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⑫‐D【全シリーズ】感謝短編ほか  作者: 邑 紫貴
12.短編かき集め

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【夢中】子おおかみ1~4②予告編

『不安と平和……』視点:双葉ふたば


俺は、母さんと一葉を見ながら呟いた。

「ねぇ、父さん。一葉は母さんに似たのかな?」

二人は、テレビの前で和やかに笑っている。

「そうだね。お前は俺だな。心を読むのは辛くないか?」

父から受け継いだ能力。

昔は、嫌だった。けど、今は……

「くくっ。物凄く楽しい♪」

俺の答えが意外だったのか表情がひきつり、会話が変わる。

「相手は見つかったのか?」

「うん。心の中で、俺を見下す女の子。」

今度は、思考が固まったようだ。

「一葉の相手は、美味しそうな獲物なのにね~。くすくすくす……一葉はバカだね♪」

父さんはそんな俺に「俺に似ていない部分は、お前の個性かな?」と、苦笑い。

「父さん?母さんも一葉も、どうして気がつかないのかな?」

「平和なんだよ……」

二人は、心が読めるのを知らない……




『どSかしら?』視点:蓮美はすみ


小学校への道をのんびり歩いていた。

後ろからの声に、現実に戻る。

「蓮美、走らないと遅刻するよ?」

知り合いのお兄さん。中学1年生の麒麟くんです。

「おはようございます。」

私の挨拶に、何故か苦笑い。

あら?何か、心が反応します。ふふっ。何かしら?

考え事をしている私に「おいで、抱っこして走ってあげる。」と、有無を言わせずお姫様抱っこ。

無意識なのかしら?

麒麟くんは私を軽々と抱き、軽やかに走る。

……。

体がうずうずして、首元に噛み付いた。

「……っ?!!」

麒麟くんの足が止まり、私に不思議そうな顔。

「……蓮美?どうして、噛んだの?」

訊かれたことに正直に答えました。

「なんとなく?」

……。

「なんとなく?」

「なんとなく。」

無言で見つめる時間が流れ……学校の鐘が響く……




『鬼畜VSどSですか?』視点:蓮美はすみ


口を開いたのは麒麟くん。

何故か、色っぽく感じます。

「……蓮美、いけない子だね。くすくすくす……。男に、そんなことしたら……」

私の体を軽々と、片手で抱き直し……あいた手でお腹に触れた。

【ゾク……】

「くす。ダメよ?隠してるけど、お母さんに似て胸大きいの。ふふ。犯罪よ?私の同意がないと……ね?」

お互いに、同じ何かを感じ取った。

「蓮美、触れたい……逃がさないよ?」

私の額にキスを落とす。心地いい……

「くす。逃げてみるのも楽しいかしら?くすくすくす……」

「じゃ、とりあえず……昔聞いた呪いの物語。契約のキスを君に捧げるね……」

「麒麟……一生の相手……」

道の真ん中……私の唇に、優しいキス。

ゾクゾクする。勝つのは、私……

(末恐ろしいカップル誕生。私の首が絞まる……)




『鬼畜ですよ……』視点:麒麟きりん


任務の途中で、家に帰ったときのこと。

連歌くんの娘で小5の蓮美と契約したと、母に報告した。

「え?麒麟……今、何て?」

母は青ざめる。

「蓮美を、一生の相手に選んでみた。」

俺は冷蔵庫を開け、牛乳をパック越しに飲んだ。

その俺の腕を両手でつかんで揺する。

「待って、あなたは鬼畜なのよ?そんな恐ろしい……連歌は、どS……蓮美も……駄目よ!!」

必死の母に、軽いショックを受ける。

「母さん?俺、やっぱり……鬼畜なの?」

母は、本当のことを言ってしまった……という顔。

畜生!こうなったら、受け入れてやる!

「くすくすくす……いいよ、鬼畜で。蓮美に負けるわけにいかないからね。ふふ……容赦しないよ。」

俺は、遠い目をする。

そんな俺に、母さんは呟いた。

「鬼畜の子は……」

鬼畜……ですか?




『娘ですね……』視点:蓮美はすみ


私は、麒麟と付き合うことを父に報告しました。

「え、ヒツジのところの麒麟と?」

ふふ……固まりましたよ。

母さんには強引なのに、私には弱いみたいです。

「はい。解放された呪いのキスを、今日交わしました。」

私の言葉に、落ち込む父の姿がとても可愛い♪

ゾクゾクします。

父は、下を向いて呟きます。

「小鹿似の外見で、俺の性格……相手は鬼畜の子……」

今度は、視線を私に合わせて言いました。

「いいえ、駄目です!ヒツジの鬼畜を受け継いでいるのですよ?麒麟のほうが絶対、上手じゃないか!今なら、呪いから解放されてます。別の相手にしなさい。」

まだです♪

「今なら勝ち目が、あります。くすくすくす……」

父は青ざめ、呟きました。

「ヒツジ……“鬼畜”に対抗できるのは、家の娘かもしれない」と。




『麒麟の任務……』視点:麒麟きりん


俺は、情報系の任務に就いている。

「月……何か?」

上司からの呼び出しがあった。

「問題はありません。収集は、迅速で優秀だ。ですが、あなたの性格は情報系ではない気がします。」

穏やかな上司が、言葉を選ぶ。

「……鬼畜……ですか?」

……。

返事はない。

最近、ショックが大きい。そんなに鬼畜ですか?!

「墨が、後任を捜しています。警備系に移りますか?」

草樹がいるチーム。そのリーダーの一人に、俺が?嬉しいけど……

「……恵……俺を捨てるの?」

悲しい表情の俺に、苦笑い。

「……守るものが出来ましたね?ここでは限界がある……と、俺は思ったのです。」

恵の判断力は、確かだ。

「あなたの相手は一番、警護が必要かと……」

蓮美の情報が頭に浮かぶ。

「魔性の……小学生?」

恵は口を閉ざしたまま……




『最強……』視点:麒麟きりん


俺は、任務で巡回中だった。

のんびり歩く女の子を見つけ、驚いて走り寄る。

「蓮美、傘はどうした?!」

俺に珍しく微笑んで答える。

「いい天気♪梅雨のじめじめした日は、気持ちいい。大粒の雨を体に受けると、幸せ。」

何か、不思議な台詞。

それよりも気になるのは、服が透けて胸が……あぁ、本当に美味しそう。

って、違う!!畜生、何故か負けそうだ。

俺の考えを見透かしたように俺に身を寄せる。

「くすっ。ダメよ?何を想像したのかしら、視線を逸らさないで?」

魔性だ。

汚い!!俺が手を出せない年齢だと知っているんだ。

俺は、制服の上着を被せ抱きかかえる。

「今日は、噛み付いちゃ駄目だよ?容赦しないから。」

「くすす……じゃ、今日は舐めるだけね♪」

鬼畜が最強ではないことを……俺は知る……




『失敗……』視点:麒麟きりん


俺は、任務に使う衣装室に蓮美を連れて行く。

「墨、この子ですか?」

恵が、様子を見に来た。

「はじめまして。」

蓮美が丁寧に挨拶を交わし、最高の笑顔。

「はは、大変ですね。」

苦笑いの恵は、そう言って部屋を出て行った。

……恵?

不思議に思ったが、蓮美の濡れた服の方が気になった。

「蓮美、制服のサイズは?」

麻生学園小等部の、制服棚の前に立つ。

「サイズ?これ、特注なのです。」と、服を脱ぎ始める。

白い肌が見えた。

「なっ……脱ぐな!!」

慌てる俺に、首を傾げた。

ため息が出る。

「蓮美、あんまり煽ると後悔するよ?」

蓮美は一瞬キョトンとし、妖艶に微笑む。

墓穴を掘った……

「くすっ。是非、教えてください。煽ると、どうなるのか。ふふ……知りたいわ。」

上目で見つめる君は、本当に小学生?!




『鬼畜に……』視点:麒麟きりん


「くすっ。いいわよ?双方の合意があれば……ね?」

俺の限界も臨界線ギリギリ……。

俺だって男です!伊達に、鬼畜を目の当たりに生きてきていない。

長いすに座り、色気のある蓮美が俺を誘う。

欲望のままに押し倒し、上に被さる。

肌の色は白く、濡れた服や髪は匂いを放つ。

俺の何かが現れる。

「どこまでOKかな?くすくす……ギリギリまで試す?」

俺は、蓮美の口を掌で押さえ首元に舌を這わす。

「ふっ……ん……」

掌に熱い息がかかり、俺を刺激する。

やばい!言葉に流されないように、口を押さえたのが裏目に出た。

くっ……どこまで俺を惑わすんだ?

もう、このまま欲望のままに……

【ガチャ】

固まる俺の目に、草樹と優貴さん。

目が合った二人は口元の笑みで、静かに扉が閉まる。

俺は、何かを失った気がした……




『シリーズ最後……?』視点:泉麗せんり


「烏鏡ぅ~~。どこ?ここかな?この辺から、匂いがする。くんくん……ん?この部屋かな?」

【ガチッ】

鍵が、かかってる。くす……♪

【カリッカチ……カチャン】

開いた♪

「失礼しま~~……」

薄暗い部屋に、烏鏡が押し倒されてる?!!

「なっ!!鍵……どう……出て行け!」

慌てる相手は、数学の教師……。

俺は怒りでこの後の記憶が飛び、覚えていない。


気がつくと、手には血で……中庭。

隣に烏鏡が、俺にもたれて寝ている。

はぁ……

「烏鏡?ね、起きて……チュウ……するよ?……君が悪いんだからね。」

俺は目を細めて、烏鏡の顔に唇を近づけていく。

【フニ……】

柔らかい手が、俺の唇を押し退ける。

「……嫌い。泉麗、バニラの匂い……甘くて嫌い……」

【ペロッ】

俺は、烏鏡の掌を舐めた。

「ご馳走様♪」




『緊急追加……bad?』視点:采景さきょう


「……ん……采景、もっと……」

「……苺愛?」

気を失った彼女を愛しく見つめ、水分を取りに立ち上がる。

台所に立ち、冷蔵庫を開けた。

……そう言えば、苺愛の様子がおかしい。

求めてくれるのは嬉しいが、子どもが欲しいなんて。

いや、二人目がどうと言うわけじゃない。

失うのを恐れるような……まさか……そんな、烏鏡が……?

嫌な予感がする。


次の日……草樹から連絡が来た。

高等部の保健室に入る。

「はじめまして、神成 劾です。私は、未来を見る……先見。」

未来……?

苺愛も、未来を感じる魔女。

「……烏鏡は、死ぬのか?」

声が震える。

「死ぬのは泉麗かもしれない。」

どちらかが死ぬかもしれない……?

「未来が俺にも見えない。……消えるのは、俺の息子かもしれない。」

同じ時期に生れる5人……未来は……






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