おとなの宿題
30代では姉に義兄を紹介した叔父が何人かお見合いを持ってきた。
見かけ年齢も気持ちもまだまだ若いつもりの香織にとって、叔父の持ってくる相手はおっさんばかり。
5〜6才年上の三十代後半だが、既に頭髪が寂しかったり、香織より背が低い男や最初から同居が条件だったり、挙げ句バツイチ子持ちの母親役求める男を持ってきた上に「香織の年齢ならこういう条件でも仕方ないよ」と言い放つ叔父に「自分のことはほっといてくれ」と叫んで追い出した。
誰も彼も一目見て、所帯染みた男ばかりで、とてもじゃないが付き合いたい男の範疇になかった。
彼らが求めているのは家事を任せられる相手だろうが悪いが自分には何も出来ない。
自慢じゃないが、今も下着すら自分で洗濯したことがない。
母親が何くれとなく世話を焼いてくれるのだ。
それに自分とて実直に年をとった男など好きじゃない。
今もツーブロックにカットした髪をメッシュに染めピアスが似合うような若い男にときめくのだ。
勤め先の不動産会社でも、会社に出入りする取引先や社長の奥さんからそれとなく紹介されることも有ったが興味の湧く相手は居なかった。
その内、40才手前になり、友達の家で産まれた子猫「茶々」を引き取った辺りから見合いの紹介も途絶えた。
柔らかい茶トラの毛並みの茶々の愛らしさに取り憑かれ、仕事が終わると家に直帰。
ペットショップの常連となり、賢く猫と暮らすための情報誌を年間購読する。
ペット中心の生活は彼氏の居ない生活を忘れさせた。




