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1話 『未だ中二病を捨てきれず』

さてさて、気まぐれで連載しましたよ!

 カランコロンと鳴り響く鐘の音、見知った顔の拍手の音、そして、真っ白のヴェールを纏った女の子の足音。皆に祝福されながら、俺は結婚式を迎えていた。白のヴェールを取り、俺はその顔へと唇を近づけた。


 ―――ジリリリリリッ。と鳴り響く音ともに幸せな夢は消え去り、カーテンの隙間から漏れる日差しが顔へと直撃し、強制的に目を覚まさせる。

 しかし、俺の眠気は収まらなかった。だからこそ、俺はカーテンを閉じ、目覚まし時計を止めることにした。

「お兄ちゃん! 起きて!」

 目覚まし時計を止めても、俺の目を覚まそうとする者がいた。小さいながらも、何故か毎回起こす度に俺の上に乗ってくる可愛い妹だ。

「なぁ、起こしてくれるのは嬉しいんだけどよ、せめて腹の上に乗るのはやめてくれないか?」

「し~らない! 起きたのなら私はリビングにいるからね!」

 サササっと俺の上から退き、部屋から出て行ってしまう妹を見てから、俺は寝ぼけた目を擦り、今日から始まる学校のために着替えはじめた。

「ねぇねぇ、お兄ちゃん。お兄ちゃんの部屋のベランダにあるダンボール捨てる物で良いんだよね?」

 リビングに戻り、朝ごはんを作ってくれている妹の名前は、胡桃沢奏(くるみさわかな)()。そして、俺の名前は胡桃沢奏斗(くるみさわかなと)である。

 中学時代に友達を失ってから、両親は存在するものの、妹と二人暮らししている。妹である奏恵は中学生ながらも、俺のために転校までしてくれて家事全般をしてくれている。本当によくできた妹だ。

「あぁ~、ベランダにある物はまだ一応捨てないでもらっていいか?」

「―――えっ⁉ まだ捨てないの⁉」

「あ、あぁ。悪いな。それよりも、なんかちょっと焦げ臭いけど大丈夫か?」

 家中に焦げ臭い匂いが広がると奏恵は慌てて走り、火を止めた。しかし、その甲斐虚しく卵焼きは焦げてしまった。

「あわわっ! 折角の卵焼きがぁ……」

「余所見しているからだぞ!」

「うっさい! お兄ちゃんなんて中二病卒業したとか言いながらもまだ背中に「黒魔(こくま)封入(ふうにゅう)(けん)」を背負っているじゃんか! まさか学校に持っていくわけじゃないよね?」

「はっ? 何言って……俺は中二病を卒業したはず……えぇ……」

 中学校時代に中二病で友達を失い、俺は高校を地元から離れた場所にした。だからこそ中二病を卒業して青春を送ろうとしたのだが、奏恵の言葉通り、俺の背中には中学時代に毎日欠かさず背負っていた黒魔封入剣が存在した。習慣とは怖いもので背中に背負っているにもかかわらず、何も感じなかったのだ。

「なぁ、奏恵。今の俺はまだ中二病に見えるか?」

 今回はきっと寝ぼけてしまっていたが故に持ってきてしまっただけで、普段は中二病など卒業しているのだ。

 そもそも、中二病とは思春期の中学生に起こりやすく、空想や妄想を設定として作り出し、自分に隠された力があるなどと思ってしまう事だ。だが、今の俺は既に中学を卒業して、高校へと入学しようとしている。中二病も卒業した筈なのだ。

 当然、中学校時代に持っていた中二病グッズは全て部屋のベランダにあるダンボールにいれておいたし、部屋も誰が見てもいいように模様替えしたし、俺の中二病であった痕跡はない筈だった。

「朝ごはんとお弁当作っているんだからあんまり邪魔しないでよね……って、お兄ちゃん、その指輪と眼帯は何? もしかして着けていくつもりじゃないよね?」

 奏恵の言葉を聞き、俺は真っすぐ洗面所へと向かった。そして、今の自分の姿を確認し、時間的に学校への支度を再開した。とりあえず奏恵に指摘された通り、眼帯と指輪を外し、部屋へと急いで戻ってダンボールへと突っ込んでおいた。

「それじゃ、お兄ちゃんは行くからな! 戸締りはちゃんとするんだぞ!」

「うん! いってらっしゃい!……って、お兄ちゃん、お弁当お弁当―!」

どうでしたか?


一応不定期更新の予定なので、次の話が書け次第投稿する予定です!

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