第三話
2025.11.18 設定間違いの文章あったので修正しました。
トリベスタはフェリカブレイク地方の中でも有数の街でそこそこ発展している。
冒険者の拠点となるギルドや宿、薬師に医師、歓楽街、武具を扱う店やアクセサリーや雑貨を売る専門店に飲食の露店まで、実に様々な人々がこの地で生活をしていた。
門をくぐるや否や石造りの見事な街並みが広がる。
人々の声が飛び交い、あちらこちらに人がいて、露店に並ぶ冒険者の身なりをしたもの、通りで何かの会話に盛り上がる街のご婦人たち、大道芸をしている若者にそれに見入る子どもたち、豪華な馬車にその手綱を引く御者、明らかに身分が違う高貴そうな人もいる。
これだけで活気のある街だとわかるし、きっと身分に分け隔てなく治安のいい街なのかなと思う。
宿に向かう途中でトリベスタのことやなぜリガットたちがあの教会にいたのかを聞いた。
リガットたちは父親の仕事の手伝いのために、数百年の間手付かずとなっていたモリニウム大森林の調査に来ていたようだ。
その途中で倒れている俺を発見、ここまで連れてきてくれたと言う訳だ。
仕事を中断させてしまって申し訳ないな……。
それと、もしかしたらトリベスタにめぐるの事を知ってる人がいるかも知れない、探してみようとも言われた。
さすがにそこまでしてもらうのは気が引けるので丁重にお断りした。
それに俺のことを知ってる人なんているわけない。さっき転生してきたのだから。
「さて、休めと言われたけど……どうしたもんか」
通された部屋を見渡す。いわゆるスイートルームだ。
無駄に装飾された大きなベッドと洗練された内装、ところどころにキラキラした宝石のような装飾があってアラビアの石油王とかが住んでそう。
外観は落ち着いた感じだったのでそのギャップに驚く。いかにもお金持ちが泊まりそう!な感じではなかった。
部屋に入る時に宿の人がヒソヒソ声で「フェリカブレイク様のお客人だそうよ……しっかりもてなさないと……」と聞こえた。
え?フェリカブレイクって地方の名前だよね?まさかそのフェリカブレイクってこと?てことはこの地方全体の領主ってことなの?
通りで。そりゃ手厚い扱いをするわけだ。いわゆるノブリスオブリージュ的な何かかと思っていたが、いやそれに変わりはないんだけど領主となれば適当なことはしないよな。
次会う時にお礼とリガットにふつうにタメ口聞いてたの謝罪しないとな……たぶん年下だけど貴族にタメ口聞いてるの流石にまずいよな……リガットはなんとも思ってなさそうだったけど。
そんな事を考えているとコンコンとノックをする音が聞こえた。
「失礼します、メギュ……メグルさま。指圧師をお呼びいたしましたので、まずは旅のお疲れを癒してくださいませ」
こっちの人にはメギュルって聞こえてるの?まぁそれはいいけど、指圧師……まさか晩御飯は高級フレンチフルコース的なやつが出てくるんじゃないだろうな。
「あ、ありがとうございます」
とりあえず出されたものは全部いただくスタイル。観念して指圧されようではないか。
数時間後――
そんなこんなで丁寧に全身組まなく揉みほぐされ、すぐに予想通りの豪華なフルコースが運ばれてきて、食べたと思ったら今度はなぜか露出の多い際どいドレスを着た女性が入ってきたため丁重にお断りし――今では勿体無かったと後悔している――ただいまふかふかのどデカいベッドに横たわっている。
それにしてもご飯美味しかったな。相当なグルメがいるんだろうな。日本で食べてた食事と同じくらい美味かった。
それにしても疲れた。
一日で色々あったな。
俺はめぐる。一ノ瀬めぐるだ。だよな?なんだかまた記憶が曖昧になってる。
病室で俺は、死んだ。
長い闘病生活だった。
最後の暖かな感覚、幸せに満ちた感覚、それが最後。
そして廃墟と化した教会で目が覚めた。
でもこの体、少し小さい気がするし、なんと無く自分の手とか若々しい。そういえばちゃんと見てなかったな。洗面所あるし見てみよう。
そのまま洗面所に向かい鏡を見る。
「は……い?」
だれだこれ!?!?
鏡に映ったのは18.9歳くらいの少年。前世でいえば大学生くらいの見た目、身長はわからないが多分180くらいか?暗い焦茶色の髪の毛をした少年が、目を見開いて立っていた。
自分の体ごと転移したわけでは無いということか。
と言うことはこの体の持ち主は別でいたと言うことになる。
「確かにこっちに来たとして、転生なら普通赤ちゃんからだよな……」
ボソッと当たり前のことつぶやく。
だから最初別の名前を言おうとしたり、別の一人称が出そうになったのか?体が前の持ち主のクセにつられて、みたいな。
恐る恐る髪の毛や顔を触る。
感触を確かめると次第に他の部分が気になる。無くした家の鍵を探すかのように、あらゆる部分に手を伸ばし服をめくって触って鏡を見て……そんなことを繰り返し本当に自分が別の肉体に入り込んだことを理解する。
この肉体は誰なのか。元の俺の体はどうなってるのか。入れ替わったとか?
いや、もう疲れた。考えるのは明日にしよう。
ベッドに横たわり目を閉じると、1分も経たないうちに意識は暗闇の中に落ちていった。
普段は趣味で絵を描いたり同人ゲームを作ったりしています。その合間に気分転換も兼ねて読みたいものを書いてます。なので雑であったり評価揺れやら整合性の不一致などあるかも。ごめんね。気づいたら直す。




