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47話『彼女は動き出す』

「ん? 奏斗君? どうしたの?」

「ん、あぁ。すまん。ちょっと考え事をしていてな。と言っても、今考えてることが雪の中二病を治すという部分に繋がるなんて思えなくてな……」

「そうなの? それでも心当たりあるなら話してみてくれないかしら? 私も一緒に考えてみるわ」

 絵美に言われ、俺はさっきまで考えていたことを絵美へと話した。俺がこの事が理由にはならないと思うという理由と共に。

「そう。……う~ん。困ったわね。確かに、普通の人に雪ちゃんが聞いてたら何も意味は持たないと思うけど、聞いた相手が奏斗君じゃねぇ……」

「お、俺だとなにか悪いことがあるのか!?」

「いや、そういう悪いとかじゃなくてね。この際だから言うけど、雪ちゃんが中二病を治そうとしているのは主に奏斗君がさっき話してくれた内容が原因なのよ」

 正直そんなことを言われても、俺からしてみれば何が原因なのか分からない。中二病発言をしないということは、俺が好きな方とは逆のことをしている。ということは、俺から嫌われる為に中二病を治そうとしているのかもしれない。いや、まぁ雪が中二病じゃなくても好きであることには変わることはないが。

「はぁ。その顔で考えていることはなんとなくわかるわ。だから言ってあげるけど、雪ちゃんは少なくとも奏斗君を嫌ってなんてないわ。嫌われようとするなんてもってのほかよ。ま、だから奏斗君は雪ちゃんの言葉を信じて、雪ちゃんが考え終わるのを待てば良いのよ」

「そ、そうか。なんか嬉しいな。ま、俺も別に雪が中二病だとか、中二病じゃないとかはあんまり気にしていないからな。雪がしたいようにするのを見守るさ」

「そうよ。そうしていなさい。それに、今回のスキー教室で話せるようになったのなら、これからも普通に接していればきっと問題ないわ。頑張りなさいね。私は少なくとも二人がお似合いだと思っているわ」

「おう。ありがとな。俺も絵美と健はお似合いだと思ってるからな」

「う、うるさいわね! 私のことはどうでも良いのよ!」

 それからというもの、俺は絵美と少し話してから家へと帰ることにした。しかし、いつもなら家には妹しかいない筈だが、今日は珍しく俺の知らない靴が玄関に置いてあったのだ。まぁ、大概これは妹の友達の靴だと考えるが、そもそも妹が家に友達を連れてくるのは滅多にない。俺と違って妹には友達が多いということもあるし、たまには家で友達と遊びたくなるものだろう。

「ただいま~。奏恵~? 今日は友達でも来てるのか~?」

「あっ! おかえりお兄ちゃん! 今日は友達じゃないよ! っていうか、私が家に友達を連れてきたことないでしょ!」

「ってことはこれは誰の靴なんだ?」

 玄関に置いてある見覚えのない靴を指差し、俺は妹へと訊ねる。

「雪ちゃんだよ! 久しぶりでしょ!」

 絵美と共に雪についての話をしてすぐに雪と出会うとは思わなかった俺は、奏恵の言葉を聞いて部屋に逃げるか迷っていた。しかし。俺の迷いはすぐに打ち砕かれてしまった。そう、奏恵と話している間に、雪が扉の隙間からこちらを見ていることに気付いてしまったからだ。

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