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名前のない"私"  作者: 月乃
6/7

再会(1)





百合香の新居は彼女が言った通り、奈緒の自宅から10分程の近い場所にあった。


「写真で見てた時も素敵だと思ったけど、実際に見たらもっともっと素敵なお家!」


「そう?嬉しい。ありがとう」


「本当モデルハウスみたい!お洒落!」




新築祝いに選んだのは、百合香の好きなブランドの食器。

新居へ訪問することが決まってから悩みに悩んで選んだものだけにオーバーリアクションで喜んでくれた彼女の様子を見てつい嬉しくなり笑みが溢れる。



百合香のセンスの良い家具とインテリアに囲まれたお家は落ち着いた雰囲気で、心地の良い空気が流れていた。

用意してくれたお洒落なランチをご馳走になり、思い出話に花を咲かせて、すっかり学生時代に戻った懐かしい気分のまま、ふと思い出したことを口にした。


「そういえば、圭くんも元気にしてる?」



百合香と彼女の夫である圭くんと私の3人は、みんな同い年で高校ではクラスメイトだった。私にとって圭くんは小学校から高校までずっと同じで、幼い頃はよく遊んだ幼馴染みでもある。



2人が付き合うきっかけを作ったのも私だ。


あの頃の百合香は自覚がなかったようだけれど、圭くんをずっと目で追っては熱く見つめていて、それに気づいた私が幼馴染みの仲の良さを利用して2人の距離を詰めたんだっけ。

2人が良く話したり遊ぶようになってからも百合香は照れていて初々しくて可愛かったのを覚えてる。


大好きな2人が結婚すると報告を聞いたときは嬉しかったし、式当日も感動と幸せで涙が止まらなかったせいでウォータープルーフのマスカラも全く意味をなさなかったほど。思い出すと今だに、にやけてしまう。



「えぇ。…仕事がすごく忙しいけど、元気。」


「毎日帰り遅いの?心配だね。」





圭くんとは幼馴染みではあるけれど、友人の夫となった今、個人的に連絡をとることは全くなかった。百合香が過去の恋愛で傷ついた姿を傍で見ていた奈緒にとっては当たり前の選択とも言えた。




「今の職場、圭くんのお父さんの紹介で入ったところだったよね?旦那さんのお仕事が忙しいと百合香もワンオペで大変じゃない?」




夫不在で家事や育児に励む数少ない専業主婦仲間。


百合香は、我が家と違って子どもたち2人を授かっている。幼子を2人も抱えながら毎日を過ごす大変さは想像もつかない。


ただ彼女は所帯染みたところや疲れた様子もなく、大人の女性らしく薄くメイクをし、ブラウンに染めたセミロングの髪を軽く巻いてセットしている。百合香は変わらずお洒落で綺麗なままだ。なんなら年齢を重ねてさらに落ち着いた控えめな色っぽさがあり、魅力も増している。


奈緒は自分のズボラさを反省しつつ、これからは身だしなみを気をつけようと心の中で密かに誓う。





「義理の家族がすごく良くしてくれて、普段から何かとサポートしてくれてるから何とかなってるの。」


そう言って百合香は柔らかく幸せそうに笑った。









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