0_花弁の様な
この話は敢えて人物の発言だけになります
『ママ、ご飯まだぁ?』
『今作ってるからもうちょっと待っててねぇ。あっちに絵本もあるわよ』
『お兄ちゃんは』
『お友達と遊びに行ったわよ』
『じゃあパパと遊んでくる!』
『気をつけて遊ぶのよ。あとあなた、外に出るなら13時までには帰ってきてね』
『ああ、分かった』
◇ ◇ ◇ ◇
『ねえママ、これなあに?』
『あら何かしら。どこにあったの』
『お庭の倉庫の中から拾ってきたんだ〜。ねぇ、パパ』
『そうだな。奥の隙間にあったんだもんな。そういうことだ。何かのゴミと一緒に紛れ込んだかな。でも珍しいから持ってきたんだ。何かのレポートだと思うんだが』
『ええそうね。でもなら何故こんな色々な所の文字が抜けているんでしょうね』
『ねえママ、ご飯はまだぁ?』
『そうね。考えても仕方がないわ。続きはご飯の後にしましょう。今日はピザよ。庭の窯で焼いたからきっと美味しいわよ』
『あとママ、これあげる!』
『あらありがとう。綺麗なお花ね』
◇ ◇ ◇ ◇
『ねえパパ、何でお家が燃えてるの。お兄ちゃん、ママはどこに行ったの?』
『…。』
『ねえ何で誰も答えてくれないの?あれ、パパ何で血が出てるの?あっ、紙飛んでっちゃった』
『此処を行け。いいな』
『うん、分かった』
『どこに行くの。パパは来ないの?』
『…ああちょっと用事があってね。先に行っておいて』
『…うん、わかった。あとこれお花。後で返してよ…。それでお兄ちゃん、どこに行くの?』
『新しいお家だよ。今のお家は無くなっちゃったからね』
『…どんなお家なの?』
『さあ、僕にも分かんないや。』
作者のおはなし
この度は数多ある作品からこの作品を選んで下さり幸甚の至りです。この後2話ほど主人公サイドでは無い話が続きますが、読み止ししないで頂ければ有難いです。