表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界は謎だらけ  作者: ヒマメナ サミン
第1章 終わりと始まり
6/11

04 バベルの塔

 

 バベルの塔。

 確か、人間が天まで届く塔を作っていたため、神の怒りを買い、言語を奪われたという話の建造中の塔の名前だったはずだ。

 こちらの世界の塔にも似たような逸話があるのか?


「これは凄いですね。生存者は2人ですか。しかも、その2人が子作り中とは。ん?種族が『天使』に『悪魔』ですか。よく辿りついたものです」


 目の前でぶつぶつ言ってるけど、生存者に、天使、悪魔という単語が聞こえた。

 こちらのバベルの塔は、かなり危険な場所な気がする。

 というか、子作りをしてるのが天使と悪魔なのか。

 敵対関係だろ、お前ら。


「すみません。年甲斐もなく興奮してました。性的な意味ではないですよ?」


「どうでもいいわ!とりあえず、状況を説明してくれ。話についていけない」


「今は激しい騎乗位の最中(さいちゅう)です」


「そっちの状況じゃない!バベルの塔とか生存者の話をしてくれ!」


 真顔で何、口走ってんだ、こいつ。


「では、冗談はさて置き、バベルの塔のついての話をしましょう」


 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


 今から200年ほど前、私たちの主はこんな事を言い出しました。


「言語を統一したら、管理が楽になるよ、絶対!」


 内心、大して変わらないと考えていた使徒が大半でしたが、主がやる気なので、放置しておこうと話し合いで決まりました。


 主は早速、国が密集している場所に、地球の故事に(なぞら)えて、バベルの塔を創りました。


 スキルを人々に無償で渡すことは、規約違反にあたるので、バベルの塔に入った者に西大陸言語しか使えなくなる呪いを与えることにしました。


 西大陸言語は当時、もっとも普及していましたから混乱が少ないと考えたのでしょう。


 呪いに関しても、伝染が可能な最上級の呪いを使い、声を介して伝染させていき、呪われた者は西大陸言語を理解していなくても、会話や読み書きもできるようになりました。


 また、バベルの塔の内部はダンジョン化していたので、宝箱などがあるのですが、主はそれらにも手を加えました。


 宝箱の出現率やレアアイテムのドロップ率、ダンジョン内でのスキル習得率を大幅に上げ、希少なモンスターを頻繁にリポップさせ、転移の石版などのワープゾーンを大量に設置しました。


 これらのおかげで、呪いといっても言葉が変わるだけだったので、世界中から人が集まり、急速に言語が統一化され始めました。


 年月が経つと、バベルの塔が、とある国の領土内にあったことに難癖をつけ、そこを巡る戦争が勃発、戦争に参加できなかった遠方の国では、自ら塔を建造し、神に祈りを捧げ続けました。


 安易に創った塔が世界に混乱を招き、主の仕事は増え続けました。


 とうとう我慢できなくなった主は、世界中の塔を破壊し、人々の呪いを解呪、バベルの塔自体も転移させ、封印と隠蔽を施しました。


 バベルの塔は気合いを入れて創っていたので、愛着があったのでしょうかね。


 しかし、バベルの塔の内部には、まだ残っている人間がいました。


 彼らは脱出を試みましたが、神の力の前では、等しく無力でした。


 それから数十年が経ち、現在の生存者は2人というわけです。


 結局、主は人々のことより自分の仕事量が少ないことを優先するのでしょう。


 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


 最後の方は、めちゃくちゃだな。

 自分の仕事量が大事って。

 呪いを解除したら、本末顛倒だろう。

 それに、閉じ込められてから数十年経って子作りをしてる彼らは一体……


「彼らの種族は元々は『人間』です。種族進化を果たし、今は『天使』と『悪魔』になっていますので、かなり若返っていると思いますよ。また、魔力やその量が多いと、総じて老けにくい身体になります」


「言ってることはわかったけど、種族進化って、人間が進化するのか?」


「人間はとても脆いですが、知能が高く、とても欲深いです。この欲が重要で、この世界では、ああなりたいと心から欲していると、稀に種族が進化します。実際には、もっと厳格な基準がありますが」


 稀に進化するのか。

 そしたら、『天使』と『悪魔』って、かなりレアな種族かもしれない。


「かなりも何も、この2人だけですよ。オンリーワンです。ですから、その子供はオンリーワンの中のオンリーワンですね」


 うわー、かなり主人公っぽいな。

 オンリーワン。

 とても、心惹かれる。

 でも、バベルの塔は封印されてるから、外に出られないんだよな…


「封印なら簡単に解けますよ?『開け、ゴマ』で」


「……またそれか。でも、封印を解いていいのか?」


「何と言いますか……主の怨念がかなり強かったのか、あの封印は解けても、1時間も経たないうちに復活するのです。そのため、塔を破壊しようにも、どんな影響が生じるか全くわかりません」


 仕事増やされただけで、怨念かよ。

 ゲームの電源とか落としたら、この世界なくなるんじゃないか?

 だから、使徒たちも苦労してるのか。

 俺には関係ないけど。


「それなら、俺、天使と悪魔の子供になるよ。でも、俺が産まれたら、どんな種族になるんだ?」


「『天使』か『悪魔』、それに『超人』のどれかですね」


「『超人』って、それ種族なのか?人間を超えた存在ってことだよな?」


「『超人』を主が付け足した種族です。大体は転生者がなりますね。あとは、あなたの言った通り、人間から逸脱した存在が進化することが可能です」


 天使と悪魔のハーフはないんだな。

 ちょっと、いや、かなり期待していたんだけど…


「完璧なハーフというのが存在できないので、父母のどちらかの種族になります。ですが、性質はどちらも受け継いでいますよ。それでは、彼らの子供として転生することで、いいのですね?」


「それで頼む」


「では、最後にステータスの操作です」


 とうとうチートが我が手に…

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ