第六話 思い
放課後。
授業やら掃除やらで自分が統選者選抜の参加者に選ばれたことに対する何とも言えない感情はどこか少し薄れていた。
学校が終わると保はすぐに帰宅し、制服から少し毛玉の付いたグレーのジャージに着替え勉強机の椅子に腰を掛けた。
足元に置いた学校のカバンからスマホを取り出し、学校では見ることができなかった特別サイトを見るためURLを再びクリックする。
スマホの画面には『現在このサイトは存在しません』と表示された。
完全にサイトが落ちたのか? 調整するために一度取り下げたのか? どうなのか。考えても仕方ないか。保は椅子の背もたれにもたれかかり、統選者選抜の参加者に選ばれたことについて改めて考える。
自分がよく思っていない統選者選抜に参加する。──おかしな話だ。
だが実を言うと保は統選者になることに抵抗はない。
統選者になれば自分が感じている統選者選抜のおかしな点を変えることができるかもしれないからだ。
そう、あくまでも保が否定しているのは統選者を決める選抜の方だ。
現状この国に大きな争いや混乱がなく平和が続いている理由として統選者の存在が大きいことは否定できない事実。この事実を無視して統選者を否定することはできないというのが保の考えである。
なので、保は統選者になること自体には抵抗がない。
しかし、そのためには現状の統選者選抜のおかしな点に従う必要がある。従うことは避けられない。
もし、その場面がきたら俺は……。