序章 夢の終わり
2025年10月11日投稿
以前に書いていたもののリメイクです。
少しずつ投稿していきます。
『──朝日が昇り、邪悪な竜は崩れ落ちました。
人々は歓喜に叫び、英雄たちはいつまでも幸せに暮らしましたとさ。
めでたしめでたし』
誰もが知る英雄譚の、最後の一節
読み慣れた絵本を閉じて、少女は大きく伸びをする。
天蓋付きの大きなベッド
ふかふかの絨毯に、古めかしい家具
朝日の差し込む窓を開ければ、遠くから人々の喧騒が聞こえてくる。
絵本の中ではぼろぼろになっていたはずの街は、現実では朝から活気に溢れている。
故郷を守ってくれた英雄たちへの感謝を胸に、少女は起床を告げるベルを鳴らした。
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『──朝日が昇り、太古の竜王は破れ去った。
これを以て、王都を襲った災害は幕を閉じた。
英雄たちは褒美を受け、それぞれの道を歩き出した。』
英雄たちの輝かしい冒険の最後を彩る、伝説的な偉業
豪勢な革表紙を閉じ、少女は壁際に歩み寄る。
素朴ながら頑丈な作りの本棚を、燭台の火が妖しく照らす。
分厚い本を元の場所に押し込むと、隣の紙束がくしゃりと潰れた。
机の上に置いた灯りを消す。
眠ろうと簡素な寝台に近づいた時、カーテンから漏れ出る光が目に入る。
目が覚めるような曙光
知らぬうちに夜が更けていることに気がつき、少女は肩を落とした。
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「──そして、朝日と共に、英雄は剣を振り下ろした。その一撃に龍の首はたちまち胴体から切り離され、ついに、世界に平和が訪れたのです!」
脚色された、一昔前のお伽話
語り合えた吟遊詩人に、少年は貨幣を渡す。
一緒に聞いていた子供たちはいまだに熱狂の中にいる。
ただでさえ娯楽が少ない小さな村の、数少ない楽しみなのだ。
更に、王都でも大人気の、生きる英雄の話ともなれば興奮するのも無理はない。
広場には、子共だけでなく大人の聴衆もいた。
仕事に行く途中の足をとめ、聞き入っていたようだ。
大人たちにとっては、記憶に新しい災害に終止符を打った英雄なのだから。立ち止まるのも無理なからぬことだろう。
他の聴客同様、少年も、希望を胸に歩き出した。
2025年10月11日投稿
アフターストーリー風味ですが、現時点では元となる物語は投稿していません。




