母親の告白。
母「まず、そうね……あの手記、少し難しかったでしょう? どこまで読んだのかしら。」
月「先祖のルーツと、血の味を美味しくする方法と、吸血の作法については、みんなで読んだよ。」
月「それと………、」
静夢はチラッ、チラッと二度、気まずそうに俺に視線を向けた。
月「『陽の下に暮らす者と情を育み、その血を啜れば、陽をも恐れぬ身となり得る。』」
月「……って書いてあって、『情を育む』って何?と思ってチャッピーに聞いたら、『お付き合いのことだよー』って。」
月「昼の子と恋愛関係になって、その子の血を飲めば、太陽に焼かれない体になれるかも、ってことでしょ?」
エッ、なんだって?!
母「…そう。その認識であってるわ。」
母「………実はね、私も、吸血一族側の人間なの…。」
月・緋・光「エッ!!そうなの??」
月「でもお母様は、昼間も普通に出掛けてるし、ご飯も食べてるよね??」
母「そうね。私は、一族を離れ、日向で生きる道を選んだの。静夢の読んだ、その方法で。」
母「静夢の父親…ルシアン・ノボール・ドラクリアは、日本では月城昇と名乗っていたの。昇の家とは祖父の代から親交があって、私たちは親同士が結婚を決めた仲だったのよ。」
ルシアン・ノボール・ドラクリア!?
吸血鬼本気ネーム来た!!
母「でも私は、昼の子を好きになって……その人と一緒になりたかった。だけど、血統を重んじる両親に反対されて、それは叶わなかったわ。」
月「昼の子と結婚しちゃダメなの??」
母「結婚が禁止されているわけじゃないの。うちは、所謂毒親よ。でも私は昇のことも嫌いじゃなかったし、昼の子とは住む世界が違うんだって、どこかで諦めてもいたの。昇と結婚して、それなりに楽しい新婚生活を送っていたわ。」
母「でも、その新婚生活も長くは続かなかった……。結婚から半年後、昇は事故で亡くなって……。その頃、静夢がお腹にいることがわかったの。」
母「打ちひしがれていた頃、彼と再会して…私たちは再び愛し合うようになったの。」
うわ〜!!!ドラマみたいだな……
母「静夢が産まれた時も、自分の子のようにとても喜んでくれて。写真をたくさん撮ってくれたのも、彼よ。」
母「そして静夢が一歳になる頃、彼との子どもを授かったの。」
緋「もしかしてそれが俺?!」
母「そう。でも、彼との子を宿したことが、私の親にバレてしまって…。私達は再び引き裂かれてしまったの…。」
母「緋美を産む頃が一番大変で…唯一理解してくれていた姉が寄り添ってくれたわ。」
緋「写真の人は、俺らの伯母さんってこと??」
母「そうね。ごめんなさいね、写真が少なくて…。」
緋「うわーーー!!そうなんだ…いや、ワンチャン俺は、しーちゃんと血が繋がってないかもなんて…期待してたんだけど……。」
母「わんちゃん?」
光「期待してたんかい!」
月「大丈夫、父親が誰であれ、緋美は僕の大事な弟だよ!」
緋「うう…嬉しいような悲しいような…」
月「──それでお母様は、緋美の父親と、時々会ってて、血をもらってるんだね!」
母「そう……ごめんなさいね、今まで黙ってて。あなた達が自分のルーツを知りたくなったり、恋人が出来たタイミングで話そうと思ってたの。」
静夢の母親は、俺に視線を向けて、優しくニコリと笑いかけた。
光「ここここここ……!恋人だなんて、僕たちはそんな関係じゃ……」
月「そうそう、彼は、僕と恋人にはなりたくないんだって。」
光「えっ!なりたくないとは言ってないよ!?」
月「じゃあなんなの?なりたいの?」
光「なりたいよ!!」
月「えっ?」
緋「えっ!」
光「えっ!?」
母「…ふふっ!」




