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027

 ギルドの建物に入ると中は広い喫茶店のようなところだった。

 

 木製の床や壁や天井。

 正面には受付のようにカ横に長いウンターがありそこに受付嬢が三人ほど座っていて、そこで何やら手続き的な事をしている者がいる。

 それと、左を見れば集会スペースなのか木の長方形のテーブルと机がいくつも並んで、食事をとっているものや話をしてる者がいる。どの人間も鎧やローブといった、ファンタジーよろしくな恰好をしている。


 随分と人が多い、受付スペースに集会スペースどちらも部屋半分ぐらいは人で埋め尽くされていた。

 

 

「こっちだ兄ちゃん!!」


 呼ぶガンツは受付の前におり、何人ものいる人間を無理やりスペースを空けるようにして俺たちの場所を用意していた。

 呼ばれ、受付周りに居た人間が俺たちの方へ注目する。

 

 めちゃくちゃ見られてるな、おい。

 

 視線に、俺たちは周りの視線を気にしながらもガンツの元へと寄った。

 

「おら、さっき言った救世主様の兄ちゃんだ。ギルドでの登録をしたいのだとよ」

「あ、あ、あなたがっつ!?よろしく願います!!救世主様!!」


 なんだろう、このあわってぷりは。

 即座に立ち上がった受付嬢は俺たちに深く頭を下げている。

 それに、周りの視線は余計に痛くなる。

 

 なんというか睨まれているような……。

 

「そんな頭下げないでくれ。すごい睨まれてるしそれに、その救世主様って言うのやめてもらえない?」


 なんというかすごくむずかゆい。

 

「も、ももも、申し訳ありません!!」

「いや、だから――」

「ひいいぃ。もう変な依頼出しませんからぁっ。ごめんなさいごめんなさいごめんなさいっ!!」

「あの……」


 頭を抱え縮こまってしまった。


「わるいわるい。ここじゃあまり兄ちゃんたち救世主様をいいと思ってない奴が多くてな。さっきのジンで分かるが、どいつもこいつも傍若無人な野郎ばっかでみんなギクシャクしてんだ。さっきもジンの野郎に依頼について言われたばっかだったからな」


 それで、この対応。

 というより、そもそもこの怖がり方はそれ以前の気もしないではないが……。

 なるほど。

 

「大体分かった」


 だから周りの人間は救世主様なんて言葉が聞こえたとたん、俺たちを睨んでこうもひそひそと何かしゃべり始めたのか。

 

「シズネ」

「ごめんなさいごめんなさい――ひいぃぃ」

「おい!!シズネ仕事しろ。この兄ちゃんは大丈夫だから」

「ねえ」


 ひょこっと俺の後ろからサラが顔を出す。


「は、ひゃい!!」

「はやく」

「はいー!!」


 サラに言われ、今度はビシッと背筋を受付嬢。

 大丈夫かよこれ。

 

 その状態を見て、ガンツは頭を抱えている。

 

「その……すまんな」

「いえ」

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