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戦いの結果⑤~清澄ギルドへの加入について~

澄人が輝正を清澄ギルドへ加入させようと、澄香へ相談をします。

 輝正くんをお姉ちゃんへ紹介するのは後日にして、今日は帰ってもらうことにした。


 俺も夏さんへお礼を言って帰ろうとしたとき、ふと思い出したことがあった。


「あっ、そうだ。夏さん、ちょっと聞きたいことがあるんですけど……」


「はい、なんでしょう?」


「引退したキング級ハンターと二つ名ハンターの所在って調べられますか?」


「可能ですが……どうしてそのような情報を?」


「ちょっと交渉したいことがありまして、お願いしてもいいですか?」


「わかりました。調べ次第データを送付します」


「よろしくお願いします」


 夏さんは特に理由を聞くことなく、俺の依頼を請け負ってくれた。


 俺は夏さんに頭を下げてから、輝正くんと一緒にオフィスを後にした。


◆◆◆


「おはようございます、平義先生」


「おはよう、朝から押しかけてすまんな」


 翌日の朝、俺はお姉ちゃんへ輝正くんのギルド加入について相談をするためにリビングへ来たところ、平義先生がすでに座っていた。


「いえ、コーヒーでも飲みますか?」


「助かる」


「わかりました、少々お待ち下さい」


 俺はキッチンへ向かい、お姉ちゃんたちの分もコーヒーを用意することにした。


 ちょうどいくつかの気配がこちらへ向かってきていたので、マグへコーヒーを注いでいく。


 コーヒーを持ってリビングへ戻ると、お姉ちゃんや聖奈も座っている。


「お兄ちゃん、おはよう!」


「おはよう聖奈、お姉ちゃんもおはよう」


「おはよう澄人」


 俺が持ってきたマグをそれぞれに配り、席に着くとお姉ちゃんが口を開いた。


「それで、三人とも同じ件でしょう?」


 違うの? と目で訴えかけてくるお姉ちゃんに、俺たちは無言のままうなずく。


「じゃあ、私から話すね。同じクラスの水守真友ちゃんと天草紫苑ちゃんを清澄ギルドへ加入させてもらいたいです」


 聖奈が口火を切って話し始めた内容は、昨日俺が輝正くんから相談されたことと同じだった。


 話を聞いていたら、女子会と称した食事会で二人は聖奈に清澄ギルドへの加入を希望したようだ。


 聖奈の話が終わると同時に、今度は平義先生も口を開いた。


「加入についてだが、草地翔も希望をしている。能力は俺が保証しよう」


「草地翔……平義さんの愛弟子ですよね?」


「そうだ。俺の持つ技術のすべてを教えているヤツだ」


(そういえば、前にそんな話を聞いた気がする)


 翔が平義先生との訓練が厳しすぎて、いつか殺されると嘆いていた。


 それだけ期待されていたのかと納得していたら、お姉ちゃんと目が合う。


「澄人は? 誰を加入させてほしいの?」


「白間輝正くんを加入させてほしい」


「どうして?」


 お姉ちゃんの目つきが変わり、俺を問い詰めるような雰囲気になったので一呼吸置く。


「彼は神格が8まであって、今でも能力にSが二つあるんだ」


「そんな人材が? 平義さん、本当ですか?」


「ああ……その通りだ」


 驚いた表情をしたお姉ちゃんに質問をされた平義先生は腕を組んで俺をじっと見てくる。


「能力の件は本当だ……ただ、神格の上限は5だったはずだが?」


「夏さんに鑑定をしてもらっています。それでも不十分なら、ハンター協会で再検査をしてもらっても構いません」


「ふむ……そこまで言うのなら本当なんだろうな」


 平義先生は顎に手を当てて考え始めてしまった。


 お姉ちゃんは何かを察したような顔をして、一度うなずく。


「……今名前が挙がった人たちを加入させることに問題はないけれど、清澄ギルドが何のためにあるのかだけはきちんと説明をしてください」


「目的?」


 ギルドの目的について聞いたことがなかったような気がするので、思わず聞き返してしまった。


 聖奈と平義先生は知っているようで、特に反応を示さずにいる。


「清澄ギルドは澄人のために存在しているギルドで、あなたの活動を補佐するためだけにあるの」


 お姉ちゃんが当たり前のように言い放ち、聖奈もうなずいている。


 清澄ギルドはレッドラインに飲み込まれる前のじいちゃんが俺のために残してくれたギルドである。ということは知っていた。


 俺がハンターとしての能力が発現する前から、お姉ちゃんや夏さん、平義先生は清澄ギルドに所属して活動をしていた。


 特に平義先生は俺を守るためにハンターを辞めて、教員になるなど並々ならぬ思いがあったようだ。


「だから、清澄ギルドに所属するってことは、澄人のために働くことになるということよ」


 お姉ちゃんの言葉を聞いて、俺は二つ名ハンター三人の顔が思い浮かんだ。


 彼女たちがあれだけ献身的になってくれる理由が俺にはよくわからない。


「ちなみに、ヘレンさんたちが加入したのは、環境適応症を治した時の恩返しだって言っていたわ」


「あの三人がそういうふうに言っていたの?」


「そうよ。ヘレンなんて自分のすべてを捧げるとまで言っているんだから」


「だからか……」


 俺は納得するとともに、ヘレンさんの行動の謎も解明できた。


 彼女は俺が頼めばなんでもやってくれそうなほど、心酔しているように思える時がある。


 お姉ちゃんと聖奈が俺のつぶやきに対して首を傾げているが、今は話を進めることにした。


「じゃあ、俺は輝正くんに俺のために働くけど大丈夫か確認をとればいいんだね?」


「それか、全員まとめて私と夏で面談をしてもいいけど、どうする?」


「えっ? お姉ちゃんも夏さんも忙しいんじゃ……」


「仲間になってくれる人のために割く時間くらいあるわよ」


 お姉ちゃんが苦笑いを浮かべて、何でもないことのように言い切る。


 平義先生と聖奈もうなずいて同意を示してくれたため、言葉に甘えようと思う。


「じゃあ、面接でお願いします」


 こうして、輝正くんの加入についてはお姉ちゃんと夏さんに任せることにした。


 要件が済んだため、リビングを出て行こうとすると、平義先生が俺を呼び止めてくる。

ご覧いただきありがとうございました。

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