019
それで集めた訳だが……。
「これだけの物をどう運ぶんだ?」
大量に転がっていた金貨をその辺にあった白い布の袋にパンパンになるまで敷き詰めて、およそ10キロぐらいの米物ほどになった物と、その他ポーションやらエーテルなど薬類に本と装備など貴金属類。使えそうなそれらをあらかたまとめて俺は一呼吸置いた。
とは言え、量は尋常じゃないほど多く人っ子一人では持ち出せそうにはない量だ。
サラに言わるまま集めたが、これをどうすると言うのだろうか?
「サラ集めたぞ?――おい起きろ」
「ん~」
いつの間にか飽きて四隅にあったワラの上で寝ているサラの頬をペチペチと叩いて起こす。
「できた?」
「できたぞ」
眠そうに目をこすりながら荷物の方へ移動するサラ。
ていうか、俺もいいように使われるな。
荷物の前に立つと、サラは荷物の方ではなく自分の足元に手のひらをつき、俺が何をしていると聞こうとしたその時だった。
「これは――」
荷物の置いてある地面は黄金色に光輝き、そのまま荷物はその黄金の中へと沈むように飲み込まれていった。
そうして、全ての荷物が沈み消えると光は収まって元の倉庫へと戻った。
今のは?
「しまった」
そう一言いう彼女の言葉に俺はピンと来た。
「ああ、大体分かった」
これはどういうことかと言うと。
"しまった"言葉通りの意味だ。
おそらくは弾丸やマガジンと同じ、先のソレは全く同じ現象だったからその予想に間違はない。
つまるところ、サラはしまったのだ、どこかへ。弾薬やマガジンが保管されている場所に。
正直それがどこなのか、そもそもどこかに存在するのかは知らないが、サラはそこに閉まった。
しまったということは、
「いつでも出せるのか?」
「うん」
ということだ。
なるほど。便利だ。これならば余分な荷物は持ち歩かなくてもいいし、かさばらない。その上、いくつも同時に物は運べる。
とはいえ、そうならそうと先に言ってくれればいいのに。
相変わらず言葉の少ない掴めない子だ。
まあ、結果としてこいつも俺の役に立ちたい気持ちはあるのだろう。
そこは尊重して、俺はよくやったとサラの頭を撫でてやる。
「さて、俺も少し休憩だ」
「ん」
荷物運びで疲れた体をワラに倒しひと休みすることにする。
サラも俺に抱き着くように寝ころび再び眠り始める。