目覚め
魔女は1人だった
それがいつからだったのか
はたまた最初からだったのか
何もわからなかった
「今日も暑い」
そう独り言を呟く
いつも通り1人だ
最初意識があった時は山にいた
なぜ山なのだろうか
蒸し上がるような暑さを感じ木の陰に隠れていたのが懐かしい
目覚めて最初に思ったことは
「太陽って眩しいんな」だ
特に意味はない
近くに帽子が落ちていた
いかにも魔女ですと自己紹介を始めそうな勢いの代物だがこれが結構いい感じに日差しを遮れる
流石に帽子だけが所持品なわけがなかろうと付近を探索したのだが
これまたびっくり
本当に帽子だけだったのだ
私のものは
いや私のものか・・?
何せ記憶がないため確証がない
臭いから自分のものか確かめようとしたが、体臭とは自分でわからないから気をつける必要があるとどこかで聞いた気がする。
とりあえず近くに落ちていたし、周りに人はいないので貰い受けることにした
ありがたい
周りにはひまわりが一輪咲いていた
こういうものは本来1箇所にたくさん生えているがセオリーなのではないのだろうか
というか枯れていた
それはもう大層立派な花を咲かせていたのだろうが、私が目覚めるのが遅かったのか
悲しいぐらいに萎れていた
種があったので来年も咲けば良いなあと思ってそこら辺に巻いていたらお腹が空いていることに気がついた
そういえばどこかでハムスターは影響下の高いひまわりの種を好んで食べる
と聞いたことがある
ということは、私は今栄養がぎっしりと詰まった種をそこら辺に投げ捨てているということか
ここまで考えて涎が出てきた
決して目覚めたばかりで空腹だったわけでは断じてない
・・・と言い切りたい
「きゅ〜」と悲しいぐらい小さな音ではあるがお腹が空腹を訴えていた
そうだ開き直ろう、私はお腹が空いているのだ
ざっと辺りを見回す
見渡す限りの森だ
この暑さだ
きのみがなっているとかちょうど食べ物が運よく落ちているとかそんな淡い希望は捨て去った
近くに民家が見えるわけでもない
今手元にあるのはこのひまわりの種だ
なぜか一輪だけそばで咲いていたひまわりの種だ
・・・・・
「流石にかな」と言いつつ両手いっぱいに種を集めて
そこに顔面からいった
顔中にタネの感触がする
だが意外と悪くない
むしろ美味しい
ちょっと大きい気もするがまあほんの少しの腹の足しにはなるだろう
だって種だし
そこまで味がするわけでもなくとんでもなくお腹が満たせるわけでもない
噂によるとお酒好きな人はおつまみにするらしい
どこかの誰かも好きだったような気がする
早くここから移動して次を見つけないと大変なことになる
と考えながらむしゃむしゃと食べていた
食べながら
「食べたら次は水分だな」と判断した
何せ暑いのだ
私が人間だとしても人外だとしても水は最低限必要だろう
近くに川はあるのだろうか
もちろん帽子も忘れず持って行く
いい拾い物をしたものだ
腹は多少満たされた
本当に多少だが
探索開始だ
周りに人がいたら助けてもらおうと大きな声を出しながら移動する
「なんでこんなに暑いの〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
叫ぶ内容がないのである
それもそうださっき目を覚ましたばかりで
お腹が空いていてひまわりの種を食べただけの人間だ
・・・人間なのか・・?
記憶がないので人間であると言い切れなくなってしまった
・・いや宇宙人なら何か特殊能力があるはず
と右手を空に掲げてみたが何も起きず
「せめて水がある場所でも教えてくれ〜」
と叫んだところで何も起きなかった
ひとまず上がりすぎた体温を下げるべく木陰に避難した
涼しい・・
茹だるような暑さの中帽子があったとはいえよくここまであてもなく歩けたものだ
だが歩いた成果はあった
微かにだが水の音がするのだ
もしかすると水源が近いのかもしれない
もう少しここで休んでから進んでみようと考えた矢先に雨が降ってきた
恵みの雨だがもう少し早く降ってくれてもよかっただろうと思ったのはここだけの話
とはいえ辺に木陰から出て雨粒を全身で感じるのは避けたい
低体温にでもなって死んでしまっては元も子もない
そもそも夏だから可能性は限りなく低いという考えは捨てた
自然界で生きるには軽視してはならないリスクだ
・・・・雨といえばやはり傘だろうか
記憶がなくても私は雨が好きだったように思う
もちろん晴れも好きだがいわゆる恵みの雨ってやつの恩恵が身に染みているらしい
この体は
随分と降り続いている
風が強いわけでは無いから台風なわけがないし
それとも暇を持て余しているから時間が経つのが遅く感じるのだろうか
手元でくるくると指を動かしていたのをやめるいい加減飽きたのだ
雨に打たれるのを承知で小屋を探すことにした
目が覚めたのが太陽光の直射ということはちょうどお昼頃
ということは今は午後である
今これだけ雨が降り注ぎ地面がぬかるんでいるのだ
今後夜になるにつれて気温は下がり見通しは悪くなるだろう
そんな中でこんな美少女がいてはどうだろう
熊にしろ人にしろ人たりもないだろう
食べられるのは嫌だ
精神的にも肉体的にも
とりあえず手元にあった木の棒をたて
そして倒れた方向に進むことにした
喉は雨の中走っていたら多少マシだろうし
最悪空に口を大きく開けていればどうかなる
川の水も雨もそこまで汚さは変わりないだろう
私からみて目の前をさした
それはちょうど山から下山する形となり
もしかすると民家があるのかもしれないと淡い期待を抱くには十分だった




