第五話
第五話
「ふあぁぁぁ」
大きなあくびが出る。
なんかちゃんと寝れた気がしないなぁ、夢を見ていた気がする。見たことない人たちが出てた。それ以外はあんまり覚えていない。
名前を名前を呼ばれてたような……俺の名前か?
なんだろう……
少し頭痛がしたが寝違えたのだろう。昨日の今日で頭がまだ混乱してるんだろうな。
ボーっと窓の外の景色を見ていると――と言っても通りの向かいにある石造りのアパートみたいな建物しか見えないが――コンコンとドアをノックする音が聞こえた。
お、誰か来た。
「どうぞー」
「しっかり眠れたかな?若人よ」
「アルフレドさん!まあちょっと変な夢を見てしまいまして……あまり、です」
あら朝がお早いこと。でもちょうどよかった、昨日のこと色々ありがとうって言って、それと謝罪しないとな。
「ほう、変な夢とは」
「俺のことをお兄ちゃんと呼ぶ子がいたり、シーという名前の獣人?と言うんですかね、猫っぽい人に呼ばれたり……うっ……」
「おっと大丈夫ですかな?」
夢を思い出すと急に頭がズキズキする。
「大丈夫……です……それより……昨日はありがとうございました」
「もしかしたら過去のことを頭が一生懸命思い出そうとしているのやもしれませんな。昨日のことは当然のことですから」
「そう……かもしれませんが、フェリカブレイク家とは知らずにリガット様に失礼……を……」
あれ?なんか目の前が暗い……クラクラするぞ。
「め、めぐるくん!もし!しっかりしたまえ!」
「ちょっとアルフレド!置いてかないでよもう!メグル〜、少しは元気になったかしら?ってどうしたの!?」
「少々やっかいなことになったやもしれませんな」
めぐるはそのまま倒れてしまった。
ふと倒れためぐるの腹部の衣服がめくれているのをリガットが見る。
少し年上の男性のお腹が見えてリガットは少し恥ずかしい気持ちになりつつも、薄く浮かび上がっている紫色の紋様が目に入る。
「アルフレド、これ……」
「ええお嬢様」
「いつからあったのかしら」
「わかりませんな。ただ薄いのでかなり昔のものの可能性が高いでしょうな」
「そんな古いのに今更効力が出てくることなんてあるかしら?」
「場合によっては……術者の魔力が強ければ紋様が薄まっても何かのきっかけで呪いの効果が出てくることはあると聞いたことがあります」
「そうなの……とりあえず解呪師を呼んだ方がいいわよね!」
「ええ、リリー様に連絡してみましょう」
めぐるは冷たく何も見えない暗闇の中に落ちて行った。




