草凪澄の目的⑥~青き草原の試練開始~
澄人が青き草原の試練のに挑んでおります。
いつものように現れた画面と共に、周囲の警告画面が全て消え去った。
(こいつら全部が敵なのか? 倒せばいいんだよな……なんだ!?)
警告文が消えると、おびただしい量の鎧をまとった騎士が一斉に武器を天へ掲げた。
敵の数を確認するために視線を動かそうとした時、俺に向かって無数の光の矢が迫ってきていることに気付いた。
1本はなんとか避けられたが、他の数百本以上の光の矢がすべて俺へと向かってくる。
(光の矢が壁のように迫ってくる!!)
しかも四方すべてから同時に光の矢が放たれており、回避するための隙間が一切ない。
あまりの量に処理ができないと判断した俺は、雷を盾のように展開して、光の矢を迎え撃つことにした。
「雷よ!!」
俺の声と同時に展開された3枚の雷撃の壁と、迫りくる大量の光の矢がぶつかり合う。
全方向から衝突してきた光の矢と稲妻の衝撃により爆音と衝撃波が発生し、周囲の地面が芝生ごと大きくえぐれる。
俺自身はしっかりと両足で地面を踏みしめているが、衝撃でひざを崩しそうになる。
立ち昇る土煙を振り払い、今起こったことを整理しようとした。
(なんとか攻撃は防げたけど……どこから攻撃が来たんだ? 考えている暇はない!!)。
しかし、俺を囲むようにして配置されていた甲冑の騎士達がこちらへ駆け足で迫ってくる。
包囲するようにジリジリと近づいてきている中で、俺はアイテムボックスから剣を取り出した。
「ふー……俺への対策が取られている……本当に見られていたんだな……」
俺は息を吐きだし、この試練が一筋縄ではいかないことを察した。
グラウンド・ゼロ対策として俺へ断続的に押し寄せる敵。
草薙の剣は、この敵が今いる分で終わりではないかもしれないため今は使えない。
俺が考え込んでいる間も、絶えることなく光り輝く大楯を構えた騎士が次々と俺のもとへ殺到してくる。
(切り札を使わないままこいつらと戦い続けるしかないな……上は……ちぃ!!)
この場から離れようと雷の翼で地面から離れた途端、俺を取り囲むように光の矢が放たれる。
剣で光の矢を振り払いながら地上に戻り、剣と盾を持った騎士たちと対面した。
(戦うにしてもこいつら……普通のモンスターじゃない!!)
【ステータス】
【名 前】 青き草原の騎士
【神 格】 6/6
【体 力】 30000/30000
【魔 力】 200/200
【攻撃力】 S
【耐久力】 A
【素早さ】 A
【知 力】 S
【スキル】 思考共有V・剣術Ⅴ
魔力遮断・物理ダメージ軽減V
俺は襲いかかってきた騎士へ鑑定を行いながら、攻撃を受け流す。
一体一体がもの凄く強い騎士が俺の回りを囲んでおり、空に逃げようとすれば魔法が飛んでくる。
それに、騎士たちはお互いの意識を共有するかのように絶え間なく攻撃を行ってきていた。
連携に加えて、魔力遮断によって雷で気配の察知ができないため、防戦一方になってしまう。
(それでも高出力でグラウンド・ゼロを使う? ……でも、発動までの時間がかかりすぎる!)
一瞬だけ生まれる隙を突いて強力な一撃で打ち取ろうとしても、必ず仲間からの援護が入る。
しかも俺の動きに慣れてきたのか、どんどん相手の隙がなくなってきていた。
(ここなら場所が広い。久々に【アレ】を使うか)
周囲への影響が計り知れず、ほとんど使うことが無かった【スタイルチェンジ】。
以前、雷龍へスタイルチェンジをしたときには、学校にある地下の競技場を全壊してしまった。
このひらけている境界内なら何も気にせず力を振るうことが出来る。
(俺の対策をしているというのなら、一度しか使ったことがないこれならどうだ!)
頭で念じるだけで【スタイルチェンジ】の項目が現れた。
【スタイルチェンジ一覧】
・雷龍
・捕食獣
○捕食獣
捕食(極)
攻撃力:SS
耐久力:SS
以上の条件を満たしました
捕食獣へのスタイルチェンジが可能となりました
(捕食獣? 大地を喰らう暴君のことか? 選択肢が増えるとは……)
雷龍しかなかったと思っていたチェンジ先が二つに増えてしまっていた。
ただ、魔力遮断というスキルを持っている相手なので、雷主体の雷龍では分が悪いかもしれない。
チェンジ先をどちらにしようか考えている間に、敵に囲まれてしまい逃げ道が無くなる。
(出たとこ勝負だ。俺は捕食獣を選ぶ!)
俺はスタイルチェンジの選択画面から捕食獣を選択する。
すると、俺の姿が金色の輝きに包まれ、全身が変わっていく。
「グルルルル……ガァア!!」
自分の体を包む光が消え去ると、俺は今まで見たことのない姿になっていた。
全体的には、ドラゴンのような見た目で、首が長く伸び、口元から牙が生えている。
手は長い爪があるものの人間に近い形になり、指も5本ある。
尻尾が生えており、その先には大きな金槌のようなものが付いていた。
「グゥウ……ルラ!!」
そして、二回り以上大きくなった身体の背中には数枚の翼がはためく。
(本当に俺なのか?……これが捕食獣?)
対峙している騎士たちは俺の姿が変わったことなどお構いなしに突撃してきた。
俺はその姿で地面を蹴ると、とんでもないスピードで騎士たちをなぎ倒しながら滑走する。
(力がみなぎる!! すごい!! こいつは最高だ!!)
俺を取り囲んでいた敵を全員倒すと勢いそのままに、空へ飛び上がる。
「グラララ……シャアッッ!!!」
自分に向かってくる剣や槍を手で受け止め、そのまま握りつぶしていく。
俺が動くたびに、騎士たちの手足がちぎれていき、体が壊れる。
「ギュィ!!??」
身体が飛散しているのにもかかわらず、騎士たちは痛みなど感じていないように上半身だけでもこちらへ向かってきていた。
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