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2. 廊下の現状、猫にはお辞儀を

気になる彼は、今日も寝てます。

コホンっ、、、。あ、言っときますけど、あなたが考えてるような変な意味の「気になる」とかではないですからね!?そこんとこ、把握お願いします!別にニヤニヤしてるわけではないんですってええ!!!誤解しないでくださいー。って、聴いてますかあああ!!!???ああああa(強制カット)


※失礼しました。あはは、、、




チャイム音

「清掃開始時間です。黙々と取り組みましょう。」

給食を食べ終わってからの、綺麗な放送委員さんの声。


あーあ。『中学2年、今から初めての掃除しまーす!』って、スマホがあったらSNSでもなんでもいいから呟きたいな。(掃除が楽しくて家での掃除の様子をSNSで投稿してる人).....いぇい。


「えっとー、ほうき、ほうき.....。あれ?掃除用具入れってこれだよね」

進級から1週間も経っていない、教室。1年の頃の教室とは全く違うような、別の学校に越してきたように見え、感じてくるのはなんでだろうか。


「はもっちー!はい、ほうき」

「あぁ、らっきー(薇黄)、ありがと」

「ねぇ、らっきー。あんた、机よせ係だよね?」

「そうだよ、。テキトーに決めたらこうなった。もう最悪だよ〜。重いし、」

「ふふ、らっきー、自業自得っ、」

「うるさいのぉー」

「ははははっ、」

そんな感じでほうきをGETして。

「よし、向かうか。」


最初は教室の掃除したいと思ってたけど.....まぁ、散らかってる方がやりがいあるし、【廃墟廊下】の掃除でもいいかもな。


ーーーーーーーあ。

教室から出る時、少し濡れた雑巾を片手に、うろうろキョドっている彼を見つけた。ん、、、何やっとんの?大丈夫?


「生月満さん?」

彼は、少しビクついて振り返る。

「生月満さん、どうしたの?」

「ぇぇぇぇ、えっと。二階教材倉庫前...の、廊下って.....ど、...こですか、?」

弱々しくきこえる。相変わらず声が小っちゃいな。

「あはは、どうせさ、同じとこ掃除する仲間なんだからさ、一緒に行こうよ。案内するから!」


彼は、今年この学校に転校してきた。どこの中学校からなのかはまだ不明。生月満さんについては、知らないことだらけ。それがまた更に彼のミステリアスな所を引き立てている。

「んじゃ、................行こっか...」


ペコ。


ん!?


彼は、なんでかは分からないが、例えるのならば、笑顔六十パーセント、真顔三十パーセントぐらいの顔で、私に向けてお辞儀をする。


「あ、、、。ども、、。」

よく分からないまま私もその後、無言でお辞儀を返したが、よくよく考えてみると、可愛らしくて笑えてくる。

(なんか、可愛い...猫みたい)

他のみんなもそう思うかな?私だけ?やはり、気になるぞ、この男子。

.....ぐぬぬぬぬぬぬ。


すっ、すっ、。こつ、こつ、。


「確か、もうすぐ着くよ〜。今はどうなってるかは私もあまり知らないんだけどさ」

「う、、、ん」


どぉぉおおおおん................。

つい、た?


驚きのあまり、二人共、声を漏らす。それぐらいヤバかった。

「嘘でしょ.....。ここがあの【廃墟廊下】か。改めて見ると凄すぎて、怖い」

「うんうん...」


あまりにも酷すぎるゴミ、ホコリ、落書きの数々。ったく、誰がこんなところに落書きなんかしたんだよ。


私たち二人だけで、本当に掃除できるのであろうか?

はぁ、こんなところ掃除するとか面倒くさいな〜

.....と!普通の人なら考えるでしょう!だが、しかし!私だったら、こう思う。


「よっしゃああああ!!!」


「生月満さん、ごめんね。私、こういう散らかったとこを見ると掃除したくてたまらなくなって...。だって、やっぱ、なんかスッキリするじゃん?終わった時の達成感的な?二人という少人数でやるのも、達成感が倍になりそうですね!よし、二人で頑張りましょう!本当は私、教室の掃除やろうと思ってたんですけど、こんな素敵なところ(?)を掃除できることになるなんて。らっきーに後で逆にお礼して奢らなければ気が済まん!きゃーー!!!!!」



...............................


ポク、ポク、ポク、.....チーーーーーン。南無阿弥陀仏。あーんど(&)、合掌。

あ。。。やっちゃった。興奮して早口で勝手に一人で舞い上がって話しちゃった。あはははははは.....。引いて...るよ、ね?

彼の顔を頑張って見てみると、案の定。彼は硬直状態。


やっと、硬直が解けたかと思うと、また生月満さんは謎に私に向かってペコ。


「よろしく.....おねが...い、します」

幸いにも私は視覚、嗅覚、聴覚、味覚の中で、聴覚だけは優れていたので...聴覚「だけ」は。生月満さんの声でも聞こえる。だから、さっきの麦くんの声も、「やりたい」と言った生月満さんの声も、この耳だから聞き捉えることが可能だったっつーわけ。

「うん、よろしく!頑張ろ!」


まずは、ほうきがけ。その後に雑巾、そして落書き落とし。私は楽しみながらほうきを持つ手を左右へ動かす。その後に続く、雑巾係の彼。


だが、このまま静かに掃除しても、なんか気まずすぎる。

「あの、生月満さん。」

「は...い?」

「なんで自分からここの雑巾係やりたいと思ったの?」

昨日からずっと聞きたかったこと。

少し、しんとした。

「................ただ、テキトーに手を挙げた...だけ。」


な、る、ほ、ど。え、?空いた口が塞がらなかった。薇黄とまさか同じことをするとは。思わず鼻で笑いそうになり、堪えるのに必死だった。じゃあ、やる気があったからやったとか、押し付けられたからやったとかでもないんだ...。びっくり。



少し話せたことで、だんだんほうきではく手がはやくなる。下ばかり見ていたのだろうか、そのせいで気づけなかった。


「ぎゃあああああああああああ!!!!!!!!!!」

初めて腰が抜けるかと思った。魂が抜けたとは、まさにこの事か。私の顔面に、超苦手な蜘蛛の巣が思いっきり.....。


そんなことは無い、絶対に無い、と心の中で自分を落ち着かせるために言い聞かせたが、たちまちプチパニックになった。


「わわわわわわわわ!!!!!だずげでぇえええ!」




.....「ぶふふははは...はは、」


ふわっ、、あれ?


初めて見た。生月満さんの笑った顔。この時、助けもせずに私を笑ったことには少しイラつきはしたけど、。

「ちょ!!!何笑ってるのよ!?はやく助けてよお。うわ、マジ最悪...、」


私まで、らっきーと同じこと言ってるし。このことを言ったら、薇黄に笑われるかな。いや、それより先に彼に笑われてるし。



これは全て、蜘蛛のせいだあああ!ヤケクソになって、おかしくなる心。


いつからだろうか?『恥』という感情を知ったのは。

心の成長は早いね。


恥ずかしさで顔が真っ赤になった私を見て、もっと、ずっと、。彼は、それからしばらく笑っていた。














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