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スポーツ?読書?いやチートの秋でしょ

みんな、前回はほんとにごめんね。

短かったし、第一久々すぎたし、地の文無かったし、僕も怒鳴ってばっかりでね。ほんと、ごめんね。そもそも『僕とチートの日常生活』を知らない人がこの世界には多すぎると思うんだ。具体的に数字にしたら、たぶん70億から80億人くらいの人が知らないと思う。


「にしても最近めちゃくちゃ涼しいよな。いよいよチートの秋の到来ってわけだ」


「チートの秋って何なの……? スポーツとか読書とか食欲とかと一緒にされても困るんじゃないのチートさん?」


「困らねぇと思うぜ? なんせチートだから」


「あ、そう……」


いつもの帰り道、千糸は僕に秋の話題を振ってきた。

僕はどちらかと言えば涼しい秋よりも暖かい春の方が好きなんだけど……まぁ、過ごしやすい季節ってとこは、いいよね。あと台風が多いから、いいよね。学校休みなるもんね。


「……そうだ、千糸。チートで台風作ってよ」


「ははーん、さては警報目当てだなぁ?」


「そーいうこと。さ、ちゃっちゃと作っちゃって一週間後辺りにここら辺に呼び寄せてよ。最近フェニックスさんと戯れてないし、休みたい」


そう、そうなんだ。僕はあのフェニックスさんと前回の邂逅を最後に会えていない。なんか最近ちょっと、前回フェニックスさんと何したかの記憶が薄れてきてしまってて、これは本気で不味いなと思ってたんだ……そういえば、何でここまで自分の記憶に自信がないんだろう?


「そりゃ言っちまえば一年以上戯れてないからな」


「な、なるほど! そういうことか!」


「いや普通に納得すんなよ」


いや普通に納得してしまった……僕はとても自分が情けない。こんなことになるんだったら、作者の気が僕から離れる前に、中三になる前にもっと自分の存在をアピールしておけば良かった……。


「ごめん、あんまりにもそれすぎて……ごめん」


「ふーん? ま、いいや。それで台風なんだけど、早速作ったぞ」


「いや早いな……」


流石チートで、千糸と言ったところである。

台風くらいちょちょいのちょいとでも言いたげな千糸は、口笛を吹き始めた。しかもスキップしながらだよ。いくらなんでも器用すぎるよ千糸……。


「器用じゃねぇよ、これに関しては普通に神田が不器用なだけだと思う」


「え、僕不器用だったの? そんな設定あったの? 聞いてないんだけど」


「今作った。そういや神田のお母さんも抹茶アイスの件でアレだったし、お前もその血引き継いでるんだろ。あと耳栓を外し忘れる程度の記憶力な」


「ま、まさか……この記憶力の無さ、不器用さは伏線……?」


「ということにしとく」


なんか良い感じに繋がっちゃった……これは一年以上前の僕に助けられたって感じが否めない。

もっと今の僕を出していかないと……過去ネタに頼りまくるほど愚かな行為はないよ。きっと。もっとクリエイティブでいなくっちゃ。芸術の秋だしね?


「そうだな、芸術の秋だな」


「心を読むな心を……! てか久しぶりだねテレパシー……!」


そういえばこのテレパシーさんにも散々お世話になった。

過去何回かの更新で、このテレパシーさんネタを何回使ったことだろうか。その度に僕はとてもうざーい思いをする羽目になるので、実は今だから言うが、毛嫌いしていた。

うん、ほんと、大っ嫌いだった。今でもそうだよ。


「ごめんなぁ」


「なんで千糸が答えるんだよっ!!」


「きた、ひっさしぶり~神田のナイスツッコミ!」


「そりゃどーもっ!!」


もうやだ……だからチート生活は嫌なんだよ。

いちいちツッコミしないといけないし? なんかよくわかんない変な目に遭うし? 更新も一年以上来ないし? ん? うん? うん? 更新、一年以上来ないし??


「ごめんなぁ」


「だからお前が言うなこのチート!!」


「芸術の秋だもんなぁ。ほら見ろ神田、あそこに真っ赤に紅葉した木があるぞ! はは、綺麗だな!」


「急に秋トークに戻さないでよ……」


「神田は秋と言えば何連想するよ?」


「えっ、秋?」


千糸が唐突にそんな質問を投げ掛けてきて立ち止まったので、それに合わせて僕も慌てて足を動かすことを止めた。

前々から思ってたけど、千糸の振りはいきなりすぎて……。

たぶん芸人さんとかが千糸と話したら、会話のリズムが全然掴めなくて、しばらく話したら死んじゃうんじゃないかってくらいにははちゃめちゃな喋り方だ。


「秋……んー、やっぱり紅葉とかかな……」


「ベタも良いところだな」


「ベタで悪い?」


「悪くはねぇよ。ただ個性がないなって、思っただけだ」


「十分悪口だよそれ……」


「というわけで気まぐれが起きた。よっと」


千糸がさっき話していた木に手を振ると、紅葉が一瞬にて全てコンクリートに叩きつけられた。

なにそれ……。


「紅葉狩りだ」


「すごい物理的だね!!」


「ほらっ」


「うぇっ!?」


千糸が紅葉を一枚拾って投げると、それが自転車くらいのスピードになって僕の方向に飛んでくる。見事に僕の胸に突き刺さったが、痛みはなかった。

千糸のチート遊びのノリは未だによくは把握できていない。おそらく一番千糸の近くにいるであろう僕でもだ。率直に言って怖い。


「……ん?」


「今度は何……」


「すまん、神田」


「あと500回くらい言ってくれたら許す」


「台風がやってくる時間設定ミスったっぽい」


「一週間後だよね??」


「一時間後になってた」


「あと1000回くらい謝って」


千糸がおもむろにスマホの画面を見せてきた。


『只今っ! ものすごいスピードで!! 台風が本州に迫ってきております! その移動速度、飛行機並み!! 直ちに! 直ちに避難してください!! でないと死にます! 死にます! 死にまぁーーすっっ!』


「……」


「……この、チートが」


もうツッコミたくない……そんな気力もないとき、今僕が言ったセリフはとても便利だった。一言で千糸に言いたいことが伝わって良い。


「……すまん神田」


「…………あと、999回言ったら許す」

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