星空の時計台の下で
夕影が急ぎ足で
西の地平を駆けていく
風はさわやぎ
秋咲きサフランの花の沢も
今はせせらぎを止めて
空の舞台に現れるのは
王妃の名の星座
カシオペヤの五つ星
北極星から伸びる
飾り時計の針のように
今夜も宇宙に時を刻む
それは古人が
闇夜に時を知るために
遥か北の空に眺めた
星空の時計台
光が駆けていく
銀河の果てまで
大いなる宇宙では
光でさえも
旅路は果てしない
そこに時があるかすら
分からなくなるほどに
けれど人は
この世界に時を見出す
生きていることの証に
その一瞬が確かに
存在していた証に
そして気付く
時は何も言わず
過ぎ行くものだとしても
そこにあるだけで
貴いもの
夢が駆けていく
銀河の果てまで
夢を心に描くとき
人はそれが叶ういつかを願う
そして気付く
時とは流れゆくものではなく
重ねていくもの
今ここにある時は
これまでに過ごした時の
その先にある景色
これから重ねていく
幾つもの時が
夢へと架かる橋を築く
光る煉瓦の一つひとつだから
想いが駆けていく
銀河の果てまで
あの日の出逢い
その刹那の時が
確かにあったから
今のこの想いが
心の中の空を照らす
たとえもし
時の狭間にはぐれても
たとえ何度
生まれ変わっても
きっと見つけられるように
だから忘れないで
待ち合わせは、
あの星空の時計台の下で
カシオペヤ座の五つ星は、見つけやすく、北極星を中心に時計の針のように回っているため、古くから人々が時間を知るために眺めてきたと言われています。お読みいただき、ありがとうございます。