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魔剣学園 ~ブラコン娘の奮闘記~  作者: 光闇雪
Chapter.1 ~入学~
6/23

Episode:005 トーナメント 第ニ回戦

珈琲中毒様、FOOL様、感想ありがとうございます。

第5話、更新しました。では、本編をどうぞ。

 刃冶による説教が、亜紗美のとりなしで終わったが意気消沈の夕季。それを見てため息を吐いた刃冶が宥めていく。すると見る見るうちに元気になる夕季。そんな夕季を、愛紗美は苦笑しながら見つめていた。

 それから1時間・・・・・・、前の組が終わり刃冶と夕季の2回戦目が始まろうとしていた。


〈夕季。一回、勝ったしさ。もう負けていいだろう? 正直、面倒くさくなってきた〉

〈仕方がないですね。兄様のしたいようにしてください。でも・・・・・・〉


 刃冶は所定の位置に向かいながら、1回戦目と同じように夕季にテレパシー(精神感応)で話しかる。夕季は心の中で苦笑し返答しながら、所定の位置に向かった。


〈分かってるよ。従姉(ねえ)さんに分からないように上手く負けるさ〉


 夕季の言葉に頷き刃冶は、透き通るような青い髪の竜人族特有の鱗のような模様に触れている対戦相手、ブッチャー・ダウンを見つめて、いかに誰にも悟られないように負けるかを考えていく。

 刃冶は面倒くさがりの癖に、いかに負けるか、いかにサボるかということだけは真剣に考える性質の悪い性格である。


「夜刀神夕季。いい戦いをしようじゃないか」

「ふふふ」


 一方、夕季の方はウキウキとしていた。目の前の紫色のショートボブの狼人族特有の長い犬歯をぎらつかせている対戦相手のプルート・ウンディーネが相当の使い手であると分かっていたからである。

 以前、夕季の盗み見た私設ボディーカードが集めていた資料には、“国際全中魔法戦闘大会で優勝”とあり、夕季が一度戦ってみたいと思っていた人物である。夕季がウキウキするのは当然であると言える。


「「始め!」」


 各ブロックの審判の教師の開始の合図に、二人の戦いは始まった。


 ※刃冶の場合


「鋭き風よ! この手に集まれ!」


 教師の合図と同時に、ブッチャーは自分の手に風を纏わせていく。いかに負けるかを考えていた刃冶は、それを見て呟いた。


「ほぉ。風剣遣い(ふうけんつかい)か・・・・・・」

「お前を倒すには、これぐらいしないとダメだと踏んでいる。いざ尋常に勝負!」


 ブッチャーはそう叫ぶと、大地を思いっきり蹴って、飛ぶように刃冶との間合いを詰める。そして、構えた風手剣(ふうしゅけん)を振りあげる。

 刃冶は身体を逸らし攻撃を避けて、そのままの体勢で蹴りあげる。その攻撃をブッチャーは身体をひねって避けると、後方に跳んで間合いを開けた。


「久々に強者が現れて、ワイは楽しいぞ。夜刀神刃冶」

(・・・・・・・・・・・・俺は楽しくない。はぁ。なんでこうも俺の周りは戦闘狂が多いんだ)


 ニヤニヤと笑って、そう言いながら風手剣を構えるブッチャー。それを眠そうな目で見つめる刃冶はある人物たちを思い浮かべながら、心の中でため息を吐いた。


「「「「「は、はっくしょん!」」」」」


 その人物たちが、同時にくしゃみをしたのは言うまでもない。


「鋭き風よ! この手に集まれ!」


 ため息を吐く刃冶を尻目にブッチャーはもう片方の手にも風を纏わせると、両手の風手剣を交差し振り下ろした。するとその斬撃が刃冶に向かってくる。


「・・・・・・・・・・・・」


 刃冶は跳びその斬撃をかわした。そのまま食らって負けても良かったが、それだと愛紗美にバレる可能性があったからだ。


「はっ!」

「!!(よし、ここだ)」


 跳んだ先にはブッチャーが待っていて、両手の風手剣を振り下ろす。

 刃冶はここが負けるチャンスだと考えると、油断して風手剣の攻撃をまともに受けてしまったフリをし勢い良く地面に落ちていく。その一部始終を魔法陣で見ていた全員が、“負けた”と思った。

 愛紗美でさえも、『油断は禁物だよ、ヤイバ』と呟き苦笑していた。

 それぐらい刃冶のフリは巧みな動きだったと言える。それを他に役に立てればいいのではないかと思われるが、それが刃冶なのである。

 

「・・・・・・・・・・・・」


 ブッチャーは勝利を確信していたが、万が一のために構えを解かない。

 前の戦いで刃冶が無傷で立っていたからだ。


「・・・・・・勝者、ブッチャー」

「うっす!」


 審判の教師が勝利を告げると、ブッチャーは構えを解きドラゴロル式の礼をして、待機場所に戻った。

 一方、刃冶は救護班の教師に運ばれている途中で、気付いたフリをする。そして一応の検査を受けてから待機場所に戻った。


 ※夕季の場合


「「・・・・・・・・・・・・」」


 審判が合図しても、二人はその場を動かずお互いを見つめていた。


「ふぅ・・・・・・。はっ!」

「ふっ!」


 先に動いたのはプルートだった。息を吐くと同時に無詠唱で風の刃(かぜのやいば)を飛ばした。夕季は回し蹴りの風圧で、その風の刃を相殺させる。

 それが合図となって、プルートと夕季の戦いが始まった。


「地獄の(いかずち)よ。この手に集まれ」

「ふっ! はっ! たっ!」


 プルートは走りながら呪文を唱え電気を帯びた球、雷獄球(らいごくきゅう)を作りだして、夕季に投げつけていく。その縦横無尽に投げられる球を夕季は走りながら、蹴り落としたり打ち返したりして、丁寧に捌いていく。


「はっ!」

「水よ! この身を守れ!」


 雷獄球の攻撃が止んだ瞬間、地面を蹴り一瞬で間合いを詰めた夕季が、回し蹴りをする。それをプルートは水楯(すいじゅん)で防いで、夕季を弾いた。

 夕季は弾かれた勢いをそのままに、龍爪蹴り(りゅうそうげり)を放っていく。一度に五回蹴りあげる攻撃がプルートを襲った。プルートはそれを水楯で防いでいく。


「凍える風よ! 大地を凍らせ!」

「はっ! はっ! はっ!」


 夕季の攻撃が止むと、今度はプルートが攻撃を再開する。冷気を帯びた風で大地を凍らしていった。そして突き出してきた氷が夕季を襲った。夕季は手と足を使って、襲ってきた氷群を砕いていく。


「ふふふ(プルートさんは本当にお強い方ですね)」

「ははは(夜刀神夕季。予想以上に強いぞ)」


 その数度の攻防で、お互いを強者と認め笑いあう二人。


「夜刀神夕季。これで最後にしよう! 全てを焼き尽くす業火よ。この手に集まれ」


 それから数百回。攻防を繰り返した時、プルートが上空で止まり両手を上げて、呪文を唱える。すると両手に魔力が集束していって、徐々に炎の球が巨大化していった。それは鎌田が放ったものとは違って、十分に魔力が錬りあげられており、それを見た夕季は思った。あれは打ち返すことができないと。


(プルートさんはあの方よりも百倍ぐらい強いです。まぁあの方と比べるごと自体おこがましいですね)


 夕季は半径150mぐらいに膨れ上がった火焔天球を見つめ笑った。そして放たれた火焔天球に呑み込まれ気絶してしまった。


「・・・・・・勝者、プルート!」


 火焔天球による爆発が収まり夕季が気絶したことを確認した審判の教師が、そう宣言する。プルートは地上へと降りワーフル式の礼をすると、救護班に運ばれていく夕季を見つめてから待機場所へと戻っていた。

 運ばれた夕季は、養護教諭のシーナの治療により回復。満足気な表情で待機場所に戻りプルートとの戦いを刃冶に話したのだった。ちなみに、刃冶はそれを聞き流していたのは言うまでもない。


*****


〈夕季、トランスペアレントイズ(透明化)をよろしく〉

「ええ♪」


 その後、話し終えた夕季に刃冶は透明にしてもらうと眠り始める。そして夕季はプルートを応援するため、魔法陣を見つめた。

第5話をお読みくださいましてありがとうございます。また、誤字・脱字報告や感想・質問などのコメントをお待ちしております。


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≪魔法説明≫

風剣遣い:風を剣のように遣う者のこと


風手剣:

手に風を纏わせ、剣の形にする風系魔法。斬撃を飛ばすこともできる。

威力は中の上。

詠唱『鋭き風よ。この手に集まれ』


風の刃:

足に纏わせた風を蹴りあげることにより、風が刃となり飛んでいく風系の攻撃魔法。

威力は中の中。

詠唱『鋭き風よ。この足に集まれ』


雷獄球:

雷のエネルギーを野球ボールぐらいの大きさに圧縮し放つ電系の攻撃魔法。

威力は中の中。

詠唱『地獄の雷よ。この手に集まれ』


水楯:

水を楯の形にして身を守る水系の防御魔法。

詠唱『水よ。この身を守れ』


龍爪蹴り:

一度に五回蹴りあげる、ドラゴロルに伝わる古龍武術(こりゅうぶじゅつ)の技。その軌跡は龍が爪で切り裂くように見える。

威力は使用者の習熟度に依存

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