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魔剣学園 ~ブラコン娘の奮闘記~  作者: 光闇雪
Chapter.1 ~入学~
8/23

Episode:007 トーナメント終了

珈琲中毒様、FOOL様、感想ありがとうございます。

第7話、更新しました。では本編をどうぞ。

「よし。皆、集まったな? 今から準決勝を行う」


 14時きっかりに“能力測定トーナメント”が再開する。

 グランは朝礼台に立つと、待機場所に集合した生徒たちにそう宣言した。そして、準決勝に進んだ四人の生徒の名を呼び、それぞれのブロックへと行かせる。


「11組、ウィルネ・アース。Aブロック」

「はい」

「12組、鎧塚孔佑(よろいづかこうすけ)。Aブロック」

「うっす」

「14組、プルート・ウンディーネ。Bブロック」

「はい」

「12組、文月弥生(ふづきやよい)。Bブロック」

「は~い」


 呼ばれた四人は、それぞれ返事をし各ブロックへと向かっていった。

 魔法陣に映された戦闘場を見ると、1回戦から3回戦の時よりも広くなっている。そのことについて、グランが他の生徒に説明した。


「準決勝の戦闘場は、見ての通り今までの戦闘場の2倍の広さだ。今までの戦闘場の広さでは余ってしまうからな。それだと勿体ない。なお、この広さをよく覚えておくようにしろよ。普段の魔法実践では、この広さで行うからな。また決勝では、この広さのさらに2倍、つまりグラウンド全体を使うことになる。決勝での広さは覚えなくてもいいが・・・・・・、生徒会長を目指している者がいたら覚えておけ。3月に行われる生徒会長選挙では、グラウンド全体を使って行われるからな。さて、ちょうど四人が所定の位置に付いたようだ。この四人の戦いをよく見て、何故自分が負けたのかを考えるように。いいな」


 四人が所定の位置についたのを確認すると、グランは朝礼台を降り教師群に加わった。生徒たちは魔法陣に映される四人の姿を食い入るように見ていく。


『『始め!』』


 審判の教師の合図により準決勝の火蓋が今、下ろされた。


*****


「グラン先生、いいですか?」

「ん? どうした? 愛紗美」


 準決勝の戦闘が行われている中、愛紗美がグランに声をかけた。グランが振り返ると、愛紗美の他にも刃冶の姿も見える。

 愛紗美は刃冶に視線を送ってから口を開いた。


「ユキちゃん、夜刀神夕季のことでちょっと」

「夕季か・・・・・・。ならニーナ先生も同席がいいな。ニーナ先生」


 グランは夕季が11組所属であるため、担任のニーナにも同席した方がいいと踏んで、戦闘を見ていたニーナに声をかけた。

 ニーナは返事をし振り返って、グランと愛紗美と刃冶の組み合わせに怪訝な表情をしながら近づいてきた。


「どうかしましたか?」

「夕季のことについて話があるそうだ」

「? 夕季さんがどうかしたの? 愛紗美さん」


 ニーナは首を傾げて、愛紗美の方を向き訊ねた。ニーナとグランの二人を交互に見た愛紗美は、夕季がグラウンドに来られないことを説明した。


「ニーナ先生も御存じでしょ? 食堂の料理番の方が辞めてしまったってことを」

「ええ」

「それで代わりに料理を作ったのが、ユキちゃんなんです。で、その料理が思いの外評判がよくって、同級生だけでなく上級生まで噂を聞きつけて来ちゃったもので、手が離せない状況になっちゃったんですよ」

「・・・・・ん? 待て愛紗美。あの時、料理を作っていたのは夕季ではなかったはずだが・・・・・・?」


 愛紗美の話を聞いていたグランが、ミレーユを学園に転移させた後、愛紗美に声をかけるために食堂に行った時に見た料理を作っていた者の姿を思い出し首を傾げた。

 あの時、夕季は変装をしていたので、グランには別人に見えたのである。


「ああ。あれはユキちゃんの変装です」

「ん? ああ、なるほど」

「え? それはどういう?」


 愛紗美の返答に納得したグランだったが、今度はニーナが首を傾げる番だった。

 なぜなら夕季が超能力を使えるのは、刃秦から全教師に伝わっていることだが、刃秦は変装ができるということを教えていなかったからである。


「ニーナ先生。夕季は変装術に長けているんだ」

「ああ、そうなんですか? グラン先生、よく知ってますね」


 ニーナは何故、グランが夕季の変装術について知っているのか疑問に思い訊ねた。グランは苦笑し肩を竦めて、


「ニーナ先生の疑問は尤もだ。しかし、これは誰にも話してはいけないことになってるのでな。そのことはご容赦いただきたい」


と答えた。ニーナは『え、ええ』と言って、愛紗美の方に向き直し頷いた。


「夕季さんが来れないことは分かりました。あ、そうそう」


 ニーナは何かを思い出したのか端末に触れて、連絡事項を確認してから眠そうな顔の刃冶に視線を向けた。


「トーナメントが終わった後に言おうと思ってたんだけど、夕季さんと刃冶くんはトーナメントの後、魔法科学研究塔の最上階の一番奥の部屋に来てね。そこで使い魔を召喚してもらうから」

「使い魔?」


 刃冶は聞き慣れない単語に首を傾げた。そんな様子の刃冶に愛紗美はため息を吐いた。


「ヤイバ、入学案内に書いてあったでしょ?」

「そんなもん。面倒で見てない」

「にゃははは、ヤイバらしいね。えっと、魔剣学園ではね。魔法を使わないといけない必修科目があったり、魔法使用者しか行けない場所にいかないといけなかったりと、魔法不使用者には不便なことが多いの。だから毎年、入学した魔力保有魔法使用不可能者には使い魔を召喚して使い魔を通して魔法を使用するってことになってるんだよ」


 刃冶の正直の返答に苦笑するしかない愛紗美は、使い魔について説明した。

 愛紗美の言う“魔力保有魔法使用不可能者”というのは、魔力を保有しているのにもかかわらず、魔法が使えない者である。

 トーナメント第一回戦で夕季が説明した通り、この世界に生きる者たちは皆、魔力を保有している。つまり“魔法が使えない≠魔力がない”なのだが、ごく稀に魔力を保有しない者が生まれてくるので、区別するためにそう言っているのである。

 魔法至上主義において、魔力未保有者が一番劣っているという考えなので、昔から魔力保有魔法使用不可能者よりも差別されていた。日本でいうところの穢多(えた)非人(ひにん)である。

 前食堂の料理番だった乃絵がミレーユ達の標的にされていた背景には、彼女が魔力未保有者だったということがある。今もなお、色濃く残る魔法至上主義による差別の根絶が、今の政府の最重要事項といえる。

 話を戻すが、ここ魔剣学園では創設目的により、魔力保有が絶対条件である。そのため、魔力未保有者が入学することはできない。

 しかし、魔力保有魔法使用不可能者は入学できるので、魔法を使わざる負えない時は困ってしまう。これを解決したのが使い魔召喚というワケである。


「魔法が使えないのに使い魔が召喚できるのか?」

「それは心配ないぞ。ここ魔剣学園の使い魔召喚は特別で、魔力保有者ならば全員召喚可能だ」


 グランは刃冶の疑問に返答し笑う。

 ここ魔剣学園は、魔法科学研究では他の追随を許さないほど進んでいる。その先駆けとして、この使い魔召喚がある。特別な魔方陣を組むことで、魔力保有者に反応し使い魔を召喚することが可能となったのである。


「これを夕季さんにも教えておいてね、刃冶くん」

「へ~い」


 ニーナの言葉に刃冶は、素っ気なく返事するとその場を後にする。愛紗美は苦笑しながら、グランとニーナに挨拶して、その後を追った。


*****


 それから2時間後。

 能力測定トーナメントの優勝者が決定した。優勝者は1年14組所属のプルート・ウンディーネ。表彰台に立った彼女の顔は、興奮しているのか少し赤くなっている。

 また2位は1年11組所属のウィルネ・アース、3位は12組所属の文月弥生である。


「これで能力測定は終わった。この後、各担任の先生の指示に従うこと。以上!」


 表彰がすんで、愛紗美とプルートとの戦闘も終了したので、生徒たちは待機場所からグラウンドに集合した。

 そして朝礼台に上ったグランがそう言って、傍に控えていたニーナ達に目くばせする。ニーナ達は各クラスの生徒の前に立つと、今後について指示していく。


「今から呼ぶ人以外は着替えて、寮に帰ってもいいわ。寮に帰ったら石動さんの指示に従う事、いいわね?」

『『『『『はい』』』』』


 11組の生徒たちはニーナの言葉に頷いた。その中には夕季の姿も見える。

 食堂での料理に区切りがついたので、『夜は19時から』という札を食堂の扉にかけて戻ってきていたのだ。

 夕季に気付いたニーナは頷くと、笑って夕季と刃冶に告げた。


「じゃ、夜刀神刃冶くんと夜刀神夕季さんは着替えても教室に残っててね」

「「へ~い(はい)」」

「では、解散!」


 呼ばれた二人が返事をすると、ニーナは解散を宣言した。



**********


〈使い魔か。どんなのがでるんだろうな?〉

〈ふふふ。分かりませんけど、楽しみです♪〉


 教室内で、私は兄様とテレパシー(精神感応)で会話していました。

 入学案内では、魔力量に応じ使い魔が召喚されるとあるので、どんな使い魔になるのか楽しみです♪


「やっほ~。二人ともお待たせ~」


 数分後、制服姿のお従姉(ねえ)様がやってきました。その後ろには男女合わせて15人の生徒が一緒にいました。


「お従姉様? どうかしたんですか?」

「ニーナ先生に頼まれてね♪」


 お従姉様いわく、ニーナ先生は用意があるそうなので、生徒会長であるお従姉様に案内を頼んだそうです。

 まぁお従姉様のことですから、ニーナ先生に案内をせがんだのでしょうけど、ここは頼まれたことにしておきましょう。


「それじゃ、私の後についてきてね~」

『『『『『はい(うっす)(へ~い)』』』』』


 それから私たちはお従姉様に残ってもらった理由を説明してもらって、東階段から2階へあがり東側の突き当たりの渡り廊下を渡って、渡り廊下傍にあった大きな魔力昇降機にのり最上階へ。そこでニーナ先生とバトンタッチし後についていくと、突き当たりの大きな扉の前に着きました。


「ここが使い魔召喚の間よ」


 ニーナ先生は扉を開けて、私たちがニーナ先生に促され部屋の中に足を踏み入れると、扉を閉めました。

 ついて来たお従姉様は部屋の外で待機みたいです。

 部屋を見回すと壁は赤紫一色に塗られて、中央付近に青紫の魔法陣が描かれてありました。

第7話をお読みくださいましてありがとうございます。また、誤字・脱字報告や感想・質問などのコメントをお待ちしております。


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≪魔剣学園制服説明≫

紺色のブレザー型の制服。男子はネクタイとパンツ、女子はリボンとスカートで、ネクタイとリボンの色は学年によって違い、1年はベージュ、2年は深緑色、3年は藍色である。また、魔剣学園生徒である証の校章バッジを左胸に付けなければならない。

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