マイホーム、マイガーデン 1
学校は終わった。
ご飯も食べた。
トイレも行った。
熱もなし。
自己診断オッケー。
いざ、アニガーの世界へ!
Animal Gardenスタート!
_佐藤麦のエントリーを確認
_佐藤麦の動作を制限します
_生体情報チェック
_佐藤麦と一致
_健康状態のチェック開始
_基準値クリア
_Full_Dive_Gear's service[guardian]です
_おかえりなさい、佐藤麦
_ゲームプレイに際し、疑似睡眠状態に入ることに同意しますか
_音声入力で‘はい’か‘いいえ’を選んでください
「はい!同意します!」
_佐藤麦の同意を確認
_以降、ゲームプレイ中の健康状態は当機によって監視・保護されます
_内的・外的要因による緊急事態において、緊急覚醒に要する時間は30秒です
「よろしくお願いします!」
_佐藤麦の同意を確認
_これより、Full_Diveを開始します
_以降、navigatorがゲームを案内します
_おかえりなさい、Animal Gardenへ
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前回は初めてのログインだったから、ドキドキしすぎて、もうぜんぜん余裕がなかったけど。
2回目ともなれば、もう余裕しゃくしゃくだよね!
急に視界が暗くなっても、いつの間にかアニガーの世界に立っていても。
これが当たり前で、普通だってわかっていれば、どうってことない。
前回もそうだったんだけど、ログインして最初に感じるのは風。
冷たい風じゃなくて、暖かさのある風なんだよね。
サワサワ、ヒュウヒュウって風と草の揺れる音が聞こえだして。
その風に運ばれて、草の匂いが鼻から体に広がっていく。
テンション爆上がりの中、スズメさんが話しかけきてもっと驚いたんだっけ。
今回、2回目のログインが決定的に違うのは…
「きゅまー!」
「こんにちは、ツキノ!」
ツキノが居る、僕のペットが居るってことだよね!
はわー。
今日もモフモフかわいいなあ!
『おかえりなさい、ウィートさま。
今日もお会いできて嬉しいです』
「スズメさんも、こんにちは。
それに、ただいま」
『はい。こんにちは、ウィートさま。
ツキノ共々、お待ちしておりました。』
「きゅま~♪」
ツキノと挨拶して、スズメさんとも挨拶を交わして。
僕のAnimal Gardenのスタートの時、お決まりのルーティーンになりそう。
『本日は、adoptに続く2回目のチュートリアルとして、ホームの説明をさせて頂きたいのですが、よろしいですか?』
「うん、お願いします」
「きゅま!」
『畏まりました。
ホームとは、ウィートさまがAnimal Gardenで拠点とされる、家や庭を指す個人エリアのことです。
プライベート用に隔離され、各プレイヤーそれぞれが有する専用エリアで、ウィートさまの許可なしでは他のプレイヤーは干渉できない、貴方のe-petsが集う場所となります』
『家の外観やインテリアは勿論のこと、庭の機能も一際充実しております。
庭で植物を、この世界でのe-plantsを育てることは、e-petsとのふれあいと並び、このAnimal Gardenの2大コンテンツの片翼です。
我々のモットーは、‘誰もが動植物とふれ合える、優しい空間’です。
タイトルのGardenは、世界の庭園という意味も含みますが。
貴方の庭と捉えて頂きたい、という願いが込められています』
そう!このゲームでは、自分の家が持てるんだよ!
公式の説明をさらっと読んだ程度にしか知らないんだけど、何やらカスタマイズの自由度がかなり高いらしい!
それに、僕が楽しみにしてる大きな要素が、家庭菜園!
トマトとか、きゅうりとか。
現実でも普通に育てられてるような植物から、南国とか寒冷地でしか育たないような木とか、花とかも育てることができるんだって。
『早速ご案内いたします、が。
今ウィートさまが立っている、この草原がウィートさまのホームエリアです』
「…えっ、ここなの?
何にも無いよ?」
「きゅむー?」
てっきり、チュートリアルの講習部屋みたいに思ってたけど。
いや、部屋じゃなくて草原なんだけどさ。
それにしたって、見渡す一面に草しか生えてないんだけど!
『はい。プレイヤーのログインとログアウトは必ずここ、ホームエリアで行われることになります。
プレイヤーの電子体はこのホームエリアで安全に構築されますので、どこに出かけるにしても、まずはこのホームエリアからのスタートが原則となります』
『家に関しては、今から設置することになります。
現在はプリセットが3パターンございますので、この中から一つお選びいただくことになります。
まずは50分の1の縮尺にして、順に投影いたしますね』
一個目に投影してくれたのは、石造りの家。
入口に大きな木製のドアが付いていて、ドア上ちょいまでの高さが白い石壁になってて、四角にくり抜かれたような窓が四方にくっついてる。
壁の上は、細めの丸太が三角屋根に合わせる様に並んでいて、小さな煙突が顔を覗かせている。
四方にある窓は、日本の窓みたいにガラスがハマってるんじゃなくて、カーテンとか戸板で遮る感じの、壁の穴って言った方がしっくりくる感じ。
現実世界なら防犯意識に頭がいっちゃうけど、ここはゲームの中で、僕の専用プライベートエリアだからね。
解放感があってよさそうだし、スズメさんみたいな鳥形のペットの家族が出来た時に、出入りしやすそうでいいかもしれないね!
犬とか猫の子たちだって、窓までジャンプして出入りできちゃうかも。
そう考えたら、ワクワクしてきちゃうなぁ!
…ツキノは、僕と一緒に玄関を使おうね。
二個目に投影してくれたのは、ログハウス。
モデルはスギ材らしけど、僕は木材に詳しくないんだよね。
だから、率直な感想として、すごくいい!
すごく最高です!
木張りの壁に、一枚板を斜めに置いたような黒い片流れ屋根に、背の低い煙突。
スズメさんいわく、このログハウスは木の匂いに包まれるところまで再現されていて、木が持つ暖かみとかも感じられるそうなんだ。
それに、ペット達が壁や木張りの床で爪を研いだりしても、傷が付いたりはしないって。
まぁ、そこはペットがメインのゲームだから、そうなるよね。
穴あき窓が四方に付いてるのと、玄関が大きな木製ドアなのは、一件目と同じ。
これは、大型のペットたちを考えてかな。
うちのツキノも大きくなりそうだし、天井の高い家って気持ちよさそうだし、いいことづくめ!
最後に投影してくれたのは、なんと小さいながらも合掌造りの茅の家!
木張りの壁に、厚みのある茅葺き屋根。
窓の部分には障子が閉まっている!
玄関部分も大きな障子になっていて、外観からだと藁と木と紙でできてる印象。
この家もまた、茅の香りを再現していて、床に敷かれた畳や囲炉裏に竈と相まって、古き良き日本の家屋を体験できちゃうんだって!
この家にだけ煙突が無いんだけど、現実の家でも茅葺屋根の隙間から煙が逃げていくから大丈夫らしい。
隙間があるのに雨にも雪にも強いって、凄すぎる!
僕は畳のある家で暮らしたことが無いから。
畳の上でごろ寝するのって、すっごく興味があるんだよね!
ツキノと一緒にゴロゴロしたら、めっちゃ気持ちよさそう!
なによりも、ツキノワグマのツキノと良く似合う気がするんだよねー、この家。
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