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魔剣学園 ~ブラコン娘の奮闘記~  作者: 光闇雪
Chapter.2 ~フラグのへし折り~
15/23

Episode:014 観察・分析モード 裏

レフェル様、RaiN様、感想ありがとうございます。また、RaiN様、誤字報告ありがとうございます。


お待たせしました。第14話、更新です。

今話は夕季の戦闘の後編です。

では本編をどうぞ。

〈夕季。お前まさか〉

〈・・・・・・大丈夫ですよ。“狂戦士(バーサーカー)モード”にはなりません。ただ、“観察・分析モード”にはならせていただきます〉

〈・・・・・・はぁ。ほどほどにしておけよ〉

〈ふふふ。はい〉


 私は、兄様の言葉に微笑みながら、ほどいた髪を団子ヘアにしていく。


 これは一種のジンクスです。まぁ、団子ヘアの方が、あの子にはお似合いだからとも言えますけど。


(I shift to observation, an analysis mode)


 団子ヘアを完成させた私は、頭の演算様式を観察・分析モードへと切り替えました。


 アースさんのお相手、よろしくお願いしますね、私♪



**********


「たく・・・・・・、なにを考えてるのかしら? Originalは。眼高手低(がんこうしゅてい)志大才疎(しだいさいそ)、実力を伴わない小者のために、わざわざ私になる必要はないでしょ。どう考えてもOver killよ?」

「な!? 言うに事欠いて、この私を小者だと!?」


 Originalから意識を引き継いだ私は、相手に訊こえるように愚痴った。それに対して激昂するフィーク・アースとかいう小者を無視し、潜在魔力の最大値を分析しはじめる。


 あ、そうそう。その間、私のことを教えておくわね。私の名はObservationalyst。Originalからは観察・分析Modeとか、あの子って呼ばれているわ。私の名の由来は、超能力を使用するための演算を、ObservationやAnalysisのための演算に全て切り替えたから。このことから私は魔法や超能力を一切使えず、己の武力のみで戦わざるを得なくなる。けど、ObservationやAnalysisをすることで、相手よりも優位に立てることができる。だから私は決して負けることはないの。まぁ、愛紗美のような強者には、勝つこともできないのだけれどね。


(フィーク・アース。潜在魔力最大値1000万Soul・・・・・・、なるほど一般人よりは高いわけね。これなら自分を過大評価してしまうのも頷けるか。けど、半分も使いこなしてない奴だし、Originalでも十分に勝てるわね、これ。なんで私に変わったりしたのかしら? ・・・・・・まぁ、いいわ。せっかく変わってくれたのだから、今はこの戦いを楽しむことにしましょう)


 私はそう結論付け、所定の位置について激昂するフィークを見つめる。


 ふふ。さぁ、私を楽しませてちょうだいフィーク。


「無制限一本勝負! 始め!」

「私に実力が伴っていることを証明してあげよう! 凍てつく風よ! 全てを凍らせよ!」


 フィークが所定の位置についた直後、審判の教師が開始の号令を発した。それとほぼ同時にフィークは、“凍氷嵐”の呪文を唱える。

 私は口元を吊り上げ、フィークが放った冷気の帯びた風を真正面から受ける。徐々に凍りはじめるのを確かめた私は、瞬時に“凍氷嵐”をAnalysisした。


(はぁ。分かっていたけれど、全然なっていないわね。愛紗美と比べると月とスッポンよ、たく。まぁ、いいわ。あなたの自信をへし折ってあげる。ふふふふ)


 内心、落胆したけれど、口元を吊り上げた表情をしたまま、私は身体が完全に氷漬けになるのを待つことにした。ここで弱点をついてもいいのだけれど、自慢の魔法が破られた時の驚いた良い表情を見るには、完全に氷漬けになってやった方が効果覿面なの。


「くくくく。ははははは! 口ほどにもない! さぁ、先生。終わりの合図を」


 完全に氷漬けになった私を見て大声でさえずるフィークを見つつ、早速行動を開始する。利用するのは“不純物が混ざると、完全には氷漬けにできず、割れやすくなってしまう”というもの。

 “凍氷嵐”という魔法は、魔力効率が低いと氷漬けにする所要時間が長くなってしまう。だから長くなればなるほど、容易に不純物を混ぜられるということ。ちなみにフィークが放った“凍氷嵐”は氷漬けにする所要時間が1分だった。これは一般の生徒と比べれば短いわ。けど、私にとっては不純物を混ぜるだけの時間が十分にとれる時間なの。


「先生、何をして(ピキ、ピキピキピキ!)な!?」

「魔法名“凍氷嵐”。冷気を帯びた風によって、相手を氷漬けにする風系の攻撃魔法。氷漬けにされた者は身動きが取れなくなるため、魔法が使えない。威力は上の上」

「なっ、なな・・・・・・っ」

「魔力効率40%。全然、なっていないわ。もう少し魔力を練らないと、完全には氷漬けにはできないわよ。だから、こうやって割ることもできてしまう」


 私は淡々と説明しながら、氷を割っていく。そしてフィークが指差して言葉にならないほど驚いているのを楽しく眺める。


(いいわ。その表情よ。ほんと自分の魔法を破られた時の表情は格別ね。ふふふ。さぁ、じっくり観察・分析(なぶり殺)してあげる。それまで壊れないでちょうだい)


 氷を全て割り終えた私は、徐々にフィークとの距離を詰めていく。


「どうしたの? 私に実力が伴っていることを教えてくれるのでしょう? だったら、見せてちょうだい」

「くっ! これは何かの間違いだ! 私の魔法が、このような者に破られるワケがない! 鋭き風よ! この足に集まれ!」


 この挑発に頭に血が上ったフィークは、“風の刃”の呪文を唱えた。その攻撃を真正面から受け、直撃する瞬間、裏拳で軌道を変えた私は、驚愕に目を見開いているフィークに近づきながら淡々と告げた。


「魔法名“風の刃”。足に纏わせた風を蹴りあげることにより、風が刃となり飛んでいく風系の攻撃魔法。威力は中の中。けどね。あなたのは魔力効率20%にも満たないもの。だから、簡単に軌道を変えられてしまう。もう少し精進しなさい」

「うるさい! 下等な人族のくせに、私に説教をするな!! 地獄の業火よ! この手に集まれ!」


 私の忠告にも耳を貸そうとしないフィークは、“獄焔球(ごくえんきゅう)”の呪文を唱える。そして幾つもの焔の球を放っていく。その攻撃も真正面から受け、直撃する瞬間、一つ一つ足を蹴りあげた風圧で消し飛ばし、ゆっくりと近づいていく。


「魔法名“獄焔球”。焔のエネルギーをボール状に圧縮して放つ炎系の攻撃魔法。威力は上の下。あなたのは魔力効率20~30%。だから、ただの風圧でも消し飛ばせちゃう」

「ど、どうしてだ! どうしてなんだ! 下等な人族に! なぜ、破られる!?」

「最初に言ったでしょ? 眼高手低、志大才疎、実力を伴わない小者って」

「うるさいうるさいうるさーい! 違うのだ! 私は、こんなものではない! 下等な人族なんぞに、私が負けるわけがないのだ! 全てを焼き尽くす業火よ! この手に纏われ!」


 顔を真っ赤にしたフィークが“焔手刀(えんしゅとう)”の呪文を唱える。直後、焔がフィークの手に纏わりつき、刀の形に形成した。そしてフィークは、焔手刀を突きの構えで突撃してくる。

 私は笑みを浮かべ、それを真正面から受け止める体勢をとる。そして首を貫くように迫る焔手刀をかわしながら、フィークに胴回し回転蹴りを叩きこんだ。


「がはっ!?」

「魔法名“焔手刀”。手に焔を纏わせ、刀の形にする炎系魔法。威力は上の下。今回は魔力効率100%。けどね。攻撃が単調すぎ。狙ってる所が分かれば、避けるのは容易いことよ」


 私は地面にめり込むフィークに、今の“焔手刀”のAnalysisの結果を淡々と告げた後、踵を返して最初の場所へと戻りつつ、団子ヘアーをほどいていく。そして審判の教師の勝利宣言を訊きながら、元の髪型に戻した。


(小者が相手だったけれど、思いのほか楽しめたわ。Originalには少し感謝ね。ふふふ。あとはよろしくね、私♪)


 担架で運ばれるフィークを見つめながら、私は頭の演算様式を標準Modeへと切り替えたのだった。



**********


 戦闘が終了し、アースさんは保健室へと直行。そして私が皆の所に戻った時、グラン先生がグループごとに整列するように指示しました。

 皆が整列し終わるとグラン先生は、周囲を見渡して最後に私を見つめました。


「夕季。良い対戦だった。さすがだ。さて一年ども! 他にもグループに異存がある者はいるか!」

『『『『『いえ! 大丈夫です!』』』』』


 私を褒めたグラン先生は、皆にグループに不満があるものがいないか確かめました。すると、皆は背筋を伸ばして異存がないという返事をしました。

 私が所属するAグループの人も返事をしていたので、良かったです。あとはアースさんだけですけど、まぁあんなコテンパンにしてしまいましたし、文句をいう気力もないですかね。少々、やりすぎてしまったと思ってたり思ってなかったり。


〈少々、やり過ぎ感はあるが、まぁ、いつものアイツよりはマシな方だ。というか、あのアース(バカ)の様な奴は、ああしないと分からない。あのバカには良い薬だっただろう〉

〈ふふふ。ありがとうございます〉


 兄様のなぐさめで、私は超テンション高めです。でも、表情や態度にはだしません。これは私だけのものですから~。


「さて今日の授業だが、まずは各学年ごと違う道で魔斬山(まじんさん)の頂上を目指してもらう」

〈夕季。サボっていいか?〉

〈ふふふ。駄目です♪〉

〈ちっ〉


 さて今日も兄様の平和な一日にしないといけませんね~。夜刀神夕季がんばります♪

第14話をお読みくださいましてありがとうございます。また、誤字・脱字報告や感想・質問などのコメントをお待ちしております。


Next Title: 頂上への道



≪魔法説明≫

獄焔球:

雷獄球(Episode:005 参照)と同様に、焔のエネルギーを野球ボールぐらいの大きさに圧縮し放つ炎系の攻撃魔法。

威力は上の下。

詠唱『地獄の業火よ。この手に集まれ』


焔手刀:

風手剣(Episode:005 参照)と同様に、手に焔を纏わせ、刀の形にする炎系魔法。

威力は上の下。

詠唱『全てを焼き尽くす業火よ! この手に纏われ!』

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