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魔剣学園 ~ブラコン娘の奮闘記~  作者: 光闇雪
Chapter.1 ~入学~
10/23

Episode:009 入寮式 表

レフェル様、ヒョウガ様、感想ありがとうございます。

第9話、更新しました。今話は理事長室と入寮式での会話となります。

では、本編をどうぞ。

 夕季と刃冶たちが寮に帰っている頃、理事長室ではある二人の姿があった。

 一人は、ここ理事長室の主、夜刀神刃秦。刃冶と夕季の祖父で、今年で喜寿を迎えるが、見た目は20代半ばぐらいである。しかも、刃秦が理事長に就任してから52年、見た目が全く変わっていない。そのため、生徒たちからは“魔剣学園の謎”の一つとして、語られている。

 もう一人は、魔剣学園の学園長、ロス・マッハ。オデット国出身の鳥人族で、今年で45歳になる。学園長としては若手だが、その手腕は一目置かれている。


「・・・・・・理事長。本当によろしかったのですか? 刃冶君と夕季君を“魔法実践コース”に入学させて」


 ロスは出されたお茶を一口呑み刃秦を見つめる。刃秦は立ちあがって、窓の外を見ながら口を開いた。


「良い。親類どもを納得させるにはこうするしかなかったのだからな」

「しかし、二人に内緒でこうしたのは・・・・・・」

「・・・・・・私の思惑など、とうに理解しているよ。今後は、今回のように直接介入はできない」

「・・・・・・夕季くんですか?」


 ロスはお茶を一気に呑みほし夕季の名を出した。刃秦はロスを一瞥して、含み笑いをしお茶をすする。


「・・・・・・以前、私が“YATOK(ヤートック)”のリーダーをしていた頃、一回だけ目撃したことがあります」


 ロスは湯呑みをテーブルにおいて、以前夜刀神家施設ボディーガード集団YATOKのリーダーをしていた頃のことを語り出した。刃秦はロスが何を話すのか興味深そうに耳を傾ける。


「理事長、いや夜刀神家前当主、刃秦さまは覚えているでしょうか? 10年前の魔剣学園のことを」

「・・・・・・・・・・・・」


 刃秦はロスの言いたいことを察し肩をすくめる。そして身体をロスの方に向けて、湯呑を机に置いた。


「ああ、覚えているとも。私が丁度、夜刀神小学校の理事長に出向していたころだからな。当時、私がいないことを良いことに、親類どもと各国の特権階級の役人どもが魔剣学園をドル箱にしていた。そうか。ロスは見てしまったんだな?」

「ええ、偶然ですが。私はあの時の夕季くんに・・・・・・、たった六歳の子に、スカルミューテーションとの戦いで感じた以上の恐怖を感じましたよ」

「ふっ。私もだ」

「ははは。そうですか」


 刃秦とロスはお互い肩をすくめて、苦笑しあう。その時、コンコンとドアをノックする音がした。


「「「失礼します」」」


 刃秦が返事をすると、魔法実践科兼主任教諭のグラン・ウォーカ、魔法科学科教諭のニーナ・ファンタジア、事務室長の長岡ファーブルの三人がドアを開けて入ってきた。

 そして三人を代表して、グランが口を開いた。


「先程行われた能力測定トーナメントの各生徒の測定結果および使い魔召喚の儀の結果をご報告にまいりました」

「ご苦労。では早速、聞かせてもらおうか」

「「「はい」」」


 刃秦とロスが上座に、三人が下座に座ると報告会が始まった。最初はグランから。グランは紙媒体の書類を提示し報告していった。


*****


 寮の時計が19時をさしている。3階にある多目的ホールでは入寮式用の広さになって、新一年生と現生徒会役員、そして寮監の石動夫妻が集まり入寮式が行われていた。


「ただいまより第96回入寮式を執り行います」


 司会の生徒会庶務の日帝国人、庚枝里(かのええり)の開始の辞によって、魔剣学園寮第96回入寮式が始まった。


「私は魔剣学園第96代生徒会執行部庶務、2年の庚枝里です。司会を務めさせていただきますので、皆さんよろしくお願いします。では、寮則等についての説明をしていただきます。ルーシュ副会長、お願いします」


 枝里の言葉を受け壇上に上がったのは、白髪のショートカットで、鋭い犬歯が映える狼人族のルーシュ・ランデグルフ。彼は生徒会執行部副会長を務めている愛紗美に次ぐ第2位の実力者だ。


「皆、お初にお目にかける。僕は3年のルーシュ・ランデグルフ。生徒会副会長をしている。さて、今から寮則について話すが、その前に・・・・・・(パチン)」

「(ドン!)いてっ!?」


 ルーシュはそこで話を句切ると、指をならした。するとある一人の男子生徒の頭にタライが直撃した。ドン!と同時に男子生徒の叫びが聞こえた。


「1年6組、種芝梧郎(たねしばごろう)君、居眠りはしないように」

「うぅ。すいやせん」


 その注意に日帝国人の種芝梧郎は頭をさすりながら涙目で頷く。それを見て、周りのクラスメイト達がくすくすと笑いだす。

 その皆の笑いを治めたルーシュは、寮則について話しだした。

 寮則は全部で50個あるが、その中から主なものを抜粋し載せておく。


 ◆寮内での魔法行使禁止。ただし、多目的ホールでの魔法練習は可(寮監の承諾が必要)

 ◆22時以降の外出原則禁止。習い事がある場合は寮監に申請していればそれ限りではない。

 ◆食堂の利用時間は原則6:00~8:00と19:00~21:00の時間帯。ただし、休日・祝日は12:00~15:00も利用可。

 ◆男子は女子寮へ、女子は男子寮への立ち入りを原則禁止。寮監の許可を得れば、それ限りではない。


「寮則については以上だ。詳しいことは生徒手帳に書いてあるので熟読するように」


 ルーシュはそう言うと、壇上を後にする。そしてルーシュが所定の位置についたのを確認して、枝里が口を開いた。


「続きまして、生徒会長からの挨拶。会長お願いします」

「は~い」


 枝里の言葉に返事をした愛紗美は壇上に上がる。

 愛紗美の姿を見た生徒、特に女生徒たちは憧れの眼差しを向けている。


「改めて自己紹介するよ。私は3年の紺野愛紗美。生徒会長だよ~。よろしくね♪」


 愛紗美が笑顔で手を振ると、一部の女生徒が倒れそうになる。男子生徒の中でも鼻血を出してしまうものがでてきた。そんな阿鼻叫喚?の状況を愛紗美は楽しむかのようにニコニコしている。


「会長。話を進めてください」

「は~い。たくルーシュはお堅いなぁ。ごほん。今日から皆は魔剣学園寮で3年間暮らしていきます。規則を守って生活してください。あと皆には覚えてもらいたいことがあるよ。魔法は決して万能じゃありません。魔法が使えない人を見下しちゃいけない。もし皆の中で、魔法が使えない人を見下して、傷つけるようなら私は、魔剣学園生徒会則第17条に則って拘束しないといけないの。そのようなことを絶対やらないでね。これは私の願い」


 愛紗美は穏やかな笑顔になると一礼して、壇上を後にした。新入生たちはしきりに頷く者、我関せずと無表情な者、冷やかな表情を浮かべる者など様々な感情を浮かべて、所定の位置に戻る愛紗美を見つめていた。 枝里は愛紗美が席につくと同時に入寮式を進行させる。そして恙無(つつがな)く入寮式は進行して、枝里が閉式の辞で入寮式は終了した。


「これで第96回入寮式を終わりにします。夕食の時間となっているので、皆さんは食堂で夕食を撮ってください。では、1組から退場してください」


 生徒会役員を残して、新入生たちは忠相と雪絵に率いられて、多目的ホールを出ていく。もちろん男子は男子寮側の、女子は女子寮側のドアからである。どうやら初日に規則を破るバカはいない様である。

 残った生徒会役員は愛紗美を見つめる。愛紗美は新入生が全員多目的ホールを出ていったのを確認してから、魔法陣を展開させる。


「グラン先生から伝えられたと思うけど、ミレーユ・ロイヤル以下30名の生徒を拘束しました」


 展開した魔法陣には、氷漬けになったミレーユ達30人が映し出されていた。

 ミレーユ達がいるのは魔剣学園の“地下指導室”。ここは一般生徒の立入禁止区域に指定されている。生徒会長によって拘束された者は、まずここに連れていかれる。ここで完全リミッター処理を施されて、卒業するその日まで魔法が一切使えなくなる。魔法を使用する授業の際はリミッターは解除されるが必要最低限の魔力しか行使できない。また、ミレーユ達は寮に戻ることはできない。ここ“地下指導室”と教室を行き来することになる。


「完全リミッター処理は24時ちょうどに行われます。これでミレーユ達は卒業するその日まで、魔剣学園に奉仕しないといけなくなります」

「けど、それではミレーユさん達が」

「枝里!」


 枝里が何かを言おうとしたのをルーシュが怒鳴って止める。

 生徒会書記の立花結菜(たちばなゆな)や生徒会会計のミーシャ・エティは黙ってルーシュと枝里を見守る。皆、枝里の言いたいことが分かっていた。ルーシュが止めた理由も・・・・・・。


「枝里。会長も分かっている。だから、会長は今までミレーユ達を庇護(ひご)してきたんだ。それを棒に振ったのはあいつらだ。もう庇護はできない」


 ルーシュは枝里を諭すように説明するが、枝里は口を真一文字にして、目をつむってしまう。

 枝里も分かってはいた。いかに愛紗美がミレーユ達を助けようとしていたのかを、それを嘲笑うかのように罪を重ねたのはミレーユ達自身だということを。そう頭では分かっていても、納得できるものではない。

 しかし、枝里が納得しようがしまいが、ミレーユ達は魔剣学園生徒会則第17条に則って、魔剣学園への奉仕をしないといけないのである。


「・・・・・・学園への奉仕は確かに最重罰だ。しかし、噂であるような精神に異常をきたすようなことは決してないと約束できる」

「そうよ。10年前ならいざ知らず、今の先生たちが未来ある子供たちを蔑ろにするワケないわ」


 多目的ホールの二つの入口から、新入生を引き連れて出ていっていた忠相と雪絵が会話に加わってきた。

 愛紗美以外の生徒会役員が驚く中、二人は愛紗美たちに近づく。そして愛紗美を見つめ微笑んだ。


「グラン先生からロイヤルくん達の件は承っている。ここからは私たちが君たちに指示をだすよ。立花くん、エティくん、庚くんの3名は、ただちに雪絵について、ロイヤルくん以下30名の部屋から必要最低限の荷造りをしてもらいたい。愛紗美くんとランデグルフくんは私と書類作成。良いね」

「「「「「はい」」」」」


 返事をした愛紗美たちは、結菜とミーシャと枝里の三人、愛紗美とルーシュの二人に分かれて、それぞれ雪絵と忠相についていった。

第9話をお読みくださいましてありがとうございます。また、誤字・脱字報告や感想・質問などのコメントをお待ちしております。


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