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20話『雪の中の俺』

 複雑な気持ちで俺が聡を見ていると、おもむろに聡は雪の方を見ながら喋り出した。


「マスター。俺は何をすればいいのでしょう。とりあえずこの男を呪えばいいですか?」


「ダメ。というか、マスターに聡は勝てない、攻撃すら通用しない。マスターは最強だから私のマスターなの」


「やめてくれ。俺はそんなに強くねえよ。顔も性格も、雰囲気すらそこの男に負ける。むしろ、なんでそんなにハイスペックなのに中二病やってるのが謎だわ」


「えっ、なに言ってるんですかこいつ。逆に中二病だから友達出来たし、もしかして友達とか居なかったんですか?」


 どうしても陽キャの前では自分のスペックの弱さが身にしみてわかってしまう。それに、こいつみたいな陽キャだからこそ、自分を変えなくても友達がいるんだろう。しかし、このハイスペックなら雪の元に隷属しなくても人気者になれた。こいつは残念なイケメンだ。これがわかるだけで俺はこいつと話せる。問題はない。だがしかし、こいつは俺に許されるべきではないことを言った。


「友達……? 俺から見て友達でもいいか?」

「いや、その返答でわかるからいいです」

 なんだこいつむかつくな。こいつは中学の奴に受け入れられてるからこそ、仲間意識を持たれて、群れていられるのだ。だからこいつと俺は別物だ。単独行動をしていたからこそ、高校では変わりたいと思えた。人生においていつ裏切られるかなんて分からない。ましてや中学なんて思春期真っ只中だ。その時に単体行動をして、裏切るとかそんな事関係ないところに居た俺は勝ち組。すいません、強がりでした。完敗です。


「マスターには我が居るから問題ない」

「ぐぬぬ、許せません! 次こそはあなたからマスターを取り返して見せます! 待っていてください! ……あ、入部届はここに置いておきますね」

 なんで突然ライバル的な扱いされてるのか分からないし、分かりたくもない。けど、逆に考えればこのハイスペックにライバル扱いなら俺も勝ち組。やべぇ、イケメンを見過ぎて自虐意識の膨張が激しい。

「なにしにきたんだよあいつは。それと雪、俺のことは名前で呼べ。またあいつが来るなら呼び名的にめんどくさい」

「しかし……まぁ良い。了解した。これからはマスターではなく真名で呼ぶ」

「頼んだぞ。に、してもあいつら遅いな。帰りたくなっちまう」


 どんだけ先生と交渉してきたのかは分からないが、聡が帰ってから三十分後に健と絵美は戻ってきた。どうやら交渉が上手くいったらしく、聡を入れて五人で「放課後課外活動部」は部として成立した。意味わかんないけど、何はともあれ成立したなら詮索するつもりもない。

 それから、時間的にも部活が出来る時間ではなくなったこともあり、部活はしないで俺たちは家に帰った。当然雪も一緒だ。もはやここ数日一緒に居すぎて家族のような感覚にすらなっているのがなんとなく俺は少し怖くなってしまった。

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