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「どっちなんだろうなー……」
「どちらでもいい。私の子に変わりはない」
「いいこと言うよな、シュシュって。確かにまぁ、そうなんだけど……うーん」
「クゥクゥはいつも悩んでいる」
「そりゃあ、俺一人のことじゃねぇし。こっちの覚悟ができてなかったら、困るのはあいつだろ。もしなんかあったら嫌なんだよ」
「なるようにしかならない。……クゥクゥは少し人間らしくなったな」
「俺もそんな気がする」
弱い個体は死んでしまっても仕方がない。
そういった弱肉強食の考え方を持っていたはずなのに、セランのこととなると考えが変わる。
弱くてもなんとかして足掻きたい。守りたい。
そのためにキッカは日々頭をひねっている。
「お前のとき、あんなにあれこれ言ったのになー。自分もこうなると思ってなかったんだよ、ほんとに」
「過去に戻れるのなら、クゥクゥもそうなるのだと伝えたい」
「どうせ信じねぇよ。俺だってまだ信じられねぇもん」
「セランのことは好きか」
「好きだよ。好きだから悩んでる」
うーん、とキッカは難しい顔をした。
仮面に隠れてシュクルの目には映らないが。
「なるようにしかならねぇか……」
「いかにも」
「もし、人間らしい方向にどうこうしたとき、お前の嫁さん借りてもいいか? 俺、全然わかんないからさ」
「…………構わない」
「ずいぶん悩んだな、おい」
とにもかくにも、シュクルの許可は得た。
だったら、もう、なるようにしかならないという言葉に身を委ねるしかないだろう。
「クゥクゥ」
「んあ?」
「人間の姿での交尾は難しいな」
「っ!?」
平然と言ったシュクルとは対照的に、キッカは勢いよく吹き出してしまった。
「お前なー、そういうことあんまり言わない方がいいぞ」
「なぜ?」
「人間ってそういうの隠したがるっぽい」
「公の場で行うことではないと思うが、つがいとしては至極当然の行為では」
「俺もそう思うけど、なんか話に出すと怒られるんだよ。恥ずかしいからやめろって」
「ティアリーゼもよく私を叱る」
叱られたときのことを思い出したらしく、シュクルがしゅんと目を伏せた。それにともなって白い尾も床にへたってしまう。
「三日も尾の手入れを拒まれることがある。よほど隠したいのだろう」
「なのに言うんだな、お前は」
「ティアリーゼの怒る顔も好きだ」
「変態じゃねぇか」
思わず突っ込んだが、シュクルに通用している気配は微塵もない。




