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国際ハンター会議へ⑩~国際ハンター会議場へ~

国際ハンター会議が行われる会場へ向かっております。

お楽しみいただければ幸いです。

 空港に国際ハンター会議の出席者が使える車があったが、俺たちはそれに乗らず観光していた。


「ごめんなさい……私が観光したいってわがままを言ったから……」


 アラベラさんが俺の腕から手を離し、申し訳なさそうにヘレンさんへ謝罪をする。


「アラベラを責めたわけではないんだ。私もアラベラとこの街を歩きたかったからな……しかし、今から車を手配するとソニアのことがばれそうだな……」


「澄人とアラベラだけ中に入って、私たちだけどこかで時間を潰そうか?」


「いや、それはやめておこう。澄人をアラベラと2人きりにはできない」


 会場のホテルへ向かう道は人に包囲されており、道路は専用の車両でなければ通れない。


 どうしたものかとヘレンさんが悩んでいるので、俺は考えるのも面倒になって両脇にソニアさんとアラベラさんを抱えた。


「キャッ! 積極的ね。これだけの人に私はアナタのものって見せつけたいの?」


「こうされるのは嬉しいけど今はこんなことをしている場合じゃないよ……」


 2人が嫌がる素振りを見せずに離れようとしない。


 もう俺には持つ手がないのでヘレンさんへ背中を向けた。


「飛び越えます。ヘレンさんは背中に抱き付いてもらえますか?」


「……目立つが……いいか。頼むよ」


 ヘレンさんが俺の後ろから腕を回し、胸の前でしっかりと手を組んでくれた。


 3人が落ちないように雷の翼でゆっくり浮上していくと、周囲にいる人たちがこちらを見ながら驚愕の声を上げ始める。


 さらに高度を上げて、ホテル上部にある空中庭園と同じ高さまで浮上した。


「すごいわね澄人! こんな風景を見ていたの!?」


 地上を見ながらソニアさんが子供のように興奮しており、はしゃぎながら声を出す。


 後ろから回される腕に入る力が増し、ヘレンさんが絶対に離さないと耳元で囁く。


 地上からフラッシュのような光が見える中、雷の翼を羽ばたかせながらホテルへ近づいた。


 空中庭園のなかにプールのような施設があり、落ちないように気をつけながら下降する。


「空を飛ぶなんて発想はなかった。助かったよ」


 足が着くとヘレンさんがパッと手を離して、服装を整えながらお礼を言ってきた。


 両脇に抱えた2人を地面へ降ろしていると、こちらへ駆け寄ってくる人たちの姿が見えた。


「ソニア・マーシュ! ヘレン・スタマーズ! 人目を避けるにしても限度があるぞ!!」


 小太りの白人男性が武装した集団を引き連れてこちらへ近づいてくる。


 それを見たアラベラさんが俺たちの前に出ながら表情を引き締めた。


「私が対応する。3人は静かにしておいてほしい」


 銃器で武装している集団に対して怯むことなく立ち向かっていくアラベラさんが小太りの男性と対話を始める。


「ソニアさん、あの人は誰なんですか?」


「国際ハンター協会で事務をしている偉い人よ。詳しくは知らないわ」


「演出にもって言っていましたけど、前もなにかやったんですか?」


「うーん……前回の会議も周りに人が多そうだったから、スカイダイビングで直接会場入りしたわ」


「ダイナミックに入場しているんですね」


「なぜか変装していても私ってバレてしまうの。不思議よ」


 12月でもシンガポールは非常に暑く、変装しているソニアさんの顔が分からないけれど、全身から魅惑的なオーラが溢れるような服装だ。


 これで自分を隠しているつもりなのかと言いたい気持ちを抑えていたら、アラベラさんがソニアさんの胸やお腹を触り始めた。


 くすぐったいわと余裕を見せるソニアさんへアラベラさんがムッとした表情をする。


「お姉ちゃんこれじゃあバレても仕方がないよ。全然私を見てって雰囲気を隠していないもん」


「そう? まだ控え目だけど、澄人と一緒だから気持ちが出ちゃったのかしら?」


「スミトはお姉ちゃんに目を奪われちゃう?」


「そんなこ——ソニアさんは素敵だよ」


 否定しようとした瞬間、ソニアさんが悲しそうに唇を尖らせたので、慌てて訂正した。


 すると、満面の笑みになったソニアさんが両手を広げてこちらへ迫ってくる。


「こうしていいのは澄人だけだぞー!」


「わっ!?」


 抱き付いてきたソニアさんを支えようとしたら、なぜかついでにアラベラさんまで俺へ飛び込んできた。


 予期せぬ方向からの力でバランスを崩し、数歩後退しようとしたら床がない。


 落ちるのかと思い、雷の翼を展開しようとしたら足元から冷たい感触が伝わってきた。


——バシャーン!!


 大きく水しぶきを上げて俺たち3人は空中庭園の中にあったプールへ落ちる。


「気持ち良いわね! 貸し切りなのがまた良いわ!」


「すごいよ! こんなプール初めて!!」


 服がびしょびしょになりながらも、ソニアさんたちが楽しそうにはしゃいでいた。


 俺だけプールから上がろうとしたら、両肩をつかまる。


「すーみーと、どこへ行くの? 遊びましょうよ」


「スミト! えい!」


 マーシュ姉妹にプールへ引きずり込まれた俺は、考えることを止めて2人とプールで遊ぶ。


 こんな風にプールで遊んだことは近年記憶にない。


 今年の夏も交流戦の対応や境界ばかりだったから、プールなんて授業くらいだったな。


「お前たち……」


 国際ハンター協会の人と話をしていたヘレンさんがプールではしゃぐ俺たちを発見した。


 その後ろには困った顔をしている小太りの男性や、苦笑いをして銃を持っている人の姿がある。


 呆れて頭を抱えているヘレンさんは、深くため息をついて首を左右に振った。


「私も混ぜろ!! 楽しいことは独占させないぞ!!」


 俺たちのそばへ飛び込んだヘレンさんが髪をかき上げながら水面に出てくる。


「これは気持ちが良い! 最高の気分だ!」


「ヘレンくん! きみもか!?」


 俺たちはハンター協会の人たちが戸惑いながら眺める中、存分にプールで遊んだ。


 その後、ホテル内のレストランでニョニャ料理と呼ばれるマレーシアの料理を満喫した。

ご覧いただきありがとうございました。

もしよければ、感想、ブクマ、評価、待ってますので、よろしくお願いいたします。

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次の投稿は11月12日に行います。

次回も引き続き読んでいただけたら嬉しいです。

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― 新着の感想 ―
[一言] 事務の人苦労してんな
[一言] この姉妹見ててうざい気持ちしか湧いてこないな
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