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臨時世界ハンター会議④~香お姉ちゃんと~

澄人が澄香と勝負をしようとしています。

 前に視たときと比べて、お姉ちゃんの現在のステータスは全体的に高くなっている。


 キング級にそぐう実力で、全身から魔力を迸らせていた。


「お姉ちゃん……いったいなにをしたの?」


「…………正澄さまに稽古をつけてもらったのよ」


 声をかけると、お姉ちゃんは振り返らずにそう答えてくれた。


(じいちゃんが絡んでいるのは知っていたけど、こんなに強くなっていたなんて……)


 俺が驚いている間に、お姉ちゃんは疾風とともにこの場から消える。


「———ッ!!」


「速い!?」


 突然目の前から消えたお姉ちゃんは、勢いそのままに剣をイノシシ型モンスターへ振り下ろす。


 自分の身長以上あるモンスターを一振りで斬り裂く。


 お姉ちゃんは瞬く間に境界内にいたモンスターを殲滅し、息一つ乱さずに戻ってきた。


「神格の上限を超えているよね?」


 ステータスを見て最初に思った疑問をお姉ちゃんへぶつける。


 お姉ちゃんはじいちゃんと同じように神格の上限を超える力を手にしていた。


「あなたに追いつくために限界を超えるまで鍛え上げたの。それだけよ」


 お姉ちゃんは真剣なまなざしで俺を見つめ、口元に笑みを浮かべている。


《神格の上限は絶対》


 これは世界の常識であった。


(じいちゃんとお姉ちゃんがその常識を打ち破った……)


 お姉ちゃんが浮かべる笑顔の裏に、どれだけの覚悟が隠されているのかが伝わってくる。


 俺のためにそれだけのことをしてくれたお姉ちゃんの気持ちに応える。


「お姉ちゃん……最初から全力でいくよ」


「ええ、望むところよ」


 お姉ちゃんは剣先を俺に向け、構えを取る。


 俺はそんなお姉ちゃんを見ながら、剣に魔力を注ぎ込む。


「死んでも大丈夫だから安心してね」


 そう言ってからお姉ちゃんへ駆け寄り、帯電した剣を振り上げる。


 お姉ちゃんは俺の攻撃を避けようとせず、真正面から受け止めた。


 雷鳴のような音が響き渡り、辺り一帯に衝撃が広がる。


 地面が揺れて土煙が上がる中、俺とお姉ちゃんは鍔迫り合いをしながら睨み合っていた。


「今のを正面から受け止められるなんて思わなかった」


 俺はそう言いながらお姉ちゃんを押し返す。


「あら? 今のが澄人の本気なの?」


 お姉ちゃんは剣を押し込んでから身を離し、下段からの切り上げを放つ。


 それをギリギリでかわしながら後ろに下がり、距離を取った。


「さすがだね」


「ふふっ、楽しいわ」


 お姉ちゃんは余裕があるように笑いながら、俺に向かって走り出す。


 上段からの打ち下ろしと突きを放たれ、それに合わせて蹴りや拳を突き出す。


 激しい攻防が続く中で、俺はふとした違和感を覚えた。


(どうしてこんなにも戦いやすいんだろう?)


 今まで戦った相手の中で、お姉ちゃんが一番動きやすかった。


 お姉ちゃんの動きを読み、次に来る攻撃を予測する余裕があるほどに。


(もしかしたら攻撃を促されている? そうだとしたらまずい!!)


 俺はお姉ちゃんとの距離を取ろうとしたが、行動を予測されたかのように詰められる。


 そして、俺が剣でお姉ちゃんを振り払おうとしたタイミングで、逆に強烈な一撃を食らうことになった。


「ぐぅ……ッ!」


 腹部への鋭い痛みに顔を歪めながらも、なんとかその場に留まる。


 追撃に備えて警戒していると、お姉ちゃんが悲しそうな顔で剣を振り上げていた。


「終わりにしましょう」


 その言葉を聞いた瞬間に体中の魔力を滾らせ、全身に雷光を走らせる。


 周囲への影響など関係なく、触れるものすべてを感電させるような密度で雷を練り上げた。


「いっつ!?」


 俺の雷に触れたお姉ちゃんは驚いた表情を見せ、一瞬だけ動きを止める。


「はあぁあああっ!!」


「がはっ!!??」


 隙だらけのお姉ちゃんの胴体に渾身の蹴りを入れた。


 お姉ちゃんは吹き飛ばされ、地面に何度も打ち受けられながら転がっていく。


(変に気を使ってお姉ちゃんを悲しませた……すべての力を使うんだ!!)


 様子見をしてしまった自分の行動に対して後悔し、奥の手を出すことを決めた。


 体に纏う雷が勢いを増していき、周囲にバチバチという音を立てる。


「モデルチェンジ——雷龍スタイル」


 お姉ちゃんへ視線を向けたまま、全身を巡る魔力を開放した。


 正直、この状態で相手を気遣う手加減などできない。


(消し炭にしちゃったら神の祝福で治してあげよう)


 雷龍の力が俺へ憑依し、体の芯からあふれ出る力を感じる。


「はああぁ!!」


 雄叫びとともに起きようとしているお姉ちゃんへ駆け寄り、雷をまとった右腕を振り上げた。


 光速の一撃は立ち上がろうとしているお姉ちゃんでは、対処に間に合わないだろう。


(お姉ちゃんの胸を貫く感触とか嫌だな……)


 次の瞬間にはこぶしへ伝わってくる感触を想像しつつ、腕を振り下ろした。


 ドゴン!!!!


「——え?」


 俺の拳は間違いなくお姉ちゃんに当たるはずだった。


 しかし、俺のこぶしはお姉ちゃんの眼前で何かに受け止められた。


「なんだ……これ?」


「私の結界よ。いつつ……」


 俺の拳を止めたお姉ちゃんはそう言いつつ、蹴りを受けた横腹を労わりながら立ち上がる。


(結界というのなら……打ち砕いてやる!!)


 お姉ちゃんの結界ごと殴り潰そうと、俺は連続で攻撃を続ける。


 だが、多方向からどんなに速く殴ろうがお姉ちゃんへ俺の攻撃が届くことはない。


 さらに力を込めて連打するが、すべてお姉ちゃんの結界に阻まれてしまう。


(これじゃだめだ!! もっともっと強力な一撃を!!)


 結界の維持に注力しているのか、お姉ちゃんからの攻撃はない。


 それならば、その結界を突破することができれば勝機を見いだせるだろう。


「……はあぁあああ!!!」


 俺は全身からありったけの力を集め、限界まで凝縮させた雷撃を右手に宿した。

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