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21話『短い一日』

 学校というのは中学の時には遅く感じていたのにもかかわらず、こうも友達ができると早く過ぎ去るのは何故なんだろうか。授業が進み、学校帰りにほとんど遊んでるような部活にも参加して、楽しい日々を過ごしていた俺たちは、あっという間に高校初めての大型連休に突入しようとしていた。


「あと少しで連休だな。雪は予定とかあるのか?」

 これだよこれ。友達に休みの予定を聞く。初めての経験はなにものにも代えがたいものだな。雪との学校帰りについついニヤニヤしちゃう。確実に怪しいな俺。

「魔力の根源にアクセスして、異世界の門をサーヴァントと開く予定」

「へぇ、聡か。良いんじゃねえか? 無駄な気がするけどな」


 人生において無駄な時間なんてないと思ってたが、異世界の門を探すのは無駄なことだ。もちろん実体験だが、思えばその時の俺は無駄とは思えてなかった。成長したな俺。すごいぞ。それにしても、聡と雪が二人とかなんかモヤモヤするな。俺の過去を振り返っても、この感覚は分からない。ま、俺は過去を振り返らない性格だし、人とはそんなに関わってなかったからわかる筈がないか。


「聡のことはやっぱり苦手なんだよなぁ……」


 部活でも何回か接触しているが、やっぱり苦手意識が抜けない。第一印象が大事と世の中では言われているが、眉唾ではなくて事実みたいだ。現に俺にとっての聡の第一印象がTHE・陽キャって印象から変わらない。

「サーヴァントは我を崇拝している。だが、マスターに対しての対応も調教しておく。任せてほしい」

「なんであいつはこんなやつを崇拝してるんだよ……」

 いかんいかん。聡のことを考えていると本当に気持ちが揺らぐ。高校初日の俺を思い出せ、あの希望に満ちていた俺を。

「さてと、それじゃ帰って飯でも作ろうぜ。今日は奏恵が遅いし、俺たちで作らなきゃならないらしい」

「むむむっ。奏斗。我は料理というのが苦手なのだが……」

「お前、一人暮らしじゃなかったか? 何を食べてたんだ?」

「簡単な料理のローテーション。料理は迅速かつ最速に、また、手軽に食べないといけない。魔力回復のためにもローテーションは完璧」

 こいつの言葉は昔の俺も使っていた言葉だ。思えばよく学校で言えたな俺。思い返せば恥ずか死ねるな。

「うっし! じゃ、今日は頑張って工夫して作ろうぜ! 連休前の祝いだ祝い!」

「では奏斗、食材の調達をしようではないか!」

 何を作ろうかなんて決めていないが、実は作りたいものはある。普段の奏恵に対しての感謝も込めて、奏恵の好きなパエリアが作りたい。もちろん、雪の好物も作る予定だ。雪には内緒だけどな。


 買い物を出来るだけ早く済まし、雪が騒がないうちに家へと帰って、パエリアとから揚げを作り始めた。ま、当然の如く俺一人でだが。

「雪。なんで自炊の出来るお前が手伝ってくれないんだよ!」

「我は魔力切れで動けないのだ! 奏斗ならきっと大丈夫!」

 ため息をつき、俺は作業へと戻った。しかし、罰として雪のから揚げは少なくするとしよう。俺の分を多くする、これで決定だ。

 料理をすべて作り終えたときには、奏恵も帰ってきていて、雪と一緒にお風呂へと入っていた。ちゃんとお風呂にお湯を張ってくれたのだけは感謝する。

 お風呂から出てきた二人と共に俺はご飯を食べて、俺もお風呂に入り、今日という日は終わりを告げたのだった。

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