再び勇者召喚
<-- 再び勇者召喚 -->
我は、長い旅路を、我に従う獣人族出身の魔族で
我が城の侍従をしていたというゴールデンレトリバーに
似た者ゴルビーと一緒に苦楽を共にして歩み、
武装国家「アガレス」の王都サンタンジェロにたどり着いた。
サンタンジェロは、石で組まれた高き城壁を
三重に廻らした「総構」の
巨大な都市であった。
「魔族」に出入りしていた商人を通じて
サンタンジェロに店を構える武器商人を通じ
有力貴族ビアンキ侯爵に超兵器の召喚魔術を
使う魔法師という肩書で会う約束を取り付ける。
アガレスでは、貴族たちは自分の地位を上げるために、
王の歓心を得れる超兵器の入手は重要な手段であった。
ビアンキ侯爵を通して、王ロスコ三世に繋がり
超兵器の入手の許可と協力を得る算段を
我は、恐ろしき軍事国家の王ロスコ三世と契約を結び
「勇者召喚の鍵」の素材、新たに使われる、
八人の魔法使いを用意するのを約束させる
<-- 王ロスコ三世の暴威 -->
恐ろしい事に王ロスコ三世は、ビアンキ侯爵が
反乱を起こすのではないかと疑っていた。
超兵器を手に入れたら、そうなると確信した
王ロスコ三世は、未明にビアンキ侯爵を襲い
ビアンキ侯爵一家を捕らえ、我もまた捕まり
城の地下牢の虜となった。
王ロスコ三世は、宮廷魔法師ゴルドバに
我から超兵器の得かたを、どんな手段を使ってでも
奪い取る事を命じた。
我は、ゴルドバの悪魔的な支配に抵抗した。
ゴルドバは、我を暴力で支配し、自らの使命を
完遂しようと、拷問にかけようとしたが、
知恵を引き出す別の方法を考え出しその方法を実行した。
ゴルドバは、我に魔薬を打ち、我の自制を破り、
「八葉の鍵の杖」の鍵の生成の魔術、
「八葉の魔法陣」の作り方、「贄」と
「異世界勇者召喚」魔法の秘密をすべて知り
我を殺さず、更なる魔法の秘密のを引き出すべく
城の地下牢へと再び閉じ込めたのだ。
<-- 異世界勇者降臨 -->
城の地下牢をダンジョンと呼ぶ。
ダンジョンには、はるか上の方に、
明り取り用のスリットがあり、
そこから日光が束の間差し込み
牢壁を移動する。
その光の変化を見れば、五月になり
時が満ちたのを我は知った。
異世界から新たな勇者が召喚され、
その勇者は、わたしの呼び出した勇者を倒し
「魔族」を救ってはくれないだろうか…
魔力が満ちるのが感じられる
術式が起動し、序唱が始まり、本詠唱に変わり
力がみなぎる。
おかしい。
この術式は、何かがおかしかった。
我より奪い取った「異世界転生魔法」をゴルドバ自身か、
上位の者が改良に手を加えた感触がある。
光が集まるはずが、光を掻き消す影が集まり
闇を呼び出している。
当たりがすっかり闇に包まれた時、
雷鳴の音のような心胆を寒からしめる、
大音声がとどろき、石の壁も震わせた。
異世界勇者が降臨した。
我には理解できたが、その後に続いた悲鳴は
理解できない事であった。
悲鳴と同時に強気衝撃で、ダンジョンのすべての鍵が壊れて
扉が開くようになり、我は外へと逃げ出した。
その時、ダンジョンの中に懐かしいしい姿、
我の従者ゴルビー、彼もここにとらわれていたのだ。
ダンジョンの出口は、城の中庭・広場に繋がっていた。
我はそこに、法衣をまとい手には魔術杖を持ち、
頭には古き金の冠を抱く骸骨、その姿からは。
リッチかネクロマンシーと思われるものを見た。
その者は、杖から死霊を呼び出し、聖者の魂を奪い
魂の抜け殻の死体に魔法をかけ不死の者スケルトンに
変えてしまった。
見間違いではない、死者をアンデットに変える事が出来るのは
「死者の王」ネクロマンシーである。
今度の「異世界勇者」は、「死者の王」なのだ。
「死者の王」ネクロマンシーは、死体から
スケルトンやデスナイト、素材があればリッチまでも
作り出す事が出来る「死」の魔法使いなのだ。
多分、最強の「異世界勇者」であろう。
<-- 死者の王 武装国家「アガレス」を滅ぼす -->
恐るべき「死者の王」の周りには死の魔法による
スケルトンの一団が出来つつあったは、立ちふさがる王国の衛士、
槍兵士、鉾兵士、剣兵士、騎士、魔法師、僧侶を
次々に殺した。
そして、殺した者を死の魔法で、アンデットに生まれ変わらせ
死の軍団の兵士として復活させるのであった。
その光景は、言葉にできないほど恐ろしい。
世界は、生者のいない、死の世界になろうとしている。
少なくとも、我が術式を組み、召喚したのであれば、
「死者の王」が現れることはなかったのではないか、
そうか、術式の違和感は、「贄」の命を奪ったに違いあるまい
この術式では、「贄」は勇者の依り代なのだ
生きていなくてはならない。
我は、またしても理想の「異世界勇者召喚」に失敗して、
この世を滅ぼすかもしれない者を此の世に召喚する事に
手を貸してしまったのだ。
従者ゴルビーに手を引かれ、逃げ惑う市民の群れに阻まれるも
なんとか、王都サンタンジェロの門を出た。
この惨事を止める事が出来るのは帝国しかなかろう
我と、ゴルビーは、死者の王の誕生という急を知らせるため、
帝国を目指し急ぎ旅だった。




