第二話 欲張り娘の午後
第二話投稿しました♪
感想やご意見、待ってまーす。
「ねーねー狐子ちゃん、今夜の合コンなんだけどぉ」
講義が終わり、狐子が学食でおやつ代わりのキツネうどんを啜っていると
智狐がやって来て、ウキウキした表情で話し掛けてきた。
「んー、私はパスって真美子に言っておいたけど?
ってあんた、何たぬきそば持って来てんのよ?」
「だってぇ、学食のキツネうどん飽きてきちゃったんだもん」
狐子が呆れたように智狐を見詰める。
「あんたねえ、いくらなんでもたぬきは無いでしょ、たぬきは」
「そんな事はどーでも良いんだけどぉ、
今夜の合コンの相手の男の子の中に、アレがいるらしいのよね」
ずずずとおそばを啜りながら智狐が嬉しそうに言う。
「アレって、もしかしてアレ?」
「そーなのよ!久しぶりでしょー!
も〜、絶対落とすんだもん!アレならエッチも強いし、
散々ヤリまくった後に更に美味しく頂けるじゃなぁい?」
ぶばっ!!げへごほげは!きぃやああああっ!!
狐子たちの隣の席のカップルの男がカレーライスを爽快に噴出して、
目の前に居た彼女らしき娘がカレーまみれになって悲鳴を上げた。
狐子はカップルを気の毒そうに見た後、
「何お気楽な事言ってんのよ。アレのチカラがどれ程のものか
解らないんでしょ?あんたはまだまだ成熟し切ってないんだから、
逆に取り込まれる可能性だって十分有るのよ?
この前だって、危なく逆喰みされそうになった癖に」
と非難がましく智狐に注意する。
「えへへ〜、でも止められない止まらないのよね〜。
で、狐子ちゃんにお願いっ!
今夜の合コン、パスなんて言わないで一緒に来てぇ。
一番は狐子ちゃんに譲るからぁ」
「あんたなぁ……」
狐子は溜息を付きながら額を押さえるが、一番を譲る、
という所で一瞬だけ表情が動いたのを智狐は見流さない。
「ねー、一番は狐子ちゃんに譲るからぁ。一番は」
一番、を連呼する智狐と、一番、に反応してピクピクする狐子。
自分達の世界に入り込んでいる二人を周囲が冷ややかに見詰めている……。
「あら、おキツネ様が二人揃って頭抱えてどうしたの?」
その時、涼やかな声が二人に掛かり、
「あ!狼子先輩!!」
狐子がかあっと頬を赤くしながらがたーん!と立ち上がり、
「……ちっ」と黒い表情で吐き捨てるように智狐が呟いた。
−久遠神狼子−
狐子と智狐のゼミの先輩で有り、学内最高の美人として名高い才女。
決して自ら目立とうとする事は無く、控え目で清楚な性格で
教授から下級生まで幅広い人気を誇っている。
智狐の同郷の先輩でも有り、実家はオオカミ様を祀る神社で、
狼子は智狐を可愛がっている様に見えるのだが、なぜか智狐は狼子を煙たがって避けている。
狼子が焼肉定食の載ったトレイをすいっとテーブルに置きつつ智狐の隣に腰掛ける。
「……狼子先輩、なんで私の隣に来られるんですかぁ?」
天使の様な微笑で悪魔の様に毒を吐く智狐に、狐子の心臓がドキーン!と跳ね上がる。
「ちょっと智狐!なによその言い草は!?」
まるで自分が猟犬に追い詰められたような気分になりながら
アタフタとキョドり、狐子は智狐を叱り付けた。
「だってぇ、狼子先輩に隣に座られるなんてぇ、恐れ入谷の鬼子母神だもん!」
両手を顎の下で握り締め、プルプルと頭を振りながら可愛狐ぶる智狐。
「良いのよ、智狐ちゃんは照れてるだけだものね」
狼子が音も立てずにお茶を啜りながらにっこりと微笑む。
狐子がふと見ると、既に焼肉定食は完食されていた。
”ど、どんだけ……”
二分と掛からず、運動部の連中も満足するボリュームの定食を平らげた
ほっそりとした純和風美人の雅な微笑を冷や汗混じりに見詰める狐子。
「どうしたの狐子ちゃん?私の顔になにか付いてるかしら?」
薄いピンク色の唇を形良く開きながらにっこりと笑う狼子の口元から、
鋭利な犬歯がのぞいてキラリと光った。
「あわわわわ……な、なんでもありません!」
狐子はその静かな迫力にさーっと青ざめながら、
「わ、私達ちょっと用事が有るので失礼しますっ!!」
と叫んでたぬきそばをずるずると啜っている智狐を引き摺り学食から走り出る。
「あらあら、忙しいわねぇ、キツネさん達は」
不思議そうに二人を見送った狼子は、食券販売機で唐揚げ定食の食券を買いながら呟いた。
「あのー、おそばの丼どうしましょーか?」
ぜいぜいと肩で息をしながらベンチに突っ伏す狐子に、
ずずーっとたぬきうどんの汁を飲み干した智狐が声を掛ける。
「知るかっ!!後で返しに行けばいいでしょっ!!」
「へーい」
フンフンと鼻歌交じりに辺りを見回していた智狐が
「あ、武藤くんだ。おーい」
と歩いていた男子学生に声を掛けた。
「あ!あ、秋葉……」
声を掛けられた武藤はビクっと驚き、おどおどしながらこちらにやって来る。
「うふふふ、ねぇ武藤くぅん?なんで昨夜帰っちゃったのぉ?」
にまあ、と微笑む智狐の目が赤く光り始める。
「あ、ご、ゴメン。昨夜はちょっと……用事、が……」
智狐がすいっと武藤に近付き、背中に手を廻して抱き付きながら首筋に唇を当てた。
「あ、秋葉……」
武藤が目を瞑り、ピクピクと痙攣を始める。
「うふふふ……ちょっとだけ、いただきまぁす……」
武藤の首筋をちゅううと吸いながら、智狐の右手がはちきれんばかりに盛り上がった
武藤のGパンの中心をさわさわと小刻みに撫で始める。
「う…うああ…ああああ!!」
次の瞬間、武藤の長身がビクビクン!と大きく痙攣し、
ガクッと項垂れながらヘナヘナと芝生の上に崩れ落ちた。
「あらぁ、早い事早い事。ま、でもビタミン剤程度にはなったかな♪」
Gパンを通して滲み出した、武藤の精の付いた右手をぺロっと舐めながら智狐が色っぽく呟く。
「ようやるわ……」
狐子は呆れ声で呟きながら、智狐の行為を見て火照ってしまった肉体を持て余していた。