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Animal Garden  作者: slowly
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観戦・アニマル大相撲! 7

『東方、3役揃い踏み』



 カンっカンっ、カンっカンっカンっ



 土俵に入って来たのは、筋骨隆々な豚さん。


 真っ白な毛並みが美しい、縦にも横にも大きなフォルムの雀さん。


 後列で1人、扇の要を担う位置に構えるのが。


 白い羽毛に、目元や羽先に朱色が入った、綺麗な鶴さん。


 豚さんが大関で、雀さんと鶴さんが横綱のアニもうさん。


 ナナミさんに聞いた通り、横綱の内の2人が鳥モデルのペットだ。


 雀さんに至っては、さっきのライオンさんと同じくらいに大きく見える!


 あの体格は、いかにも強そうだね…!



「いよいよ、3役土俵入りやで。

 アニマル大相撲、横綱のお出ましや!」


「みんな、強そうだね。

 客席から離れて見ているのに、威圧感を感じるよ」


「今から四股を踏むからな。

 しっかりと、音を楽しむんやで」


「うん、静かにしてる。

 ツキノと愛ちゃんも、しーっ、だよ?」


「むきゅ…」


「にゃむ…」



 3人の力士が柏手を打つ。


 パンっ


 たった3人の手の平から発せられたとは思えないほどに大きく、澄んだ音が響き渡る。


 力士が右手、右足を大きく上げて。


 バスンっ!!


 もう一度、右手と右足を大きく上げて。


 バスンっ!!


 次は左手、左足を高く上げて。


 バスンっ!!


 お清めされたかの様に、澄み渡った空気の中。


 揃い踏みを終えた力士たちが土俵を降りていく。


 厳つい豚さんが残っているのは、次の取組力士だからかな?



『西方、3役揃い踏み』



 カンっカンっ、カンっカンっカンっ



 僕たちが座ってる、正面から見て右側から3人の力士が土俵入り。


 今度は前列が1人だけ。


 扇の要に位置するのは、牙とお腹が立派な猪さん。


 後列左に、3人の中では一番大きな亀さん…カメさん?


 亀って、アニマル扱いでいいのかな?


 …ここにいるんだから、いいのか。


 最後に土俵に上がって来たのは、筋肉ムキムキな青毛のお馬さん。


 おおう。


 西方の揃い踏みは、2足歩行の動物が1人もいない。


 柏手、ちゃんと打てるのかなあ?



 パンっ


 蹄が出したとは思えない程の綺麗な破裂音が響く。


 四股の音は…


 バスンっ!!


 3人揃った見事な揃い踏み。


 バスンっ!!


 バスンっ!!


 亀さんでも、お馬さんでも。


 足の裏を土俵に打ち付ける破裂音は同じ。


 相撲をとる時のデフォルメ体って事なのかな?


 …考えてみたら、蹄じゃ廻しが掴めないか。



東西東西とざいとうざい



 カンっカンっ、カンっ、カンっカンっ



 リスの呼出さんが、行司さんの横で拍子木を鳴らして声を張り上げてる。


 土俵上のアニもうさんに比べて、小っさくてチョコチョコした動きが可愛くて。


 厳粛な空気感から受けていた、ちょっとした緊張感が解けたように感じる。



『かたや豪栄豚、こなた琴猪菊。

 これより三役にござりまする』



 リスさんに代わって声を上げる、狐の行司さん。


 紫の紐を通した、桃色の絹の着物を来て。


 右腰にある印籠と、手に持つ軍配が狐柄。


 よくよく見ると、着物の柄まで狐柄。


 腰に差した短刀も、覚悟の表れが伝わって来るね。



「あわー…」


「きゅまー…」


「にゃー…」


「凄い迫力やろ?

 これが、千秋楽の醍醐味や」


「うん。

 なんか、圧倒されちゃうね。

 周りの拍手の音が無かったら、黙り込んじゃってたかも」


「ウィート君はええ反応してくれるから、お姉さん嬉しいわー!

 この空気感、存分に味わってや?

 本場所の三役揃い踏みは、年に6回しか見られへんのやから」


「年に6回だけ…

 千秋楽、最終日にしか見られないんだもんね」


「巡業なんかでも揃い踏みは見られるそうやけども。

 本場所自体が、年に6回やからね」


「アニガーでも同じなの?

 大阪場所とか、名古屋場所もある?」


「違いがあるんは、心技館での本場所が年2回なとこやな。

 初場所と中場所が心技館。

 月で言うと、1月と7月やね。

 他の月は…っと、軍配返ったで!」



 あわわ。


 話に夢中になり過ぎると、肝心の取組を見逃しちゃう!


 しっかりと立ち合いから集中しないと。


 土俵上で、2人の力士が息を合わせて拳を下げる。


 立ち合いは…互いに、全力の体当たり!


 互いに廻しを引き合い、がっぷり四つ。


 立ち合いの当たりは互角だったけど、組み合ってからは…


 猪さんが上下に体を揺すって、豚さんを押し込もうとしてる!



「出たあ!

 琴猪菊の十八番、がぶり寄りや!

 これに掴まえられたら難しいでー!」



 豚さんも必死に耐えているけど、既に土俵際。


 俵に足がかかる状態で、最後の力が入りやすいとはいえ…


 大きなお腹を利用して、あれだけ上下に揺さぶられてしまえば、耐えきる事叶わず。


 そのまま土俵の外に押しやって、猪さんの勝ち。


 決まり手は、寄り切り。



『役相撲に叶う、琴猪菊~』



 カンっカンっ、カンっ、カンっカンっ



「いやあ、お手本みたいながぶり寄りやったわ。

 勢いを利用して、自分の体重を100%活用して押し進み。

 相手の体重を自分のお腹の上に乗せてしまえば、踏ん張りも効かなくなる。

 お見事や。

 角番落としてもうたんが、ホンマに悔やまれるわ」


「角番って、大関の進退がかかった場所のことだよね?

 負け越しちゃったなら、引退しちゃうの?」



 凄まじい勢いの立ち合いに、四つに組んでからの一方的な押し込み。


 引退するなんて、もったいないなって思ってしまうけど。



「角番落とすのが、必ずしも引退につながるワケやないねん。

 大関陥落と同時に引退する力士が多いのも事実やけどな。

 琴猪菊は、現役続行の意思を表明しとるよ。

 来場所に関脇として10勝できれば、大関に復帰できるしね。

 引退勧告が下されるんは、不祥事起こした力士とか、休場続きの横綱に対してやな」



 それなら良かった。


 今場所は負け越しちゃったみたいだし、いつでも今日みたいな良い相撲が取れるって事ではないんだろうけど。


 猪さんが引退しないで済むのなら、来場所も応援しに来たいって思う。



「猪さん、まだまだ頑張るんだって。

 また応援しに来たいね、ツキノ」


「きゅまー!」

寝過ごしました…

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