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拝啓 影忘師  作者: weed0e
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前編 接触

 オーブというものを知っているだろうか。

 心霊写真に写ってるものだ。

 よくオーブは近くに霊がいるという合図だと言われている。

 俺はそんなもの迷信だと思っていた。



 あんな事が起きるまでは……。


◇◇◇◇


 俺の家は母子家庭だ。

 兄弟はおらず、母親と2人っきりで住んでいた。


 二人で住むには広すぎる程の二階建ての家。

 俺の部屋は二階の一室で、母親が一階の和室を寝室代わりとして使っていた。


 小学4年生の頃だろうか。

 ある話を聞いた。

 それは俺の家では前の住人が遺体で発見されたという話で、ある意味、曰く付き物件というものだという。でも前の住人の霊が出るなど聞いた事もなければ、霊らしきものを見たこともなかった。


 ある日、学校から帰ると無性に眠気に襲われた。なので、母親にご飯はいらないと言い眠りについた。


ゴトン


 そんな音で目が覚めた。

 母親が何かしてるのだろうと思い、時計をみると午後8時。

 しかしこの時間は、母親がパートに出かけており、いない時間。物音などする筈がないのだ。


 当時の俺は恐怖より好奇心が勝っていたため、その音がなった隣の部屋へと近づいた。

 すると、


スーッ


 目の前を青白い、淡い光が横切った。


ゴトン


 また、聞こえた。

 まだまだ好奇心が勝っており隣の部屋を覗こうとした。

 すると、


ガチャガチャ


 玄関から鍵を開ける音が聞こえた。


「ただいま~」


 母親の声がする。

 その声を聞いた途端、隣の部屋への興味もなくなり、母親を迎えに行った。


◇◇◇

 その日はパートが早く終わったらしくテレビをみて過ごした。

 この時には、もう頭の中に不審な物音の事など忘れており母親に話すこともなかった。


◇◇◇◇

 それから5年経ち、俺は中学二年生となった。部屋は当時のまま、二階の一室を使っている。


 部活が終わり帰宅すると、母親はパートに行っており、家には誰もいなかった。

 暇つぶしがてらリビングでテレビをみていた。


 しばらくして、時刻は午後8時。なぜかわからないがとても嫌な予感がした。


ゾクッ


 寒気がする……

 一人しかいない筈の家に自分以外の気配を感じた。

 ふと二階の部屋からリビングが見える窓を見ようとした。


ゾクッ!!


 さっきより強い寒気がした。

 しかし自分の意志とは関係なく視線が動く。


 何もない。


 そうだよな、何もある筈ない。そうだと思いたい。


 だからそれ以上そこを見るのはやめてくれ!! と強く強く、思っても視線が固定され動かせない。


 すると窓から見える扉が、ひとりでに開いた。

 そこから黒い靄のようなものが人の形をとり、窓に近づく。


 俺は視線を外せない。

 テレビの音が遠くで聞こえる。


ドクン、ドクン


 まるで、自分の耳元で自分の心臓の鼓動がなってるかのようにうるさい。


 のっぺりとした黒い人型の顔がこちらをみる。


 目が合った!

 そう思った瞬間。


ドクン!!


 心臓の鼓動が強くなった。そして、あれまでうるさくなっていた鼓動が聞こえなくなる。


 周りの景色の色も薄れ、息もできなくなる。

 だが苦しくもなく、これで俺の人生が終わった。


 そう思った時、俺は意識を失った。


 その時、声が聞こえた気がした。

 しかし何を言ってたかは分からなかった……

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