御主人様それはもしかして、テティスでは?」
「よく解ったな、そうだが」
「伝説通りでしたので。そのレベルの防具にもなると、装備しただけで、その者のサイズに変化しますので、鍛冶屋に頼まなくても大丈夫ですよ」
「そうなんだ、じゃあ後で装備してみろ。後は何かリクエストは有るか?」
「そうですね、剣はあまり重くない物で、盾は使えませんが剣の二刀は出来ます」
「解った、良いのが有れば取っておこう」
「有難う御座います、少しお鍋が気になるので戻りますね」
そう言ってアイリスは、台所に戻っていった。アイリス、料理に目覚めたのか?
そうして、俺は剣を探していると、剣の持ち手に小さな赤いルビーが、7つ付いている剣を発見した。これはまさか……鑑定してみるか。
名前:セブン・スターズ 種類:剣
スキル:体力上昇大 魔力上昇大 攻撃力上昇中
これか、さすがに宝剣だけあってスキルが凄いな。
そう思って剣を抜いてみると……なんだこれは?剣の刀身が見えない。いや限り無く透明なのだ、よく見ると刀身が見える。
こんなので攻撃されれば、刀身が見えないので間合いが解らないぞ。これは、とんでもない武器だな。
……おや?これはナイフか?鑑定、鑑定っと。
名前:アゾット 種類:短剣
スキル:速度上昇大 気配隠蔽 悪魔召喚
あ、悪魔召喚ってなんだよ。それ以外のスキルは、ラナにピッタリなんだが。
こっちの剣は軽いな、アイリスが好みそうだ。
名前:フラガラッハ 種類:剣
スキル:速度上昇大 攻撃力上昇中 運上昇小
これは完全にアイリスが使用するべきだな……ガンレットか。
名前:ルーのガンレット 種類:籠手
スキル:騎乗スキル上昇大 物理防御中 運上昇小
これもアイリスの装備品だな、軽いし。
忍装束も有るな、忍者刀も有るじゃないか。問答無用で、ラナに確定だな……一応鑑定しておくか。
名前:蜘蛛切 種類:刀
スキル:速度上昇中 攻撃力上昇中 気配隠蔽
これは完全に忍の刀だな。
名前:風魔の装束 種類:鎧
スキル:速度上昇大 気配隠蔽 目視不可
おぉ、完全に忍用じゃないか……ってこれ鎧だったんだな。
そう思いアイテムボックスに収納した、その時であった、ラナが慌てて家に飛び込んで来た。
「ご、御主人様、大変です!盗賊が5名、こちらに向かって来るそうです!」
「何だと?」
「オヤジさんからの情報ですが、盗賊のグループが、私達の家を襲撃する話をしているのを聞いたと、言っていました。今兄貴が尾行しているみたいです!」
「アイリス!聞いたか、迎撃するぞ!」
「はい!」
「よし、二人ともこれを装備しろ、作戦はこうだ。俺が麓からの道の途中で、一人で賊を食い止める。
お前達は、竹林を通り壁の向こう側に隠れて、最初の賊を俺が殺した時に、側面から賊に斬りかかってくれ」
そう言ってアイリスとラナの前に、装備品を置いた。
「それは、御主人様が危険なんじゃ……」
「大丈夫だラナ。お前達は、もしも弓を持っている賊がいれば、そいつらを優先的に殺してくれ。
この作戦は、タイミングが大切だ。俺の命はお前達に、かかっている」
「解りました。ラナ、御主人様を信じるのです」
「解りました」
こうして俺達は、武装して気配探知のスキルを使用しながら、アイリスは鍋を見ながら、ラナは竹の皮を集めて賊の到来を待っていると、盗賊の赤い反応が麓に出た。
数は10個、オヤジさんの言っていた数の倍だ、何処かで仲間を増やしたのであろう。
その時、門の所に黒い人影が一瞬見えた気がした、アデルであろう。
「そこにいるのは、アデルか?」
「……よく解ったな」
そう言って、門の陰から出て来たのは、忍装束のアデルであった。
「まぁな、麓の盗賊の情報を持ってきたのか?」
「……知っていたのか。オヤジさんからの伝言だ、「盗賊なら2,3人捕らえて奴隷にしてくれ」だと。
従業員に、するそうだ」
オヤジさんの店、従業員が足りないんだな。
「解った。何人かは、生きたまま捕らえよう。そう言えば、盗賊の中に弓を持ってるのはいるか?」
「……弓を持ってるは2人、後はナイフが4人で残りは片手剣だな。因みに全員馬だったが、ここまでの道幅は以外と狭いので、登るのは徒歩だろう」
「有難う。それだけ解れば、十分だ」
「……相手は10人だ、何か手伝おうか?」
「そうだなぁ……麓の入り口で、逃げてきた奴を捕まえてくれ」
「……それだけか?盗賊は、こちらの倍以上の、人数なんだぞ」
「大丈夫だ、10人位なら、こっちの作戦でなんとかなるし、ラナにも危険は少ない」
たぶんね。斬り込むのだから多少の危険は有るが……大丈夫だろう。
「……解った、では入り口で、見張っていよう」
そう言ってアデルは、消えていった。
「兄貴の奴が手伝うなんて、珍しい……」
「それだけ、ラナの事が心配なんだよ。おーいアイリス!お客さんが来たから、作戦の打ち合わせするぞ!」
「はい、はぁい」
何だか、台所から走ってくるアイリスって、新妻みたいだな。
そんな事を思いながら俺は、地面に簡単な絵を描いて二人に説明した。
「この家までの道程は、盗賊どもは徒歩でここまで来るらしい。
弓2ナイフ4片手剣4の合計10人だ。俺は、ここの地面に水で濡らした竹の皮を並べて、一人で奴等を待ち受ける。
アイリスとラナは、ここの両端の壁の向こう側で、隠れていてくれ。盗賊は、俺が一人なので油断して、一気に襲い掛かって来るだろう。
しかし、この竹の皮は、水で濡らすとヌルヌルして、滑って転ける。
そこを俺が、槍で刺して殺していく。この時に厄介なのは、弓兵だ。
なので俺が槍で殺した瞬間に、壁から奴等の側面を突き、弓兵を真っ先に殺してくれ」
二人とも頷いているから、解ったようだな。
「そうそう、オヤジさんが2,3人生け捕りにして欲しいそうだ。店の従業員確保が、目的のようだ……まぁ出来たらで良いから、無理はするなよ。では、出陣!」
「はい!」
「はい!」
そう言って二人は、俺に指示された場所に向かって、竹藪の中に入っていった。
……いや、竹の皮を持って行くのを、誰か手伝ってくれよ……まぁ良いけどさ。
俺は、気配探知のスキルを使いながら道いっぱいに、竹の皮を並べてもう一度水を撒き、盗賊の来るのを待っていた。
気配探知じゃ、歩いてくるにしても速度が遅い。たぶんだが警戒しながら進んでいるな。
アイリスの反応は、予定地点に出ているが、ラナの反応が全く無い。暗殺者のスキルと渡した防具のせいだろうが、不安だな。
そうしている間に、盗賊達の姿が見えてきた。
おっ、俺の姿を見て警戒して一瞬だが動きが止まったな。一人しかいないと解ったら、どんな顔で来るんだろうな。
……全員、タオルかバンダナで、顔を隠しているじゃねえかよ!
でも、あきらかに女性の体格の奴もいるなぁ、生け捕りは女性だな。
とりあえずは、警告をしておくか。
「貴様ら何者だ!ここは我の……島 左近の邸宅と知っての狼藉か!」
あっ、指差して笑ってやがる、何だか腹立つなぁ。
「おいおい、あのルタイ人、この人数を相手にするつもりだぞ」
全部聞こえているぞ、絶対に泣かしてやる。
「立ち去らぬのか?」
「あのルタイ人、何か言っているぞ?」
「命乞いじゃねえの?」
「ウケるぅ、とっとと殺してお宝頂こうよ」
「そうだな、アイツをなぶり殺しにしてやろうぜ、行くぞ!」
『おぉ!』
そう言って盗賊は俺に向かって、一斉に走って来たのであった。
頭悪いなコイツら、普通は相手がこんな所に1人で立っていたら、罠の可能性を考えるだろう。まぁ頭が悪いから、盗賊なんてやっているのだろうけどな。
とりあえずは、構えてやるか。
「おぉ!あいつヤル気だぞ、殺せぇ!」
そう言って、勢いよく俺に向かって斬りかかろうとした時であった、前の3人が勢いよく転けたので、他の盗賊は慌てて止まったのであった。
そして俺は、すかさずに目の前で転けた盗賊に、槍を突き立てたのであった。
次々と俺に殺される仲間を見て、一人の盗賊が叫んだ。
「弓だ!弓矢で射殺せ!」
そう言って、振り返った盗賊の目に写った光景は、背後からアイリスとラナに首を斬られて、力なく倒れる瞬間であった。
「なっ、コイツら何処から?」
1人がそう言うと、盗賊達は全員がアイリスとラナに注目したのである。
もちろん、そんなチャンスを見逃す俺では、無い。
倒れて死んでいる盗賊を踏み場にして、盗賊達の背後から槍を突き立て、もう一人を刀を抜くと同時に斬り捨て、一人の盗賊の前に刀を突きだした。
「どう、まだやる?」
アイリスが言うと盗賊達は、武器を捨てて降伏の意思表示をした。
「ラナ、入り口にいるアデルを、こっちに連れてきてくれ」
「はぁい」
「アイリス、コイツらに鎧等の装備品を全て外して、服だけになるように、少しでも変な事をすれば、殺すと言ってくれ」
「はい……お前達、装備品を全部外せ。少しでも怪しい行動をすれば、すぐに殺す」
盗賊達は観念したかの様に、大人しく装備品を外していったのであった。
そうしている間に、急いでラナとアデルがやって来たのであった。
「……左近、本当に3人で捕まえてしまったのか?」
「簡単だ、コイツらは完全に油断していたのだからな。その油断を突けば楽勝だ。
コレが、戦術と言うやつだ」
「……戦術か、お前には、皆と違うものが見えているのだな」
「そうだな、俺はここで、傭兵の軍団を作ろうと思っている。オヤジさんに、そんな仕事が有れば、俺に回すように言っておいてくれ」
「……解った。オヤジさんは、奴隷の値段は、正規の金額で支払うそうだ」
「んじゃ1人分はサービスで、2人の金額でいいよ。ラナ、ナッソーに行って、コイツらの装備品を売って、賞金とオヤジさんから代金を、貰って来てくれ」
「えぇ、兄貴と行くの?」
「そう言うな。たまには、兄妹で話してこい」
「……解かりましたぁ」
何だか不満そうだな、でも家族と話すのは良いことだ。
「アイリスは、ブイヨンの鍋の続きだな」
「あっ、忘れてました!急いで見に行きます!」
あっ、行ってしまった……手伝って欲しかったんだが。
俺は仕方なく、盗賊の死体から耳を剥ぎ取り、装備品をラナに渡してから、一人で死体の埋葬をやっていた。
……虚しい……虚しいぞ一人で死体の埋葬は!今晩は絶対に、アイリスとラナを虐めてやる。
……はいその願望、難しくなりました。その理由は、今俺の目の前で、全力で土下座しているアデルです。
ラナと一緒に、帰って来たと思った瞬間に、俺の前で全力で土下座を、始めたのであった。
「アデル、すまんが頭を上げてくれ、意味がわからん」
「ルタイ人は、こうやって何か頼み事をすると聞きました。何卒、御願いします!」
「いや、だからその頼み事を、聞いてねえし」
「……そうでしたね。実は左近……いや、ご主君の軍に、私を入れては、もらえませんでしょうか?」
『えぇぇぇぇ!』
って3人同時に、驚いてしまった。てか、何でだろう?
「……ゴホン。すまん、どうしてかな?」
「……今日のご主君の戦い方は、何か違う世界の様でした。私も、その戦い方を勉強してみたいし、ご主君の駒の一部となって働きたい。
それに、ラナに聞くところによると、ご主君は奴隷だからと言って、差別などせずに、大切に扱うと聞きました。
最初は、とても信じられなかったのですが、ラナに会って本当だと確信しました。
この髪の毛といい、伝説の武具といい、ご主君は本当に素晴らしいお方です。是非ともお仕えさせてください!」
確かに、アデルが来てくれるのは心強いが、誰かのスパイの可能性は無いのか?
今度オヤジさんに、聞いてみるか。
「給料はまだ出せないぞ、それでも良いか?」
「……勿論」
「オヤジさんの所は、どうする?」
「辞めます」
「……いや、まだ辞めなくても良い。その代わりに、何か頼み事が有れば、動いてもらうので、それまではオヤジさんの所で働いて、オヤジさんに一言、断っておいてくれ」
「……解りました」
まぁオヤジさんには、筋道は通しておかないとな。
「まぁ今日は、アデルの仲間になった記念だ。みんなで、鍋でも食べるか」
そう言って、囲炉裏に鍋を置いて、早速に作ったブイヨンを入れて具材を入れて、ブイヨン鍋をみんなで食べたのであった。




