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011

「それにしても、随分深いな」


 クラウ・ソラスを出しては次から次へと投擲し照明にしながら、俺はダンジョンの奥深くへと進んでいた。

 進む道は幸い下へ向かう道のようで、いくつか階段を下り深層へと近づいているようだ。

 

 それに、心なしか岩場だったはずの大きな空洞は、入口の方と同じような灰色の石のレンガ作りに変わってきていた。

 

 そうして進んでいいると、



 ワオオオオオオオオオオオン!!

 

 

 ダンジョンの中に犬らしき遠吠えが響く。

 

 

「犬?」



 進む足を止め、辺りを見渡す。

 


 ガルウウウウウウウウ。

 

 

 広いダンジョンの中、いたるところにある壁が崩れた陰から灰色の狼のような赤目を光らせる獣が顔を出し唸っている。

 どうやら、囲まれたようだ。

 陰から見える赤い瞳はいくつもあり、こいつらは群れを成しているのは一目瞭然で、その縄張りかなにかにノコノコと俺がやってきてしまったようだ。

 

 

 ガウッ!!

 

 

 シュッ!!

 バシュ!!

 

 

 飛び出してきた一匹に点火したクラウ・ソラスを投擲し、その身を突き抜けならが投擲したクラウ・ソラスは天井に刺さり辺りを照らす。

 

 

「何体居るんだ?」



 ガウッ!!


 一匹目の狼の魔物の行動に感化されたのか次々と、飛び出し始める。

 

 

「―――!!」



 それをクラウ・ソラスで切り倒し、次々と魔物下の山を気づいて行く。

 一頭、二頭、三頭、その数は数十頭にも及び、飛び跳ね避けては切り裂き移動し対処する。

 この程度の魔物ならば問題はない。ただ――如何せん数が多く、終わりが見えない。

 

 おまけに、倒した魔物は蒼い光を帯びて消え去っていく。

 正直、消えられると倒した実感がない。

 数が多く、さほど倒していないにも関わらずいつまで続くんだという錯覚が生まれてくる。

 

 

 日本刀をソードクリエイトで形成し、二刀流で応戦するもそれでもらちがあかない。

 それに、偽造のクラウ・ソラスと日本刀では正直手が足りない。

 

 

「っと――もっと対集団に特化した剣じゃないと」


 それをイメージする。

 より、一度に多くの敵を一掃できる剣。

 単純な魔法火力やティルウィングのような聖剣の砲撃でもいいが、後先のことを考えるとあまり大物を出すのは得策ではない。

 もっとスマートに、もっと簡単に……。

 クラウ・ソラスと日本刀を左右の魔物に投げつけて。

 


「ソードクリエイト――八岐大蛇(ヤマタノオロチ)



 形成するのは蛇行剣だこうけんヤマタノオロチ。

 見た目、細真っすぐの伸びた直刀だが芯には蛇の皮で強く作られたワイヤーが通っている。

 刃も分断式。いくたもの数にその刃は分断することができ、中央に通ったワイヤーがそれをつなぐ。一たび振るえばムチのようにしなり、ついた刃は対象を削りながらその首を跳ね飛ばす。

 無論。この刀もただの刀ではなくランクは低いが魔剣で、その身に黒くうねる蛇のような魔力をもつ。

 その魔力は、一度敵として認識した相手に一ミリでも傷をつければ猛毒が回り確実に死に至らしめる。

 ゆえ――それを振るう者は、死の舞を踊り上げる踊り子となって。

 

 当然、俺がそれを振るうと同時、無数の狼の魔物の一切が死に絶える。

 

 舞う刃は、まるで籠のようで、近づくものをその内側に通すことを決して許さない。

 

 

 ガルウウウウ。

 

 

 そうして――最後の一匹をヤマタノオロチを振り下ろし一刀両断する。

 

 

「っと――ふう」



 どうやら全滅したようだった。

 さきっまで魔物と会わなかったのは今の群れにでも駆逐されたからだろうか……。

 どうであれ、ここから先は警戒した方が良さそうだ。

 俺はヤマタノオロチを消し、再びクラウ・ソラスを形成して、最下層へと歩き始めた。

 

 

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