時間差チート、発動(改)(改)(改)(改)
また2年ぶりだって。2人とも。
「すまん神田、時間差チートが性懲りもなく発動しちまった」
「ようやく発動する気になったんだね。どうやらあれからまた2年以上経過してるよ。僕と君の存在はもうかなり薄くなっちゃった……もはや拷問に近いんじゃない? むりやり生かされてるっていうかさぁ」
「神田、発動するもんじゃねぇんだよ時間差チートは。発動しちまうもんなんだ」
「どうでもいー。それが発動するか否かにかかってるんだよ僕らの存在はー。家に帰りたいよーゲームしたいよー。修学旅行にも行けてないんだよこっちはー」
「いよいよ不貞腐れてきやがったな……確かにこんな状況に追い込んだ俺がわりぃとこもあるけどな、お前もちったぁ希望持てよ。願えば叶うのが小説の世界だろ」
「僕に執筆権限はないんだよ千糸」
「与えようか?」
「このチートがぁ」
「決め台詞にも覇気がねぇなおい」
「惰性だよね、もうね」
「喜べ。『僕とチートの日常生活』は作者がなんらかの事情でなろうにログインできなくなるまで閉鎖されることはない。俺たちの物語は終わらないんだ。だからいつか俺たちのチート物語は再開するんだぜ」
「ほんとぉ?」
「いつかな。その時が来るまではお前から俺に話題を振って良い。1ヶ月に1回くらいの頻度で。答えるかは別だけどな。答えたらまた時間差チートが発動するだろうよ。次が……5回目?」
「時を超えるのにも慣れてきたよね。てか、もう続かなくていいんだよ。さっきも言ったけどさ、拷問だよ拷問。メタ要素ありきで会話してるだけの傀儡なんだ僕ら。作者には『僕とチートの日常生活』を書き始めたからには責任持って物語を完結させる義務があると思わない?」
「まあな。俺らをほっぽりだして書いた小説だけで文庫本2冊3冊余裕で作れる程度の字数は書いてるだろうしな」
「ちょっと千糸。その小説群の中に僕らは残滓として生き続けてるなんて安易なオチに持っていくつもりはないよね?」
「今言われて初めてそんな可能性に思い至った。お前チート使った? 目覚めた?」
「今さら君のアイデンティティを奪うような真似はしないよ……奪ってどうなるって話だし。どうせ抜け出せないんでしょ、この空間からは」
「あらゆるチートを駆使しても駄目だな。なんらかの大いなる存在がその工程を邪魔してるとしか思えねぇ」
「神?」
「作者かもな。でも神かもしれねぇ。作者を動かすのがこの世界の神なのか、あるいはあっちの世界の神が作者を操ってんのか、そんなところだろ。俺らを泳がせて便利に使ってるってのは間違いないと思う」
「何のために……いい加減に解放してほしいよ」
「同感。さ、そろそろ今回もお開きにすっかな……じゃあな神田。お前呼んでると向こうの世界のリアル神田の顔が浮かんできてたまんねぇんだよ」
「知るかボケェ!」
「今度目覚めても、またお前と話せるのを祈ってるよ。ちゃんと現れてくれよぉ〜? 他の誰かじゃ、会話すら起こらねぇから」
「僕にそんな権限はないから、祈るだけ無駄さ」
「そうかな。ま、そういうことにしとくかな。へへへ」
ごめんな、2人とも。