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寂しい理由  作者: ケイコ クロスロード
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反撃

求人の応募資格に年齢制限が大っぴらに出来なくなったせいで、○才以下という条件は見なくなった。一見50代の節子でも、どこにでも応募出来そうで実際に出来る訳ではない。履歴書を無駄にしないためにも言外に匂わした条件を読む必要がある。30〜40代の女性活躍中とあればそれが雇う側の本音だ。50代多く働いています、などと書かれてあれば、脈はある。介護・清掃・ベッドメイクと並ぶ中にデパートの商品発送の入力処理の求人にチェックを付け、電話をかけることにする。家の中で携帯の電波が弱い場所があるため固定電話を取り上げると留守電が光っている。昭夫が何十年と通う歯科医からの伝言だった。そう言えば昭夫の舌の付け根に気になるしこりが触れると言って、口腔外科も扱う老齢の歯科医は自分が今も付き合いのある研究室に組織検査に出してくれたのだった。携帯などない頃からの付き合いが長すぎて家の固定電話しか伝えていなかったのだろう。電話から流れる歯科医の口調は検査結果が昭夫のガンを疑うものだと察せられた。節子の胸には小さなさざ波一つ立たなかった。昭夫に知らせることもせず、歯科医の伝言は無視して京

阪沿線にあるデパートに面接の予約を取り付けた。

履歴書と職務経歴書を作り向かった採用面接には息子と同年代に見える若手社員が出てきた。優しい口調で話す感じの良い彼は、節子の履歴書を見て、大手の銀行で長年事務処理を担当されていたなら、すぐに慣れてもらえる仕事だと思います、その場で採用を匂わせた。彼との会話の殆どは採用後の仕事内容の説明で、一つ説明する毎に「大丈夫ですか?」と節子の意向を問うて確認される。節子は、はい大丈夫です、とか、はい分かりましたと言うだけで面接は終了した。銀行を辞める理由は一言も聞かれなかった。



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