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6話



「さあ、逆襲の時間だ」


降りて来る人影は、その両手を広げる。

それと同時に突風が起こり、落下している天井だった物が俺たちの方に飛んでくる。

俺は反射的にそこから飛び退き回避し、中尉の方に気を配る。

中尉は空中いるカスに、ライフルの銃口を向けており、その周り光の膜で覆われていた。


『どうした?凄い音が聞こえたぞ?』

「新手だ!しかも異能者のな!」

「会話とは余裕だな!!」


まだ繋がっていた無線で連絡を取り合おうとする、吹雪中尉に向けてカスは腕をふるう。

それと同時に、光の膜が砕け散る。


「そりゃ、お前みたいなのは幾らでも相手してきたからね!」


それに意を返さず、中尉は引き金を引く。


「はは!それはいいな!殺しがいがある!!」


放たれた銃弾が目標に到達する前に逸れる。

俺はカスの意識が中尉に向いている隙に、柱を三角飛びの要領で飛び上がり、空中にいる奴に斬撃を浴びせる。


「そんなものは見えている!」


しかし、俺が刀を振り下ろす前に、此方を向いて居たそいつの右手から衝撃波が飛び出る。

それをもろに喰らった俺は後ろに大きく吹き飛ばされ、そのまま壁にたたきつけられる。

俺は壁を叩き衝撃を逃がす。

そこで、身の危険を感じた俺は、壁を蹴って跳び退く。

それと同時に、さっきまでいた場所が一直線に抉れる。


「いまので、仕留めたと思ったんだがな」

「お前みたいなカスにやられる訳ないだろが」


俺は悪態を付きながら、思考を巡らせる。

(こいつの異能は恐らく気体の操作。

それも、スナイパーライフルの弾を反らせる程の精度と出力を持っている。

それに加え、中尉の相手をしながら俺にも注意していたことから、

ある程度頭も回るとみえる。

やりにくそうな相手だ)


「おい加藤!勝手に突っ込むな!!」

「ゴリ押しで行くか・・・」

「おい!聞いてんのか!!!」


周り雑音を意識的に無視して、さっきと同じやり方で、尚且つさっきより高く跳び、落下と同時に刀を振り下ろす。


「学習しないな!」


カスは先ほど同じように俺に向けて衝撃波を放つ。

それを俺は異能で反射し、相手に返す。

カスはそれを知っていたかのように避け、尚且つ斬撃の射線から外れる。

俺は振り下ろした体勢で落下する。


「お前の異能は反転、または反射だろ?分かっていれば対応は簡単だ」

「お仲間を見捨てて、高みの見物か?カスのやりそうなことだな」

「情報収集は戦いの基本だ。それを怠れば死ぬだけだ。

私は他人の命より自分の命が惜しいのでね」


そんな、カスによるクズ発言に、俺はさらなるゴリ押しで返すことを決める。

(疲れるからあまりやりたくないんだが)


「さあ、降伏するなら今のうちだぞ?」

「死ね」


ゲス顔で見下すカス目掛けて、俺は上に落ちる(・・・)


「なにぃ!!」


それと同時に刀を振り下ろすも、カスは反射的に横に避け俺に衝撃を撃つ。

それをわざと受け、その勢いに乗ってカスに接近(・・)する。


「おかしいいだろ!!」

「おかしいのはお前の頭だ」


振りぬいた刀は、身をよじり避けようとするカスの腕を切り落とす。

そのまま二撃目を喰らわせようとするが、その瞬間に俺の胴体に斬撃が入る。


「隙ができたな!!」


俺の動きが止まっての見て、調子を取り戻したのか、左腕を此方に向け衝撃波を放ってくる。

俺はそれをもろに喰らい落下する。


「ねぇよ、ンなもん」


地面に着地する直前で、重力をひっくり反す。

勢いの乗った斬撃は簡単に人体を真っ二つに両断する。


「は?」


カスは何が起こったのか分からず、惚けながらその命を散らす。

俺は異能を解除し、地面に着地する。


「この阿保が!!!」


叫び声に反応し振り向くと、怒りの形相で此方を睨み付ける吹雪中尉がいた。


「敵対者の排除完了しました。これで、任務完了ですね」

「何しれっと報告してきてんだい!!あんた、自分が何したか分かってんのか!?

命令違反だぞ!しかも、二回もだ!!お前いい加減にしろよ!!」

「敵対者の排除は急務です。しかも、相手は異能者。多少の命令違反は大目に見ていただきたいのですが?」

「見れるか!!あたしが突っ込むなって言ったら、突っ込むな!!!!」


吹雪中尉が喚いているのを聞き流していると、非常口から金剛少尉が出てくる。

少尉は周りに転がっているゴミ共の死体を見渡して、俺の方に近づいてくる。


「刀傷が多いところ見るに、ほとんどは准尉が片付けたようだな」

「いえ、中尉の援護がなくては危なかったですから、自分なんてまだまだですよ」

「はっはっはっ!謙遜するな!」


少尉は笑いながら、俺の背中をバシバシ叩く。

その衝撃で集中が途切れ、胴体の傷に使っていた異能が解ける。


ブシャアア


支えを失った、傷口からおびただしい量の血が流れ出る。


「あ・・・」


一気に血液が出たショックからか、俺は自分の体を支えられなくなり、その場に倒れる。


「おい!!大丈夫か!!」


慌てた様な中尉の声を聞きながら、俺の意識を失った。


皆さんの言葉が励みになりますので、

感想と評価、よろしくお願いします

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