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27話『幽霊なんて怖くない』

 雪の後に俺もお風呂へと入り、少し早めに寝ることにした。明日から夏休みとはいえ、生活習慣くらいは守りたい。せめて最初のうちくらいは。しかし、ベッドに入ってからも中々寝付くことが出来ず、久しぶりに羊を数えていた。

 そして、羊が数百匹を超えたとき、ふと部屋のドアが気になって見てみると、何故か開いていた。寝るときは確実に閉めたはずのドアが開いているのだ。怖い。普通に怖い。言ってはなんだが、俺は闇とかの単語は好きだけど、幽霊とかの類は苦手なのだ。だって、あいつらに物理攻撃とか効かないし、そもそも存在してるのかも分からないし……あれ? 存在してないなら怖くなくね? うん。全く怖くないな。なんか布団がもぞもぞし始めてるけど気にしない気にしない。

「ちょ、マジなにこれ。奏恵は寝てるはずだし……」

 体に何かが触れたような気がしたとき、俺の体は本能的に震えだした。無意識的に恐怖しているし、むしろこの状況で怖がらない方が難しいだろ。

「……お兄ちゃん? 大丈夫?」

 ぼそっとした言葉に俺はびくっとなりつつも、声の方向を見る。暗いからよく見えないが、声的には奏恵の声だった。昔は奏恵も寂しくなったら俺と共に寝ることもあったが、流石にこの歳になっても奏恵が来るということが想像できない。

「か、奏恵か? どうしたんだこんな夜中に……」

「ちょ、ちょっとね、ほら、最近雪ちゃんと一緒に寝ていたからさ、人肌恋しくなったみたい……な? あんまり気にしないで!」

 良かった。ドアを開けたのは奏恵だし、こっそりベッドに入ってきたのも奏恵だ。どうやら本当に寂しくなって来たみたいだ。

「まぁなんでもいいけどベッドも狭いからな、落ちないように気をつけろよ」

「うん! 夜中に起こしちゃってごめんね」

「気にすんな。それに、小学生の時も良く一緒に寝てただろ?」

「そ、それは言わないでよ! もう私は寝るからね! おやすみ!」

 俺がなにも気にしてないことが分かって、一切の遠慮をしなくなった奏恵は、何故か俺を抱き枕にして寝始めた。もしも俺じゃなければきっと耐えられないと思う。ま、俺以外にこんな事する訳ないだろうけども。雪以外では……。


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