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022

 結果――。

 

「はあはあ、もう無理だぞ……」

「うう~」


 俺たちはやり切った。

 崩落した瓦礫の山の中央、そこに気絶しているシャルロット含めサラと二人で動かない体を仰向けに倒れて空を見上げた。

 空が青い。

 どれぐらいぶりの外だろうか、大きく深呼吸すると空気が美味しい。

 

「サラ生きてるか?」

「うん……。目が痛い」

「そうか、あー」


 どれぐらいだったのか分からないが、長時間の集中した発砲でサラも疲れているようだ。

 とはいえ、俺もサラも無事だ。

 無事に生還した。

 

 無事に厄災のダンジョンを攻略したのだった。

 

「つっても、体動かないんじゃどうしようもないな……」


 魔力は本気でカラ。正直いつ意識を失ってもおかしくはないぐらいに目まいと吐き気がして気持ち悪いし、なによりそのれであるのに眠気がすごい。

 この後どうしたものか……。

 そう悩んでいる時だ。

 

「う、ううん……」


 シャルロットが目を覚ましたようだ。

 

「はっ!?ここは!?」


 飛び起きたシャルロットが周りを見渡し、俺たちによる。

 

「起きたか」

「ここはどこなのですか?」

「どこって、見ての通りだよ」

「外……、それにこの惨状は……ダンジョンは崩れたのですか?」

「ああ」

「あの男は?」

「粉々に」

「こっぱみじん」

「そうそう。で見ての通りダンジョンは崩落してこのありさまって訳だ」

「そう……ですか……。でもどうやってあそこから脱出を?」


 どうと訊かれてもだな。

  

「がんばった」

「ああ、がんばった正直死ぬかと本気で思った」


 サラと二人してその答えしか出なかった。

 

「そうですか……。それは……ひぐっ」


 それを訊いて何故かシャルロットは静かに涙を流し始め泣き始めた。

 

「なんでアンタが泣くんだ?泣きたいのはこっちだ」

「いえ……ひぐっ、その申し訳ありません……。でも、部隊は、ケインは……私のせいで……」

「ああ」


 そう言えばそんなん居たな。

 

「お前のせいじゃないよ。正直あんなん普通常人の手にはおえない」

「それでも、私には部隊長として騎士として……責任が……」

「だったら泣くなよ、騎士だろ。騎士や剣士ってのは前を常に見てまっすぐ剣を振り続けるもんだ。泣いてなんていられないし後悔なんてしてる暇はない。たとえ認められなくても成果なんてでなくてもやり続けるしかないんだ、それができなきゃ騎士なんてやめちまえ」

「それは……ひっく……」


 ああそうだ。剣士や騎士は剣を振るう。それだけだ、後悔なんてしている暇なんてない。ただ直向に真っすぐに、強くなるために常に打ち込むもの。

 結果なんて関係ない。誰よりも強く誇らしくそれを目指す者が剣士と騎士だ。

 だから泣いている暇なんてないんだ。

 高みを目指す限り進むのをやめてはならない。

 

 俺は剣士や騎士っていうのはそう言う者だと思ってる。俺だってそう思って諦めずに剣を振ってきた訳だし。

 とは言え、この世界じゃどうなのか知らないが。


「ひくっ……。そうですわね。騎士たるものこんな事で足を止めている場合ではありません」


 泣き止み、くしゃけた顔をきっりと戻すシャルロット。

 あながち、俺の思う剣士や騎士はこの世界では違いはないらしい。

 

「で?悪いけどしばらく寝させてくれ……」

「ツルギさん?」


 不意に強い眠気が襲いかかってくる。


「流石に魔力切れで限界…だ……。あとの話はサラにでもきいてくれ……」


 そうして、俺は深い眠りへとついた。

 

 


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