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⑫‐D【全シリーズ】感謝短編ほか  作者: 邑 紫貴
12.短編かき集め

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41/75

【七匹目】②

『じゅうしー』視点:苺愛


「苺愛、このチョコどう?」

「……イチゴの乾燥したのなんか、イチゴと認めない!」

「……イチゴ、好きだから……買ったのに。」

「采景!チョコは、女の子があげるものよ!!」

「くくっ……俺は、チョコを食わなくてもいい。苺愛を喰う。」

「ふふ……味わってくれる?」

(ちょっと内容の違うのがバレンタイン企画に掲載されています♪)




『綺麗な顔が好きですか?』視点:采景


廊下を歩き、苺愛のクラスへ。

すると、俺だけの特別な笑顔を見知らぬ男に向けていた。

意識は飛んで、気が付いたら殴っていた。

気絶した男の胸座を掴んだまま、苺愛に視線を移す。

「……な、何をするの??」

だと?しかも、珍しい叫び声……

【ムカッ!!】コイツの味方をするのか?

「苺愛、キスしろよ。」

俺の手には、重い荷物があるまま……

「へ?」

「キ・ス!舌は入れろよ?俺は、屈まない……さ、早くしろ。しないと、コイツ……手加減しないよ?」

「……バカっ!!その人が、采景の写真をくれたのよ!」

……は?俺の写真??

「ほら、綺麗♪むふふ……くふふ……その人ね、采景の顔を褒めてたよ?」

だから、笑顔……?待て、落ち着け……

「俺に無断かよ!!」

屍を廊下に放置して、苺愛を抱える。

「采景?」

「何だよ!」

「くすっ……何でもない。大好きよ……」

「愛してるって、体に刻んでやるよ。」


紫貴のお礼……すみません。俺様でしょうか??嫉妬つながりに出来るかと、こんな短編です。

いいのかな??“おおかみ投票”に、ありがとうございました!!




タイトル『ふぁみこん』Side:采景さきょう・登場人物:苺愛めえ・時期:高校生


「苺愛、いい加減に機嫌を直せよ!」

数日前から、機嫌が悪い。

大抵は、次の日には仲直り……ってか、俺の謝罪で許してくれるのに。

今回は、何が原因なんだ??

好きな苺のパンやケーキでも機嫌は直らない……何が不満なんだよ。

他人なんか気にしない兄貴やオヤジに憧れ、大人ぶった俺を崩したのは苺愛……

我儘に思ったことを伝えて欲しいと言ったけど、微妙に違うんだよな。

考えるのが面倒になってきた。どうせ、泣かれるのが変わらないなら引いてみるか。

「苺愛、もう知らねぇ。俺は謝ったからな!」

顔を背け、予想通りの涙……声を殺して泣く……

甘いよなぁ~俺。苺愛を抱き寄せ、顔をすり寄せた。

抵抗はないけど、顔を背けて目線を合わせようとしない。

「苺愛、泣かれると困る。前にも言ったよな?言葉に出して欲しい……思ったことを知りたい。それは、他の誰にも願わない。お前だけだ……」

首元にキスを落とし……顔を上げると、苺愛と視線が合った。

ホッとする。

「嘘つき!采景のふぁみこん!!」

ふぁみこんって古いゲームのハードだっけ??不思議な言葉に、眉間にシワ……

「うっ……ファザコン・マザコン・シスコン・ブラコン……ふぁみこんだよ。私の事、二の次!」

面倒臭い内容だな。

「ウソじゃないぜ?俺は家族に憧れを抱くが、動機を知ってまで理解しようとしたりはしなかった。」

今度は、苺愛が不思議そうな顔。

何だ?恋愛が分からなくなる瞬間だ。他人だけど、深く知りたいと願う……

「苺愛、いつかはさ……お前も、家族だぞ?俺の嫁……くくっ。イヤだと言っても、逃がすつもりはない。」

家族は好きだけど、俺自身の全てをさらけ出すことをしなかった。

苺愛にだけ……特別なんだけどな……

「好きだ」

俺に全開の笑顔の後、見たことのない量の涙を流し始めた。

げげっ!?何で、そうなるわけ??

面倒臭さも、どこへ行ったのか……焦りが俺を急かす。

今までに俺の知らなかった自分……苺愛を抱き寄せ、頭を何度も撫でる。

「ごめん、ごめんって……泣きやめよ。俺が困んだろ、苺愛……頼むから……」

俺の困惑に、やはり涙の笑顔。

「くすっ。ふふ……ふぁみこんね……私の好きになった采景と違うわ。なのに、愛しさが甘くて切ない。」

苺愛からの唇への軽いキス……

何だか、怒りとは違う苛立ち。自分の情けなさを、見たくなくて……そこが良いと言う苺愛。

「くそっ……苺愛、黙れ……その唇を塞いで、舌を突っ込むぞ?」

苺愛は目を閉じて俺を待つ……

いつか……言葉にしなくても、すべてを理解しあえるようになるだろうか?

情報が足りない。触れて温もりを感じ、喧嘩をして疑問をぶつける……

ふぁみこんか。俺は家族の中で過ごしながらも……どれほどの事を知っているだろう?

呪いに対して、家族がそれぞれした苦闘……詳細は知らない。

俺が全てを語っていないのと同様……

「苺愛……もっと感情を見せて。思った事や考え方……感じたことを全て、包み隠さずに言葉にして欲しい。」

「……ふふ。あなたは、もっと自己中心的だと思っていたわ。」

俺の成長と変化……苺愛の中にもあるなら、それに気づける自分でいたい。

十分に自己中。

「ふっ。俺はふぁみこんだろ?」

甘い時間を味わい共に、これからも……




タイトル『視線』Side:苺愛めえ・登場人物:采景さきょう


采景の私を見つめる目が特別なのを知っている。

優しさの伴う視線が苦しい。

男子生徒の視線も奪うほどの外見……そんな周りの視線に、煩わしさを露わにした不機嫌な態度。

それを見ても、流し目の優美な姿と勘違いする人が多数。

「苺愛?また、機嫌が悪いのか……いい加減にしてくれよ。最近、多いけど……俺さ、苺愛が思ったことを言って欲しいんだけど。」

顔を背け、視線も合わせない我儘な私の機嫌をとろうとする采景。

「ふぅ、機嫌が良くなるか分からね~けど……手に入ったコレ……なんだと思う?」

視線をチラリ。目に入ったのは赤い大きな粒……

思わず二度見で、視線は釘づけ。

「な、何……この大きなイチゴ!」

私のテンションに、見たことのない笑みを見せる采景。

私の唇に大きな苺を当て、満足そうな顔。何だか、悔しい気がする。

プニプニと唇を突いて、甘い声。

「高級特大いちごだ。ほら、美味しいぞ?」

【カプッ】噛んだところから、ジューシーで甘い味と香り。

大きい粒で、噛み切ってしまうと落としそうだ。

采景は、顔を近づけて手を離し、苺の反対側に噛みついた。

どんどん食べ尽くしていく。

食べる様子が、綺麗と言うより男の色気で満ち、自分まで食べられてしまいそうな勢い。

モグモグ、ゴクン……最初の一口を必死で噛んで呑み込んだ。

「あ~喰っちまったのかよ。苺愛……」

ほとんど食べ尽くしたのは采景だけど?

意味が分からない。私に持って来たんじゃなかったの?

私に、采景が不機嫌な顔。

それに苛立ち、視線を逸らして頬を膨らせて口も閉ざした。

「……ちっ。苺愛……俺を見ろよ。」

指を私の首から顎に滑らせて、逸らした顔を向けさせようとする。

「いや。」

首を上げて、采景の指を避けた。

「苺愛、いい加減にしろよ。なぁ……俺を見ないのは、どうしてなんだ?」

声から悲しみが読み取れ、胸が痛んで視線を向ける。

采景は、自分を見ろと言ったのに……

いつもの自信に満ちた雰囲気も無く、下を向いてため息を吐いた。

何だか、小さく見え……消えてしまいそう。彼を傷つけたのは私。

「采景の目に映るのが怖い。」

私の言葉に采景の体が反応して、ゆっくり顔を上げた。

「……何だ、それ……」

あ、違う。言葉を省き過ぎて言いたいことが伝わっていない。

「采景、待って!違う、聞いて……お願い、聞きたいと言ったのはあなたよね?私の本当に伝えたい言葉を……お願い、聞いて欲しいの。」

目を合わせ、彼の瞳が私を映す。そう、これ……

「あなたに見つめられると、采景への愛しさに溺れてしまいそうになる……。他の人も、私と同様……あなたを見つめる。でも、あなたが特別に見るのは……私なのだと……自惚れながらも、失う事が頭を過る。言葉に出来ない、どう伝えて良いのか分からない。ね、どれほど伝わる?ちゃんと伝わっているかな?采景……」

一気に言葉を吐き出し、情けなくて涙が出そうになる。

采景は手を伸ばし、私の頬を撫でて微笑む。視線を向け、じっと見つめたまま。

「うん、伝わる。……ふっ。ははは……ヤベ、嬉し過ぎて泣きそうだ。かっこ悪ぃ……見ないでくれ。」

見て欲しいと言ったり、見ないで欲しいとか……。

采景の手に頬をすり寄せ、笑みがもれた。

机に置かれた苺を手に取り、自分の口に運ぶ。

「采景、苺……美味しいね。ありがとう……一緒に味わう?」

大きな粒を口に挟み、目を細めて誘ってみた。

「目を逸らすなよ、俺にはお前だけ……一生に一人……俺の目に映る唯一。」

苺を二人で食べながら、視線を合わせて二人の時間……

もっと、知って欲しい。見つめて、お願い……






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