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極メシ!!【投げ売りされてた謎ウ◯ギ飯を実食して考察する】  作者: 稲村某(@inamurabow)


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1/1

タイトル未定2025/10/26 00:32



 ヒトは何故、飯を食うのか。腹が減ったら食う、それも然り。但し、食った事が無いから敢えて食う、という選択肢も存在する。


 メーカーが出した新商品に、即座に飛び付く際はきっと手放しで褒めるだろう。彼等の戦略に嵌った自覚を持ちながら、そして流行り物を口に出来る優越感と共に味わうのだ。





 えー、お久し振りの方はお久し振り、初めましての皆様は初めまして。稲村某でございます。昨今、物価高で様々な物が値上げ値上げと大騒ぎですが、そりゃ馬鹿っ正直に出始めの初物に手を出しゃあ、至極当前ってもんで。大昔のレンタルビデオ店で話題の新作を借りれば一泊で390円ですが、旬を過ぎた過去作なら一週間で100円でしたよね? そんな風にブレードランナ◯とか借りて悪友と酒飲みながら徹夜で観たもんです。令和のご時世じゃ使いようも無い知識ですな。



 さて、物価高と過ぎた旬、ときてピンと来たあなた……正解です! いやぁ〜稲村某って奴はね、流行ってる時は見向きもしない主義でして、旬の過ぎた頃にニヤつきながら半額ワゴンを物色する訳です。するってぇと、ワゴンの中に某メーカーから鳴り物入りで売られてた、当時は定価でもかなり高価な品々が……


 「ち、ちょっと汚い手で触らないでよ! フィルム越しにイヤらしい菌が伝染っちゃうから!」

 「……何よ、行き遅れみたいな目で見ないでくれる? これでもまだ12月まで賞味期限あるんだから……」

 「はぁ!? しみったれたアンタなんかに私の価値が判る訳ないでしょ!! こう見えても厳選された純国産原料だけの高品質食品なんだから! ……ただ、売れなかっただけじゃない」


 と、申しておる。でも、所詮はワゴンセール品ですよ? ガッと摑んでカゴの中にポイッと入れてお会計です。



 そんな感じで我が家にやって来た【謎ウナギ◯】。メーカーは超有名即席麺でお馴染みのあそこですが、敢えて商品名は伏せます。別にステマや案件欲しさで書いている訳じゃないし、稲村某はこんなエッセイが主軸なんで皆さんしっかりと付いてきてください。


 さて、先ずはパッケージを眺めてみると……カレーやハヤシ等の様々な種類を網羅している老舗メーカーだけに、夜の夏祭りをイメージしたパッケージデザインでございます。但し、今は秋も足早に過ぎ去りそうな感じなのでやや物悲しい雰囲気。マリトッツォやアサイーボウル専門店レベルの香りが漂いますな。


 では、ベリベリッと保護フィルムを剥がしまして、上蓋に貼られた後混ぜタレのパッケージを取り除いた後、側面に書かれた調理法を読んでみます。


 ①混ぜタレを剥がしフタを開ける。

 ②中身を左右に揺らして謎うな◯肉を上面に上げる。

 ③熱湯を内線まで注いで5分待つ。

 ④タレを注ぎ入れてぐちゃぐちゃに混ぜて食う。


 ……①は判る、今どきのカップ麺にゃ後入れタレ類はポピュラーな存在ですからね。だがしかし、②はなんぞや。何が狙いなんだか……ガシャカシャカシャ……


 ……おっ? ほおぉ〜! 確かに謎◯ナギ肉が上がって来た!でも、そんなに出てこないな……。これ、沈んでたらいくら振っても上がって来ないよな。


 そう思いながら、5粒程の謎ウナギ◯を眺めつつ指先で中身をざしゅざしゅ混ぜてみる。すると下から1個、また1個と◯ウナギ肉が確かに浮かび上がってくるのです。で、確認出来る範囲で7個の◯ウナギ肉がわっしょいわっしょいしているので、熱湯を注いで判らせてやる。おらおら、これ(熱湯)が欲しかったんだろ? 等と一人茶番劇で引き延ばしても無意味でしょう。さっさとぶっ掛ける。



 ……と、あっと言う間に5分が経過しました。そんじゃといきますか。混ぜますよ、ええ。ここは敢えて使い捨てプラスプーンでね、アホみたいに混ぜ続けましょう。


 そんなこんなしていると、中身は混沌とした茶色と黒が混ざり合った奇妙なメシに変化しました。そこにアクセントとして一面だけ黒く着色された油揚げ……もとい、謎◯ナギ肉が点在している感じです。うーむ、香りは若干しょっぱそう。ではでは、スプーンを……あ、忘れてた。後入れタレをムニュッと切って混ぜメシの上に掛け、再び混ぜ混ぜタイム……これ、必要な作業なのか? お湯と一緒に入れてもいいと思うが。


 ……では、改めまして……食してみよう。


 白いスプーンに混然一体と化した茶色いメシ、その片隅に焼き鰻を模した大豆蛋白似肉(プロテインミート)である。昔、有名即席カップ麺の中に入っていた肉の正体が話題になったが、こんなもん成分表示に書いてあるでしょうに……大豆蛋白を加工したヴィーガン向けの畑のお肉ですよ。但し、これらの製品には様々な動物由来調味料がこれでもかと入っていますので、ヴィーガン主義者やイスラム教徒は食べない方がよろしいです。まあ、食う訳ないか。


 そんな事はさておき、ハシュッと一口。うーん、お米は米国産のアルファ米(ブランド名じゃなくて正式にはα化米、水だけで戻せる状態の加工飯)だけに、食べた違和感はそんなに無い。ただ、ウナギのタレご飯と思うと奇妙な酸味を舌先に感じ、何だこりゃ感が拭えない。タレに使っている調味料が違和感の正体かと思ったが、ふと気付く。


 ……この謎ウナ◯肉、戻りが中途半端じゃね?


 いやいやまさか、天下の大メーカー様の製品である。そんな筈は……あ、そうだ。


 【②中身を左右に揺らして謎うな◯肉を上面に上げる】


 ……これか? この作業が原因で、肉が熱湯に浸からなかったんかい!! 道理で後載せしちゃったキツネうどんのお揚げみたいに、固くてしなしな食感の奴が混在する訳だ。味がやたら濃いし、戻りも悪いから本来の食感には程遠いよな……。


 結局、ビジュアル面を考慮した作業工程ってだけで、個人的には最初に分ける必要は感じなかった。②は、やらんでヨシ。それじゃ喫食再開。それにしても、どうにも謎ウナ◯肉の味付けだけ、カップうどんのお揚げと同じ気がして違和感が拭えない。出汁の染みたウナ◯肉って、正直言って美味しくない。なぜ、こんな風味にしたのか全く判らん。不味くはないが、鰻には全く似てない。ハンペン潰してタレ塗った方がまだ、鰻に似ると思う。うーん、これは……うーん。


 そんな感じで完食し、総括すると……


 ①味は微妙、しかしこれは個人の主観があるので万人受けを狙った味と考えれば、無くは無い。

 ②但し、謎ウナ◯肉は全く謎じゃないし鰻じゃない。妙な出汁風味と不思議な酸味はどこからやって来たの?

 ③調理工程の肉を上に出す作業は不必要。お湯に浸らんし、どうせ混ぜるじゃん。

 ④値段。販売当初は三百円超えでスーパーの安売り海苔弁当より高いクセに、入っている具は圧倒的に少ない。鰻の破片が入って三百円超えなら判るが、実際はお揚げみたいな謎肉亜種である。せめて揉み海苔的な具材が欲しかった……。

 

 と、だいたいこんな感じである。即席混ぜ飯としての製品としてはバリエーションの一つとして有りかもしれないが、鰻丼をイメージした割りに様々な面が到っていない気がする。お米自体に可も不可も無いが、この輸入米はカレーやカルビ系の濃い味付けで光る印象。和食の味付けに本気で使いたいなら、出汁茶漬けのように流し込む食べ方に向いてるんじゃないか? 食感は悪くなかっただけ、残念である。不味いんじゃなくて、全体の纏まりが緩く【鰻が高騰しているから安価ななんちゃってウナ◯肉で製品を作りました!】というメーカーの打ち上げた意趣は、採算取れたら後に続ける必要の無い一発屋商品以上には感じられない。うん、販売を焦って見切り発車したなって印象です。



 やや辛口になったかもしれないが、思わぬ災害に被災したら温かい食事もままならないだろう。そんな時に、お湯さえあれば美味しい食事(一個だけじゃ栄養面は不足しますが)が摂れれば心が安まる筈だ。だからこそ、こうした即席食品は決して否定はしないし、必要だと思う。だが、もしパッケージの表示を見て期待に胸を膨らませながら食したら……そのギャップに落胆するかもしれない。カレーのように普遍的且つ万民向けの味付けなら、何も心配は要らない。でも、かなりの高級食品な鰻をイメージさせたいなら、今一つ作り込みが足りない気がしました。


 やるなら、とことんやって欲しい。もし、海外の方が日本に来てこれ食ったら、相当謎な食品だって思うんじゃないか? これは日本食初心者向けじゃないし、鰻の代替品として扱うにはちょっと物足りないのよ。





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― 新着の感想 ―
こんにちは! 極メシだぁー! >不味くはないが、鰻には全く似てない。ハンペン潰してタレ塗った方がまだ、鰻に似ると思う。うーん、これは……うーん。 確かに! ぼくも以前食べましたが、全く鰻感はなか…
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