プロローグ 遅めの新人は超能力者?
TAS的な作品を書きたかったんですよ
「クソッ!なんだこいつは!」
「撃て撃てっ!撃ちまくれ」
東京晴海埠頭。その倉庫で響き渡るのは銃声。
10人くらいのアジア系外国人を含めたこわもての男、18人がマシンガンを浴びせていた、一人の警官に。
しかし警官は全く動じることもなく少しずつ、また少しずつ男たちに近づいていく。
男たちが使ってるマシンガンは1秒に50発撃てるタイプのはず。
それが撃てども撃てども警官に命中しない。
いや命中どころかすりもしない。
「化け物か、あいつは!」
「弾が全く当たんねぇ…!」
その時全弾打ち尽くしたのか動きが止まった。
警官はそのスキを突き拳銃を抜いた瞬間トリガーを引いた。
「ぐわっ!」
「のわっ!」
「ふぇっ!?」
ほんとに一瞬だった。タンタンタンタンタン!という音とともに10人の持ってたマシンガンが吹き飛んだ、と同時に警官は一気に男たちの近くにあった箱に近づき手を入れた。
だが弾き飛ばされなかった1人の男も近くの箱に手を入れ武器を取った。
RPG-7ロケットランチャーだった。
「死ねェェェェェェ!」
という言葉の間に警官は手に入れたマガジンを残りの7人に撃ち武器を飛ばしていまだに唖然とする17人に猛スピードで突っ込み1人ずつボディブローをお見舞いした
最後の男がRPGの引き金を引こうとした瞬間、警官はそれを飛び蹴りで飛ばした。
「お、おいどういうことだ!?日本人は全くハジキを使ったことがないんだろ!?なんであいつは…」
と言いかけたとき腹に強烈な痛みが走った。
飛び蹴りをした警官が体を翻して強烈なボディブローをお見舞いした。
倒れていく中、目の前が暗転した。
警官は最後の一人が倒れたのを見て
「試行数562回、フレーム数4829F」
とつぶやいた。
「初めまして。本日付で高等特殊犯罪捜査班に配属されました。多須川刹那です」
2208年。この世界は大きく変わった。コンピュータの技術革新がものすごい進んでCPUのメモリの単位がヨタを超えた。その結果サーバーやゲームの中で仮想空間が生み出されその中に人が入り込めることが可能となり現実世界における人の行動、コミュニケーションを取れるようになった。
しかし、この仮想空間を使った犯罪も多く発生したり,現実世界においても不可解な事件も多く発生している。その犯罪を現代日本では高等特殊犯罪とよんだ。この犯罪を取り締まる捜査班のことを警視庁高等特殊犯罪捜査班と呼ぶようになった。この班は警視庁捜査一課よりも権限が下であるが多くの事件に対処するために警察庁、警視庁高官の命令を受けずに捜査することができる。しかしこの班は最近になってできたばかりなのでのメンバーは刹那を除いて6人しかいない。
「今日からよろしくお願いします」
穏やかな目をした青年は本日付で高特班に所属になった多須川刹那である。
「なんで今になって新しい人が?」
セミがうるさく鳴いた季節もすぎ、秋風が涼しくなって過ごしやすい季節になっている。そんななかで配属されたのが刹那である。
「5か月前の晴海埠頭で違法武器の闇取引が行われていたのは知っているな?」
「え、ええ。多国籍シンジケートと指定暴力団のアレですよね。でも踏みいったときには全員が気絶していたという」
「それをやったのが当時巡査だった多須川だ」
「は?」
倉田班長の言葉が全員が理解できなかった。
「え…?いやいや!ありえないでしょ!?」
「ああ…ありえないと思ったさ。しかも解決した功績も認められて捜査一課よりも昇級とが難しい高等特殊犯罪捜査班に入った。さらにとんでもなく厳しい訓練をわずか2ヶ月で突破したんだ…ありえないだろ?わたしも疑ったさ…」
「あ…あの、次のことをやらないといけないのでは…」
うなだれる班長の言葉を遮った刹那。
それを聞いて思い出したかのように、あ、そうだったな。といって立ち上がる班長。
「この班は拳銃を使用する機会がほかの科と比べたら少し多いのだよ。だから全員がここにはいったらまずは射撃テストを行い、そのスコアを登録しなければならない。警視庁地下の射撃場に行ってくれないか?」
「はい。愛用の12弾実装のコルトパイソン432マグナムを使用しても…」
「高特班配備の自動式拳銃を使用しろ!いや、なんで愛用の銃、しかもマグナムなんて持ってるんだ!?」
「俺自動拳銃よりマグナムの方が扱いやすいのでこっちも使用していいですか?と上層部に聞いたら特別許可をもらいました」
は~…とため息をついて班長は、
「あ~わかったわかった。すぐに行きなさい。あとでわたしも見学に行くから…」
といった。その間髪を入れずに
「あ、あの。わたしも見学に行ってもいいですか?」
そういったのはこの班で2人の女性、橋本左京だった。
「あ、ああ。いいぞ。橋本」
そう言って班長は刹那とともに部屋を出た。
「ルールは高いスコアを出せばいい。的は中心が100点だが、頭部は倍の200点、眉間はさらに倍の400点だ」
スピーカーから班長の声が響く。
班長は別室でモニタリングをし、左京は射撃場で刹那の後ろにいる。
刹那は高特班の自動式拳銃セブラルシノビバスターをいじったり、構えて的を狙ったりしている。
「班長、開始と終了条件は?」
と刹那が聞く。ピガーという音の後に、
「俺が『3、2、1。開始』と言ったらスタートだ。終わりは10発全弾撃ち尽くしたら終了」
と言った。
班長はふう、と言ったと同時に
「あれが噂の新人君?」
と射撃場の室長であり科学警察研究課の課長の小林麻璃絵が聞いてきた。
「あんな穏やかそうな青年が取引関係者16人を気絶させるようには見えないけどなぁ…それに高特の訓練もすぐに終わらせたんでしょ?」
「ああ。あの厳しい訓練プログラムを難なくこなして早く終わらせた…と聞いているからな」
「え?聞いただけなの?じゃあ実際の訓練は見てないということ?」
「ああ、多須川が入りたい、と言っていたのは聞いていたが、私のところは忙しいからな…教官に任せていたが、体力テストだけ見てびっくりしたよ。全部A。しかも上体起こしだけで600回超えてるんだぞ?」
「え?600回?あれって30秒なんでしょ?制限時間」
「あ、ああ。はっきり言って信じてない。だが教官のあの目は疲れて死んでいた」
小林が話そうとした時に、
「班長、ちなみに今までの最高得点と最速時間の記録はどれくらいですか?」
と刹那が聞いてきた。
「あるか?」
小林は班長の問いにちょっと待ってて。といってキーボードをいじった。
カタッ、という音のあとふむ、と言い椅子にのけぞって、
「今までの最高記録は2990点。そこにいる左京ちゃんが3年前に出した記録」
そう言ったあとモニターの映像で刹那が左京のほうを向いた。その後続いて、
「最速はないわ。そもそも時間は計ってない」
刹那はわかりました、とつぶやき頷きながら的のほうを向く。
「さて、おてなみ拝見…といこうかしらね」
「麻璃絵。お前ワクワクしてないか?」
「ええ。だって警察のお噂になっている新人くんのデータが取れるのよ?嬉しくて嬉しくて…!」
「ヨダレ出てるぞ」
おっとっと、といってヨダレを拭い、準備オッケですと班長に言った。
「よし、多須川。準備はいいな!」
「刹那くんは自信あるの?」
と左京が聞いてきた。
左京の顔を見ないで弾倉に入った弾丸を見ながら、
「俺は誇り高きTASです。最高記録かつ最速で終わらせる」
そう刹那が言ったあとに左京はえ?と言った。
刹那のいった意味がわからなかったのだ。
たす?たすってなんなの?と思ったがよくわからなかった。
「よし、多須川。準備はいいな!」
と班長の声がスピーカーのノイズとともに射撃場に響く。
刹那は弾倉を銃にセットした。カシャッという音の後静寂があり,少し目をつむった。少しの間。だがすぐに鋭く目を開いて「おけです」と言った。その言葉の後ウィーンという音とともに的の書かれた人の板が出てきて刹那から30m離れた場所に止まった。刹那はまっすぐに的を表情をこわばらせ見ていた。再び静寂が響く。
別室。班長と小林は顔を合わせ頷いた。
「では射撃テストを行う。3、2、1、開始!」
その声とともに刹那の目は少し光を失った。だが失ったのはほんの一瞬、まさに刹那の時間。そして光を取り戻した瞬間に刹那は引き金を弾いた。
左京は目の前で起こったことにも理解ができなかった。班長のスピーカーからの「開始」の瞬間に刹那が発砲した。普通拳銃の発砲音はタン、タンと一発一発ごととなるはず。しかし刹那の拳銃の発砲音はタタタタタタタタタタン!まさにマシンガンを撃ったようだった。さらに砲身は全くブレず反動も見えなかった。発砲音の残響の中、最後の薬莢が落ちた。唖然とする左京は的を見た。左京がスコア登録で撃ったときはあちこちに弾丸が貫通したであろう穴と同スコアの穴が大きく広がったりしていたはずである。しかし刹那の的は眉間に一発の穴のみ。
的をさっきと変わらず真っ直ぐ見る刹那。カンカンカカカカ…と金属音が響いたあと刹那は銃を下ろし、
「試行数39回、フレーム数76Fでムービーエンド、か…」
とつぶやき、スピーカーに向かって、
「はんちょー!スコアは!?」
と言った。
うぇっ、といった驚きの声の後に少し時間を置いて、
「よ…4000…」
と言われた。
それを聞いて刹那はふ、といい銃を台に置いた。
と同時に視線は変わらずに
「引いてますか?」
と尋ねてきた。
左京は腰を抜かしているので、はひッ、と答えることしかできなかった。左京が腰を抜かしている理由は刹那に分かっていた。あんな光景を目の前にして引かないほうがおかしい。なぜなら高特班の最高記録保持者である左京の記録を1秒で塗り替えたのだから。左京の持っているプライドがズダズダ、というのではなく単純に目の前で起こったことがありえないからだ。
刹那は振り向き左京の顔を見た。その目は拳銃を撃つ前の穏やかな目をしたさっきの表情だった。
「すいません。俺TASなんでスコアの最高を催促で狙うのが好きなのです…」
「お、おい。多須川…」
スピーカーから班長の声が響く。
その声は震えていた。なぜ震えているのかも多須川にはわかっていた。班長も彼女と同じなのだろう。と刹那は思った。
「なんですか?」
と平然と答える。
「お、お前は…エスパーなのか?」
「TASです」
「は?」
「超能力者、エスパーではありません。誇り高きTAS、Tool-Assisted-Speedrun。俺が生まれながらに持っている能力です」
さてさて次はTASの能力を持った多須川がどんな能力を使うのかを紹介します




